観光庁が推進する「第2のふるさとづくりプロジェクト」 モデル実証事業の成果報告会を実施

第2のふるさとづくりプロジェクトPR事務局のプレスリリース

 
観光庁が推進する「第2のふるさとづくりプロジェクト」
モデル実証事業の成果報告会を実施
3月下旬には、全事業の取組をまとめたナレッジ集も公開
 
 観光庁では、「何度も地域に通う旅、帰る旅」という新たな旅のスタイルの普及・定着を図るべく、 「第2 のふるさとづくりプロジェクト」を推進しています。今年度は、第2のふるさとづくりに必要な要素として、地域 との関わりの創出、柔軟な滞在環境づくり、移動の足の確保などに対して優良事例を創出するために、 全国19地域でモデル実証事業を実施しました。 3月9日(木)に行われた成果報告会では、3地域の実証内容の発表に加えて、「交流の場・拠点 の作り方」と「第2のふるさとづくりと移住」をテーマとしたトークセッションが実施され、活発な意見交換が行 われました。その様子はオンライン配信し、約150名の自治体関係者やメディア関係者に視聴されました。
 

「第2のふるさとづくりプロジェクト」成果報告会 概要

【日 時】令和5年3月9日(木) 14時00分~16時00分
【形 式】Zoomウェビナー形式
【プログラム内容・登壇者】
 ■成果報告会プログラムの説明
 ■開会挨拶:観光庁 観光地域振興部 観光資源課 新コンテンツ開発推進室長 佐藤 司
 ■成果報告(モデル実証事業者)
  ○北海道・国立公園の町で「食住遊働」コンセプトによるどさん子育成プログラム実証事業
   取組地域:北海道川上郡弟子屈町
   登壇者:北国からの贈り物株式会社 鈴木 藍氏
  ○「地域に何度も通う旅、帰る旅」を持続可能かつ再現性高く実現するためのカスタマー・プラット
   フォーム づくり(CRM 基盤)および関係性構築人材の育成プロジェクト in 雪国観光圏
   取組地域:新潟県南魚沼市ほか
   登壇者:一般社団法人雪国観光圏 代表理事 井口智裕氏
  ○地域に通う、心が通う、課題解決型ラーニングツーリズム事業
   取組地域:京都府南丹市美山町
   登壇者:一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会 高御堂和華氏
 ■トークセッション:
  ~交流の場・拠点の作り方について~
   登壇者:Endemic Garden H 代表取締役 仲本いつ美氏
       埼玉県横瀬町まち経営課 (自称)失敗推進係長 田端将伸氏
  ~第2のふるさとづくりと移住について~
   登壇者:埼玉県比企郡小川町 小川町魅力発信拠点むすびめ 八田さと子氏
 ■来年度に向けた取組について:観光庁 観光地域振興部 観光資源課 日比裕介
 

実証事業3地域による成果報告

【北海道・国立公園の町で「食住遊働」コンセプトによるどさん子育成プログラム実証事業】
 取組地域:北海道川上郡弟子屈町
 登壇者:北国からの贈り物株式会社 鈴木 藍氏
 鈴木氏は、国立公園内に位置する同町の特長を生かし、「人類が忘れて しまったホンモノの自然の恵みを何度でも気軽に訪れ、味わうことで 自分らし い人生と心を取り戻すことができる弟子屈町」をコンセプトにした取組について 報告。コンセプトや目標、実施内容を設定する際には、グラフィックレコードの 手法を採用したことを説明し、議論の経緯やまとめをイラスト化することで地域 関係者の理解促進につながったと話した。
 具体的な取組については、自然との共生や本質的に豊かな時間、そこで働 く人たちの哲学と生き様を疑似体験できる‟食住遊働プログラム”と合わせて、 地域との深い交流を育むツアーとファンコミュニティ形成、Webサイト活用によ るコンテンツの可視化、同町のファンと地域をつなぐコンシェルジュ育成等の実 内容を説明。最後に、同氏は1万年以上の昔から自然と共に人が生きてきた 同町の歴史に触れ、次の世代に向かって何をしたらよいのかを一緒に考え、 世界に誇れる地域づくりを行いたいと目標を語った。
 
