誰でも文豪のような「缶詰め」ができる。 岡山県真庭市のコワーキングスペース「湯フィス」。

岡山県真庭市のプレスリリース

◆温泉×コワーキングスペース、誕生。

 


なかなか結果が出ない……。
仕事のクオリティをもっと高める方法はないものか。
 
そう考えたとき、ふと思ったのは文豪のことである。
なぜ、後世に残るほどの名作をつくることができたのか。クオリティの高い仕事をすることができたのか。
 
共通しているのは――。
彼ら、彼女たちはみなわざわざ温泉地へ赴いて執筆をしている、ということ。
有名なところでは、城崎温泉で「城の崎にて」を書きあげた志賀直哉。越後湯沢温泉で「雪国」を書いた川端康成。夏目漱石で有名な「道後温泉」など。
 
よく締め切り間際に言われる「缶詰め」とは、もともと温泉旅館に詰める「館詰め」から来ている、という。
温泉でリラックスしながら、発想力や集中力を高めることができるらしい。
 
ということは、館詰めをすれば、僕たち一般人でも名作に値する仕事ができるのではないか。仕事のクオリティを高めるキーワードは、「館詰め」なのではないか。
 
事実、「館詰め」のできる場所が増えているという。
テレワーク化が進んだものの、自宅ではなかなか仕事効率の上がらない人たちが「集中できる環境」を求めて訪れている。東京ではかなり認知が進んでいるらしい。
 
しかし、温泉にも入ることができ、なおかつ「館詰め」もできる。そんな理想的な場所なんてあるのだろうか。
もちろん、温泉旅館に泊まれれば何の問題もない。
ただ、ひとつの案件に対して、そんなことをしていては、お金がいくらあっても足りない。
 
安価で、温泉にも入れて、なおかつ仕事のクオリティも上がるような場所。
 
――いや、ある。ひとつだけヒットした。
 
岡山の県北、真庭市の湯原温泉にあるコワーキングスペース「湯フィス」。
湯原温泉街のなかの「湯本温泉館」内にあるという。
 
湯本温泉館ホームページ:https://www.city.maniwa.lg.jp/soshiki/60/2653.html
 
そもそも湯原温泉とは、大阪から車で約2時間半。観光名所「蒜山高原」まで30分弱という、岡山県を代表する温泉街のひとつである。
源泉がすべて、地面からお湯がぽこぽこと自噴する湧出温泉。温度も45℃前後と適温で、加温も加水も必要としない。源泉かけ流しのなかでも全国的に珍しい温泉郷である。
 
それを証拠に、温泉評論家の野口冬人が、露天風呂番付で「西の横綱」と定めている。
 
そんな湯原温泉郷のなかに、「館詰め」のできるコワーキングスペースがあるなんて、にわかには信じられない。
温泉旅館の数々、さらに有名な露天風呂「砂湯」も、「はんざき(オオサンショウウオ)センター」も、鹿肉コロッケの食べられるお店も、すべてが徒歩圏内。
 
本当に、仕事のクオリティが上がる空間なのか。デスクまわりは?金額は?wi-fiは?締め切り間近の仕事を抱えて、さっそく訪れてみた。
 

◆コワーキングスペースにも、温泉にも、出入り自由。

温泉街の温泉施設の3階がコワーキングスペースになっているという。
 


温泉旅館が軒を連ねるなか、駐車場は無料。
美しい山なみと静かな河原に沿って、温泉旅館がぽつりぽつりと並んでいる。風情が漂い、仕事を携えていると、自分がもうすでに文豪にでもなったような気分になる。
 
湯原温泉ホームページ: https://www.maniwa.or.jp/yubara/
 
「湯フィス」があるのは、「湯本温泉館」3階。
長らく使われていなかった場所を、リノベーションしたらしい。
 
入り口から入って、特産品コーナーを横目に見つつ受付へ。券売機でチケットを購入。
入浴券やタオルの購入パネルに混じって、「コワーキングスペース(1時間)」や「シェアオフィス・休憩室(1時間)」などのパネルが並んでいる。
 

 
なんだ、この見たことのないパネルの並びは……。
本当に、温泉とコワーキングスペースが一緒になっているのだ、と改めて驚く。
 
・コワーキングスペース(1時間)300円
・コワーキングスペース(2時間)600円
・コワーキングスペース(3時間)900円
・コワーキングスペース(4時間)1200円
・コワーキングスペース(1日)1500円
 
・シェアオフィス・休憩室(1時間)500円
・シェアオフィス・休憩室(2時間)1000円
 
・オンライン会議室(1時間)500円
・オンライン会議室(2時間)1000円
 
しかも、値段がそこまで高くない。たとえば1日、大阪でコワーキングスペースを使用しようと思ったら、2000円ぐらいするだろう。3000円のところもあるかもしれない。
 
購入したのは、「コワーキングスペース(3時間)900円」。
カードキーのため、時間内は出入り自由である。1日利用の場合は途中、お昼ごはんを食べに温泉街へ繰り出してもいい。
徒歩3分ぐらいのところにある無料の「足湯」に行ってみるのもいい。
 
ちなみに入浴は、真庭市内であれば「大人1人300円」。真庭市外であれば「大人1人600円」となる。
午前10時から午後10時までのコワーキングスペース(1日)と組み合わせれば、「仕事」と「温泉」を行き来する、夢のようなループが可能になる。
 

◆都市部から温泉にテレワークができる。

 
心がゆるむ湯けむりの気配を感じながら、エレベーターで3階へ。
受付で渡されたカードキーを使って、コワーキングスペースの扉を開く。
 


そこは――、外観からは想像もつかない空間だった。
サッパリとしたシンプルな場所でありながら、無機質ではない。静かなんだけど、なんとなく息吹きが感じられる。床の緑が映える、とても優しい空間であった。
大きな窓の向こうには、山々と河原、温泉街がある。
 


