カタール航空のプレスリリース
カタール航空は持続可能な航空燃料 (SAF) 生産企業である Gevo (ゲボ)社と長期供給契約を提携し、5年間で2,500万米ガロンのニートSAFを購入、2028年よりカルフォルニアの各空港で供給が開始する予定です。今回の契約に基づき、同社は年間500万米ガロンの SAF を調達し、既存のジェット燃料と混合して使用。さらにカタール航空は、SAFの国際的な長期供給契約を結んだ中東・アフリカ地域初の航空会社となります。
カタール航空は、他のoneworld® アライアンス加盟航空会社と協調し、以前よりゲボ社から最大2億米ガロンのSAFを購入する誓約をたてており、今回の契約でそのコミットメントの一部を実現します。「2050年までに炭素排出量を実質ゼロにする」というカタール航空とoneworldの共通目標を達成する上で、SAF導入は計画の柱の一つとなります。
2020年9月、oneworld は2050年までにカーボンニュートラルを達成するという共通目標に向け、協調体制を確立した世界最初のグローバル航空会社アライアンスとなりました。その後、2030年までに加盟航空会社全体で、SAFの使用を10%に設定する数値目標を掲げました。
カタール航空は、国際民間航空機関 (ICAO) が定めるサステナビリティ基準に準拠したSAFを購入し、商業レベルでのSAFの使用拡大を強く希望しています。SAFは化石燃料であるジェット燃料と比較して、ライフサイクル全体でCO2排出量の削減することに繋がります。現在の技術水準で、SAFを使用した場合のCO2削減率は、従来のジェット燃料と比較して85%に達します。
カタール航空のグループ CEO アクバ・アル・バクルは、次のように述べています。
「カタール航空は、今世紀半ばまでに航空機の運航による炭素排出量を実質ゼロにする、という誓約を引き続き優先してまいります。航空機運航の脱炭素化には、より低炭素で持続可能な航空燃料を段階的に取り入れる必要があり、私共は、より良い未来のためにこの世界的な取り組みに協力できることを誇りに思います。oneworld アライアンス加盟航空会社とともに、ゲボ社によるSAF生産拠点の設立を支援し、SAFの供給拡大ならびに、2030年までに従来のジェット燃料の10%をSAFで代替する共通目標を目指します」。
ゲボ社のCEOであるパトリック・R・グルーバー (Patrick R. Gruber) は、次のように述べています。
「ゲボ社は、農家と再生可能な農業に取り組むことで、SAF生産用の原料を調達し、同時に土壌の健全性を高め、炭素を分離し、フードチェーンに栄養価の高い製品を提供しています。持続可能な方法で栽培された原材料から燃料生産に使用する再生可能エネルギーまで、当社のビジネスシステムの各段階に持続可能性を組み込むことで、カタール航空をはじめとする oneworld アライアンス加盟航空会社の排出量削減目標の達成に貢献しています」。
カタール航空は、環境の持続可能性と脱炭素化の達成に向けて、すでに大きな前進を遂げてきました。同社は、最新鋭かつ最高レベルの燃費効率を誇る航空機を使用。また「IATA 環境評価プログラム (IEnvAプログラム) 」 の最高レベル認定を中東で初めて取得した航空会社であり、航空貨物輸送のための新しい自主的カーボンオフセットプログラムを提供する「IATA CO2NNECT」プラットフォームに参加した最初の航空会社でもあります。カタール航空は、世界の航空業界全体で、環境面におけるリーダーシップを発揮するため、意欲的な取り組みを継続してまいります。
■カタール航空について
数々の受賞歴を誇るカタール航空は、国際的な航空輸送評価機関であるスカイトラックス社より「エアライン・オブ・ザ・イヤー2022」に選出されました。また、「ワールド・ベスト・ビジネスクラス」、「ワールド・ベスト・ビジネスクラス・ラウンジ・ダイニング」、「中東ベスト・エアライン」も合わせて獲得。最も栄えある「エアライン・オブ・ザ・イヤー」受賞は7度目となり(2011年、2012年、2015年、2017年、2019年、2021年、2022年)、業界で比類なき地位を確立しています。
現在カタール航空は、ハブ空港であるハマド国際空港を経由し、世界150都市以上に就航しています。同空港は、スカイトラックス社が主催する「ワールド・エアポート・アワード2022」にて、「世界のベスト空港」を受賞しています。
カタール航空は、航空業界における環境サステナビリティの重要性を強く意識しています。同社は業界の脱炭素化目標の達成に向けて最前線に立ち、世界および地域のパートナーと協力しながらその取り組みを推進しています。
■ゲボ社について
ゲボ社の使命は、再生可能エネルギーと炭素をエネルギー密度の高い液体炭化水素に変換することです。これらの液体炭化水素は、ガソリン、ジェット燃料、ディーゼル燃料などの輸送用ドロップイン燃料として使用可能で、生産の全ライフサイクルを通じ、燃焼時の温室効果ガス排出量を実質ゼロに抑える可能性を持っています。
同社は、低炭素な再生可能資源由来の炭水化物を原料として利用し、生産工程で使用する再生可能電力や再生可能天然ガスの導入も推進しています。その結果、炭素集約度(ライフサイクルにおいて、通常の石油系化石燃料と比較して排出される温室効果ガスのレベル)を大幅に低減した低炭素燃料の生産を実現しています。
ゲボ社の製品は、インフラやエンジン用燃料として従来の化石燃料と同等かそれ以上の性能を発揮しつつ、温室効果ガス排出量の大幅削減を実現しています。また燃料の問題に対処するだけでなく、同社の技術を応用し、ポリエステルなど特定のプラスチックをより持続可能な原料で製造することも可能になります。同社の製品が成長中の低炭素燃料市場に浸透できるかどうかは、原油価格ならびに温室効果ガス増加につながる炭素排出抑制の価値をいかに見積もるかにかかっています。
ゲボ社は、独自の技術、ノウハウ、エンジニアリングを、Axens North America(アクセンス・ノース・アメリカ社)よりライセンス提供された技術およびエンジニアリングと組み合わせることで、発酵プロセスを通じてさまざまな炭水化物原料をアルコールに変換し、さらにそのアルコールを再生可能燃料および材料に転換する技術とノウハウを培ってきました。そしてこれらの技術と知見は、数十億ドル規模の事業構築に値する収益を生み出す可能性があると確信しています。
ゲボ社は、アルゴンヌ国立研究所の「GREETモデル」が、ライフ・サイクル・インベントリ (LCI) の科学的測定基準として最適であると判断しています。より詳しい情報は、ウェブサイトをご覧ください。
www.gevo.com(英語のみ)