NPO法人モンキーマジックのプレスリリース
世界選手権4連覇をはじめ、数々の戦績を残した全盲のアスリート小林幸一郎が、3月に開催されたパラクライミング日本選手権出場をもって55歳で現役選手引退を表明しました。
小林は2006年に、世界で初めてロシアで開催された障害者クライミング国際大会に出場し優勝、2011年にはイタリアで開催された初めての世界選手権に男子視覚障害B2クラス(※)に出場し優勝しました。2014年からは視力の低下に伴いB1クラスに変更し、2019年まで世界選手権4連覇の成績を残しました。
国内外でレジェンドと評されることも多いなかこの度55歳で現役選手を退くこととし、引退後も2020年から共同代表を務める、一般社団法人日本パラクライミング協会にて、2028年ロサンゼルスパラリンピック追加種目最終選考に残るパラクライミング競技の発展に寄与します。
<主な国際大会戦績>
2006年 パラクライミングワールドカップ視覚障害男子クラス1位(ロシア)
2011年 パラクライミング世界選手権 視覚障害男子B2クラス1位(イタリア)
2012年 パラクライミング世界選手権 視覚障害男子B2クラス2位(フランス)
2014年 パラクライミング世界選手権 視覚障害男子B1クラス1位(スペイン)
2016年 パラクライミング世界選手権 視覚障害男子B1クラス1位(フランス)
2018年 パラクライミング世界選手権 視覚障害男子B1クラス1位(オーストリア)
2019年 パラクライミング世界選手権 視覚障害男子B1クラス1位(フランス)
2021年 パラクライミング世界選手権 視覚障害男子B1クラス5位(ロシア)
2021年 パラクライミングワールドカップ 視覚障害男子B1クラス1位(アメリカ)
※世界選手権は2011年から隔年開催、ただし2012年・2019年は年度調整のため連続開催。
今後も2005年に自ら立ち上げ、率い続けるNPO法人モンキーマジックを通じた障害者クライミングの一層の普及に努め、競技スポーツと社会スポーツ、その両面からクライミングを通じたインクルーシヴ社会の実現に向けた活動に尽力してまいります。
【小林幸一郎プロフィール】
小林幸一郎(こばやしこういちろう)
クライマー
NPO法人モンキーマジック 代表理事
一般社団法人日本パラクライミング協会 共同代表
フリークライミングの普及を通じた視覚障害者を初めとした人々の可能性を大きく広げることを目的とした活動をモンキーマジックを通じ精力的に展開。スクールやイベントを通じて様々な交流を生み出し、視覚障害にとどまらない障害者理解促進やその自立支援の実現を目指す。同時に多様性を認め合うことのできるより成熟した社会の実現を目指す。
< 経歴 >
1968年 東京都生まれ。16歳でフリークライミングと出会う。大学卒業後旅行会社入社、アウトドアメーカーに転職。(合計11年間企業人として務める)
1996年・28歳 「網膜色素変性症」という目の難病が発覚「将来失明する」という医師からの告知と失意の日々。
2005年・37歳 NPO法人モンキーマジックを設立(同年、アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ登頂)
2006年・38歳 「パラクライミング選手権」視覚障害者男子部門 優勝(ロシア・エカテリンブルグ)
2011年・43歳「パラクライミング世界選手権 視覚障害男子B2クラス 優勝(イタリア・アルコ)
・2014~2019年 パラクライミング世界選手権4連覇(視覚障害男子B1クラス)
2014年・46歳 スペイン・ヒフォン大会
2016年・48歳 フランス・パリ大会
2018年・50歳 オーストリア・インスブルック大会
2019年・51歳 フランス・ブリアンソン大会
その他国内外大会優勝経歴多数
2014年 第64回日本スポーツ賞受賞
< 著書 >
『見えないチカラ 〜視覚障害クライマーが見つけた明日への希望〜』 アスペクト出版 2011年
『見えない壁だって、越えられる』 飛鳥新社 2015年
※視覚障害のクラス分け
先天的または後天的に視覚に障がいがあり、日常生活や就労等において不自由を強いられている方を対象とします。クラス分けは光覚や視力・視野によってB1・B2・B3クラスに分けられ、B1クラスが視覚障害のなかで最も障害の程度が重いクラスになります。