企画展「西田天香と杉本哲郎ー長浜ゆかりの偉大な思想家と芸術家ー」かつて世界的に知られた2人の大規模な展覧会【長浜城歴史博物館・長浜市曳山博物館】

「西田天香・杉本哲郎顕彰事業」実行委員会のプレスリリース

一燈園(いっとうえん)を開き、長浜名誉市民第1号となった思想家・西田天香(にしだてんこう)(1872-1968)は、令和4年(2022)に生誕150年を迎えます。これを記念し、西田天香と交流があった、宗教画家・杉本哲郎(すぎもとてつろう)(1899-1985)の作品や天香の関連資料を通じ2人の業績に迫る企画展「西田天香と杉本哲郎―長浜ゆかりの偉大な思想家と芸術家―」を長浜城歴史博物館と曳山博物館の2会場で開催中です。

 

  • 【展覧会概要】

西田天香(1872-1968)は、明治~昭和時代に活躍した思想家です。青年期に北海道開拓事業にて大きな挫折を経験します。北海道から故郷・長浜へ戻り、悩みの中、悟った天香は、資本主義社会が浸透する近代日本において「無所有・奉仕」の生活を送ります。こうした生活を実践する天香のもとには多くの賛同者が集まり、京都・鹿ヶ谷の地に、修養道場「一燈園」が建設されました。
天香の思想は、同時代を生きる実業家や芸術家に大きな影響を与え、ダスキン創業者の鈴木清一(1911-80)、俳人の尾崎放哉(1885-1926)や劇作家となる倉田百三(1891-1943)らが一燈園に滞在し、陶芸家の河井寛次郎(1890-1966)や日本画家の村上華岳(1888-1939)らが天香と親交を結びました。
天香の思想・生き方は、海外にも広まり、天香は、中国やアメリカ、インドネシアに赴き、アメリカ渡航の際は、近代資本主義の父・渋沢栄一が天香の紹介状(第1会場に展示)を出しています。

近代日本の思想・文化史を語る上で重要な西田天香と深い親交があった日本画家が杉本哲郎(1899-1985)です。哲郎の父・善郎は、長浜にて材木商の息子として生まれ、善郎が長濱八幡宮にて主催した私塾に入門したのが西田天香でした。杉本家と天香の交流は、善郎の息子・哲郎にも受け継がれ、天香の孫にあたる西田多戈止氏(一燈園当番)とも交友がありました。
大津にて生まれた哲郎は、はじめ近代京都画壇の重鎮・山元春挙(1872-1933)に絵を学びます。のちに春挙のもとを離れ、インド・アジャンター壁画の模写など、古典に学んだ仏画をはじめ、様々な宗教を題材にした絵画を制作しました。インド、アメリカやブラジルで個展を開催するなど、哲郎の作品は世界で評価されました。現在も《無明と寂光》(本願寺津村別院)や《清水寺縁起》(ウェスティン都ホテル京都)をはじめ日本各地に哲郎が描いた障壁画が残されています。
 
本展では、西田天香に関する資料や天香と交流があった思想家や芸術家をはじめとする人々の作品を通じ、長浜名誉市民第1号となった西田天香と天香が開いた一燈園の歴史を紐解きます。また、初公開となる杉本哲郎の一大コレクションを中心に、哲郎の生涯と画業を紹介することで、現在では忘れ去られてしまった2人の業績を辿ります。

  • 【展覧会の見どころ】

西田天香と大正~昭和時代の芸術家・実業家との交流
尾崎放哉直筆の手紙
自由律俳句の俳人として知られる尾崎放哉は、大正12年(1923)から半年間一燈園へ滞在していました。この手紙では、朝鮮から帰国し長崎にいた放哉が、一燈園入園を西田天香に依頼しています。【第1会場】

尾崎放哉書簡 西田天香宛 大正12年(1923) 香倉院蔵尾崎放哉書簡 西田天香宛 大正12年(1923) 香倉院蔵

建築家・ヴォーリズが来日30年を記念し揮毫した書
アメリカ出身の建築家で、日本にも多くの作品を残したウィリアム・メレル・ヴォーリズは、大正12年に天香がヴォーリズの自宅を訪れて以来、天香と親交がありました。本書は、ヴォーリズが、来日30年を迎えた昭和10年(1935)に揮毫したものです。【第1会場】