【地域に通う、心が通う、課題解決型ラーニングツーリズム事業】
 取組地域:京都府南丹市美山町
 登壇者:一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会 高御堂和華氏
 高御堂氏は、かやぶき屋根などの日本の原風景を保つ同町の魅力と山村 留学など教育機関との連携の実績を生かし、企業や教育と結びついたラーニ ングツーリズムの実証を行ったことを報告。
 4大学から約70人が参加したツアーでは、旅マエから関係性を構築し、地 域の暮らし体験や地域で活躍する若者へのインタビューなど地域に溶け込む プログラムにより理解促進につなげたことを報告した。
 企業を対象としたプログラムでは、同町が生産する食材を扱う企業の社員 が来訪し、生産者との交流を図り、持続可能な農業について意見交換を 行ったことを説明。また、再来訪のきっかけとして地域イベントへの協力者を 募ったところ8人が再来訪。あわせて、来訪者と地域の人をつなぐ役割として 町内の事業者や住民を対象にコンシェルジュを養成したことも報告した。
 
【地域に何度も通う旅、帰る旅」を持続可能かつ再現性高く実現するためのカスタマー・ プラット
 フォームづくり(CRM 基盤)および関係性構築人材の育成プロジェクト in 雪国観光圏】
 取組地域:新潟県南魚沼市ほか
 登壇者:一般社団法人雪国観光圏 代表理事 井口智裕氏
 井口氏は、3県7市町村にまたがる「雪国観光圏」の取組として、「行く」の ではなく何度も通う「帰る旅」をコンセプトとした実証について報告。 「帰る旅」の循環モデルの中心的な事業として、宿泊施設内にシングルルー ムを設置し、5時間の手伝いと自室の清掃活動により、無料での滞在を提供 するとともに、関係を構築する実証を実施。地域に密着して暮らすように旅す る‟異日常型観光“の仕組みの構築について説明した。
 来訪者を対象にした調査では、満足感を得た人が約70%で、再訪の意向 率も約50%と良好な結果を確認。今後、事業を継続させてリピーターを獲 得するために、観光事業者などを対象にした関係性クリエイターの育成など、 人材育成に注力したいと話した。
 

「交流の場・拠点の作り方」「第2のふるさとづくりと移住」をテーマとしたトークセッション

 成果報告会の後半は、「交流の場・拠点の作り方」と「第2のふるさとづくりと移住」をテーマとしたトーク セッションを実施しました。
 「交流の場・拠点の作り方」では、沖縄県国頭村役場を退職してやんばる地域で観光業に取り組む Endemic Garden H 代表取締役 仲本いつ美氏と、埼玉県横瀬町まち経営課 (自称)失敗推進係 長 田端将伸氏が登壇。自治体職員としての経験や、新たな取組にチャレンジされているお二人に、官民 それぞれの立場から地域の携わり方についてお話を聞きました。
 「第2のふるさとづくりと移住」をテーマとしたトークセッションでは、ご自身が移住経験者で、現在は移住を サポートや観光案内をはじめとするまちづくりに取り組む、埼玉県小川町魅力発信拠点むすびめの八田さ と子氏が登壇。ご自身の移住の経験や、第2のふるさとづくりと移住についてお話を伺いました。
 
【トークセッション➀:交流の場・拠点の作り方について】
・地域交流の拠点を作り出すために心がけていること
 田端氏は、来訪者も住民も気軽に声を掛け合う空気づくりが大切で、 中心人物となる施設の管理マネージャーを配置していると話しました。
 仲本氏は、宿泊施設が住民の生活圏に位置することから「宿泊者と 共に必ず集落を歩いてローカルルールを伝える」という、適度な距離感を 保つための工夫について話しました。
・ハード面での工夫
 仲本氏は「土間のある空間を整備し、地域の人も気軽に遊びに来るような雰囲気づくりを行った」と体験 談を披露しました。田端氏は同町の交流施設が住民のアイデアを導入しながら作られた経緯を説明し、さ まざまな人が行きかう「縁側のような場所づくり」を理想にしていると話しました。さらに、交流の場には「ゆる やかさ」が大事であり、来訪者の反応に臨機応変に対応することで、地域の魅力を伝えられると話しました。
・人材育成とコミュニティーの作り方
 仲本氏は、移住促進に向けての取組は「予算が切れると人との縁も切れやすい」という傾向を話し、事 業を持続させるには「同じ志を持つ仲間を作ることが大切」とコメントしました。田端氏も同様に「何かをやり たいという熱意が起点となって大きな動きになる」と、人材の大切さを指摘。住民の熱意を応援するような 行政サービスを提供したいと話しました。コミュニティーづくりについて田端氏は「面白そうに何かをやっている 人をつくることが大事」で、そこに仲間が生まれると話しました。仲本氏は「人に共感してよく知ろうとすること が、次の提案につながりリピーターを生む」と、人のつながりを深め継続性を高めるヒントを教えてくれました。
 