なにより、さまざまな形のデスクに驚く。
どれが自分に合うかな、なんて思いながら、ひとまず手あたり次第に座ってみた。
スタンディングのように仕事ができるスツールタイプや、しっかりと腰を据えられる深めの椅子、広々としたデスク。仕事と向き合うのにうってつけのボックスタイプもあった。
 

 
そのうちのひとつに腰かけて、さっそくパソコンを開き、仕事を始……。
……え。は、早い!信じられないことに、wi-fiが爆速である。動画も、オンライン会議も、なにをしても支障がない。
 


これならば、「ワーケーション」ができるじゃないか!
蒜山高原や湯原温泉郷、勝山町並み保存地区をはじめ、鳥取県の大山、倉吉白壁土蔵群などなど、近隣の観光を楽しみながら働く「ワーケーション」の拠点に最適じゃないか!
もちろん、「テレワーク」も「リモートワーク」もできる。
 
ワーケーションやテレワークが流行しているのは、「働きやすさ」が価値を持つようになったから。働きやすい環境ならば、パフォーマンスがより発揮できる。
自然とモチベーションが上がり、生産性も向上していく。
文豪たちはもっと前から、その真実を知っていたのだろう。
 
近隣を飛び出して、温泉街にテレワークをする気持ちがわかる。
 
そんなことを考えていたが、やがて僕自身も仕事に没入していく。
温泉街のまんなかにあるとは思えないほど静かで、ほどよい室温に保たれている。なんとなくアルファ波も出ているような気がしてくる。仕事もはかどっていく。
集中力を高められる空間だった。
 
そのときに書いたものが、この記事である。
 
ここでの「館詰め」はいい。
会社だと雑談や用事が入って、なかなか集中できない。家だと雑多なものが目に入って、これまたなかなか集中できない。カフェだと店員さんの目が気になってくる。
 
ならば思い切って、「この仕事をするぞ!」と飛び出してみる。
アイデアに煮詰まったら、すぐ下の「温泉」に入ればいい。もう一度、集中力を取り戻そうと思ったら、近くの「足湯」に入ってみるのもいい。
 

◆オンライン・オフラインの会議やプレゼンも可能

 
じつは、コワーキングスペースのほかにも、シェアオフィスと会議室がある、とのこと。許可を得て、なかを覗いてみた。
 
シェアオフィスは、和室に座卓。
思わず、「これぞ館詰め!」と叫びそうになった。まるで執筆する文豪の背中が見えるような空間。温泉旅館の一室を彷彿とさせる。
座卓に慣れ親しんだ人には、きっとしっくり来るだろう。
 

 
モニターが設置されているため、オンライン会議もできる。
フォーマルな会議というよりは、リラックスしながら臨む「アイデア出し」の会議などに向いている。もちろんオンラインだけではなく、リアルな会議にもうってつけだった。

一転、会議室はとてもフォーマル。
10人が座れる大テーブルに、巨大モニターが置かれている。
ドラマのワンシーンに出てきそうなカッコいいプレゼンテーションや、大切なものごとを決める会議、規模の大きなオンライン会議も可能。
 


しかしまさかだれも、そのすぐ下で温泉が湧いているとは思うまい。
 
これが「湯フィス」のポテンシャルだ、とひとりでにやにやしてしまった。
 
当然、帰りは同館の2階にある温泉へ。階段を下りるだけの徒歩10秒。
仕事に集中したほどよい疲労感を癒すには、やはり温泉がいちばん。ちょっと気を大きくして、1000円でバスタオルを購入した。
 


温泉に浸かりながら思う。
 
館詰めをすれば、僕たち一般人でも名作に値する仕事ができるのではないか。仕事のクオリティを高めるキーワードは、「館詰め」なのではないか。そう思っていたことを。
 
間違いなかった。
 
館詰めは決して、文豪だけのものではない。
この「湯フィス」が地元の人たち、都心部の人たちに門戸を開いてくれたおかげで、一般人でも温泉街で館詰めができるようになった。
仕事のクオリティを高めることができるようになった。
 
きっとこの「湯フィス」が、温泉街×コワーキングスペースの先駆けになるに違いない。そう思いながら、自分のだらしないお腹をつまんでいた。  
 
文書:甲田智之(contena 代表・もの書き)
 

◆湯本温泉館 施設案内

■利用料金
◇コワーキングスペースUffice
 ・コワーキングスペース(共有利用)300円/1時間(一日最大1,500円)
 ・シェオフィス(貸切利用)500円/1時間
 ・オンライン会議室(貸切利用)500円/1時間(最大12名まで利用可)
◇湯本温泉館(温泉)
 ・普通湯(サウナ有り)中学生以上 600円
■営業時間 10:00~22:00 年中無休
■問い合わせ先 〒717-0402 岡山県真庭市湯原温泉23 湯本温泉館 電話0867-62-2039
 コワーキングスペースUfficeについてはコチラまで↓
 〒717-0406 岡山県真庭市豊栄1515  真庭市役所湯原振興局  電話0867-62-2011
 
■お得な法人登録のご案内
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
入浴施設の3階にあるコワーキングスペースUfficeをより快適にご利用いただくために、法人登録(無料)をいただいた皆様へ湯元温泉館の入浴優待券を発行します。コワーキングスペースをご利用の場合に、優待券を活用できます。福利厚生などでご活用いただければ幸いです。ご希望の法人の方は以下に入力ください。メールで返信連絡いたします。 
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