書「前途三十年」 ヴォーリズ筆 昭和10年(1935) 香倉院蔵書「前途三十年」 ヴォーリズ筆 昭和10年(1935) 香倉院蔵

棟方志功の代表作《二菩薩釈迦十大弟子》全12幅を一挙公開
一燈園にある資料館「香倉院」には、西田天香や天香とゆかりのあった人物の資料が多数収蔵されています。とくに、民芸運動の推進者である河井寛次郎が天香と交流があったことから、香倉院は、大正時代に「用の美」を提唱した民芸運動に関わる優れた作品を多数所蔵することで知られます。中でも、香倉院が所蔵する《二菩薩釈迦十大弟子》は、棟方志功の代表作です。《二菩薩釈迦十大弟子》は、戦時中に二菩薩の版木が焼失し、戦後、二菩薩のみ別の版木で制作されますが、香倉院に伝わる本作は焼失前の版木で二菩薩を摺った貴重な作品です。
【前期展示~11/18】普賢・文殊菩薩の2幅のみ展示 【後期展示11/19~12/11】全12幅展示 【第1会場】

 

二菩薩釈迦十大弟子のうち普賢菩薩 棟方志功画 昭和14年(1939) 香倉院蔵二菩薩釈迦十大弟子のうち普賢菩薩 棟方志功画 昭和14年(1939) 香倉院蔵

哲郎の画業の転換期となったインド・アジャンター石窟寺院の模写を関西初公開
杉本哲郎は、昭和12~13年(1937~38)にインド・アジャンター石窟寺院およびスリランカ・シーギリヤ壁画の模写のためインドへ渡りました。アジャンター石窟寺院の壁画のうち、パドマパニー(伝蓮華手菩薩)は、日本初の本格的な仏画作品である法隆寺金堂壁画にも影響を与えた作品で、この絵を哲郎は模写して日本へ持ち帰りました。帰国後、哲郎の作品は仏画をはじめとする宗教画が主な題材となり、国内外で評価されることになります。本作は、実際に、哲郎がアジャンター石窟寺院で模写したパドマパニーの実物大の下絵であり、日本美術史においても重要な作例の模写として大変貴重です。【第2会場】

パドマパニー(伝蓮華手菩薩) 杉本哲郎筆 新健康協会蔵パドマパニー(伝蓮華手菩薩) 杉本哲郎筆 新健康協会蔵

 

杉本哲郎の代表作《世界十大宗教壁画》25作のうち4作品を展示

杉本哲郎の代表作《世界十大宗教壁画》は、哲郎の「万教は同根、真理は真・善・美も一つに帰納する」という考えに基づき、世界の十大宗教を題材にした25作の連作です。本展では、このうち、《法悦の釈尊》(仏教)、《三輪山》(神道)、《メッカへの礼拝》(イスラム教)、《十字架》(キリスト教)の4作品を展示します。【第2会場】

法悦の釈尊(世界十大宗教壁画) 杉本哲郎筆 新健康協会蔵法悦の釈尊(世界十大宗教壁画) 杉本哲郎筆 新健康協会蔵

 

メッカへの礼拝(世界十大宗教壁画) 杉本哲郎筆 新健康協会蔵メッカへの礼拝(世界十大宗教壁画) 杉本哲郎筆 新健康協会蔵

十字架(世界十大宗教壁画) 杉本哲郎筆 新健康協会蔵十字架(世界十大宗教壁画) 杉本哲郎筆 新健康協会蔵

  • 【展覧会情報】

展覧会名:西田天香生誕150年・杉本哲郎生誕123年記念 
     企画展「西田天香と杉本哲郎―長浜ゆかりの偉大な思想家と芸術家―」
主催:「西田天香・杉本哲郎顕彰事業」実行委員会、長浜市
会期:令和4年10月29日(土)~12月11日(日)
  【前期展示10月29日~11月18日】【後期展示11月19日~12月11日】、会期中の休館なし
会場について:
第1会場 長浜城歴史博物館 2階展示室
入館料:大人410円(330円)/小中学生200円(160円)
住 所:〒526-0065 長浜市公園町10-10 ℡0749-63-4611
第2会場 曳山博物館 1階曳山展示室、2階企画展示室、伝承スタジオ
入館料:大人600円(480円)/小中学生300円(240円)
住 所:〒526-0059 長浜市元浜町14-8 ℡0749-65-3300
※2館とも
( )内は20名様以上の団体料金
長浜市内・米原市内の小中学生は無料。
身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳等をお持ちの方及びその付添いの方1名は無料。(ただし、証明となる手帳等の提示が必要)
企画展HP
https://nagahama-ex.com/

  • 2会場来場者プレゼント

長浜城歴史博物館(第1会場)から曳山博物館(第2会場)の伝承スタジオへご来場の方に、企画展のオリジナルクリアファイル(非売品)とポストカードをプレゼント
※期間:令和4年11月12日(土)~12月11日(日)
※曳山博物館伝承スタジオの受付にてプレゼントをお渡しします。受付にて、長浜城歴史博物館の入館チケットの半券もしくはパンフレットをお見せ下さい。

 

第2会場第2会場

 
 

 

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