【トークセッション②:第2のふるさとづくりと移住について】
・移住の経緯
 八田氏は、もともと関心を持っていた有機農業を推進する町として小 川町は有名であり、仕事で訪ねる機会が増えたことで地域の魅力に触 れたと振り返りました。その後、ライフステージの変化に伴い、職住近接が 可能で育児に適した環境を希望し、東京からの移住を実行したと経緯 を話しました。
・サポートの工夫/継続的な来訪者の獲得
 同氏が携わる移住サポート拠点では、移住者だけでなく観光客のサポートも行い、さらに住民も集う店 舗を兼ねることで、交流促進を図っていると説明しました。この施設を通じて、「畑を持ちたい」「この町で事 業をしたい」と希望を持った町外者のコーディネートを行い、移住につなげた事例を紹介しました。
 同氏はサポートの施策として、移住者の紹介動画、日帰りも可能な有機農業の研修を紹介。移住に 関心を示したものの次のステップに進めない人に向けては、町外から訪れる人も含めて地域に関わる人を 特集したガイドブック制作や、紙すきや地元食材の食事、町内の見どころを紹介するツアー、民泊事業者 との連携によるツアーを実施。これらに町外者が企画段階から参加する体制をとり、ともに地域の魅力を発 掘することで理解を促進し、つながりを深めたと成果を話しました。
 そうした気運づくりから、同町には、観光目的ではなく、第2のふるさとのように町外者が来訪する事例が 見られることを紹介。「廃校」を紹介したツアーを契機に、同町の魅力にひかれて遠方からアルバイトに来る など、継続的な来訪者を獲得したと説明しました。
 
■第2のふるさとづくりプロジェクトのナレッジ集を3月下旬に公開予定
 地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、民間事業者などが第2のふるさとづくりに取り組む際 参考にしていただけるよう、今年度、モデル実証事業を行った19自治体の施策などをまとめたナレッジ集を 3月下旬、「第2のふるさとづくりプロジェクト」特設ページで公開を予定しております。
 ナレッジ集では、第2のふるさとづくりプロジェクトの背景や狙い、今年度採択された19事業者による事 業概要、3地域による施策の詳細や成功のポイントなどを紹介しています。
 
「第2のふるさとづくりプロジェクト」特設ページ
 https://www.mlit.go.jp/kankocho/anewhometown/
 
<第2のふるさとづくりプロジェクトとは>
 新型コロナウイルス感染症の影響等によって働き方・住まい方に関する意識が変化する中で、密を避け、 自然環境に触れる旅へのニーズなどが高まっています。また、大都市にはふるさとを持たない若者が増え、田 舎に憧れを持って関わりを求める動きも存在しています。こうした新しい動きも踏まえ、国内観光の新しい需 要を掘り起こし、地域経済を活性化する観点から、いわば「第2のふるさと」として、「何度も地域に通う旅、 帰る旅」という新たな旅のスタイルを提案しています。
 
 詳細はこちらをご参照ください。
 ●「第2のふるさとづくりプロジェクト」施策紹介ページ:
   https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/anewhometown.html
 ●「第2のふるさとづくりプロジェクト」特設ページ:
   https://www.mlit.go.jp/kankocho/anewhometown/
 ●「第2のふるさとづくりプロジェクト」Instagram:
   https://www.instagram.com/anewhometown/

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。