東京観光財団と株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツが「観光バリューチェーン」をテーマに共同研究を実施

公益財団法人東京観光財団のプレスリリース

公益財団法人東京観光財団(東京都新宿区、理事長:金子眞吾、以下「TCVB」)と株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ(東京都千代田区、代表取締役社長:永吉和雄、以下「WBA」)は、共同研究「東京の観光産業の広がり(観光バリューチェーン)を可視化する」を実施しました。

観光は「裾野が広い」産業と言われますが、代表的な観光事業者としてイメージされ易いのは、宿泊施設、旅行会社、交通事業者や大規模イベント施設等の、旅行者と直接接する事業者であり、その先にどのような業種が間接的に関わっているかはあまり認知されていません。例えば、宿泊施設であれば、その先に仕入先や地域との連携など、多くの事業者等が間接的に関わることによってサービスが提供されており、その存在なしには旅行者に高い価値を提供することは出来ません。

そこで本研究は、こうした観光産業の構造への、より一層の理解促進を目的に、間接的に観光に関与している業種までを含めた観光産業の付加価値創造の連鎖を「観光バリューチェーン」と呼び、都内のホテルとスポーツイベント事業者を軸に、それぞれがどのような業種と繋がり、どれほどの雇用を創出しているかの算出・マッピングを試みました。

国内における「観光バリューチェーン」の研究事例は少ないものの、UNWTOを筆頭に、国際的にも観光産業の広がりの規模や経済波及効果をバリューチェーン(価値連鎖)として可視化する動きがあります。今回、その考え方に沿って検証した結果、一般にはイメージされにくい観光産業の異業種への広がり(=観光の裾野の広さ)を明示することが出来ました。

【研究概要】
本研究では、東京における「観光バリューチェーン」の実態を調査し、可視化することを試みました。具体的には、旅行者が東京を訪問する際の主要な業種・施設として、次の2つの事業を取り上げ、それぞれが取引している事業者の業種を明らかにし、さらに、雇用創出等の経済波及効果を調査しました。

 ・スポーツイベント事業者(東京フットボールクラブ株式会社 以下「FC東京」という)

・宿泊事業者(株式会社セルリアンタワー東急ホテル)

「東京の観光産業の広がり(観光バリューチェーン)を可視化する」共同研究報告書本編
https://www.tcvb.or.jp/jp/project/toursm%20value%20chain%20report%202023mar.pdf
「大規模スポーツイベント事業:観光バリューチェーンマップ」
https://www.tcvb.or.jp/jp/project/value%20chain%20map%20sports.pdf
「宿泊事業:観光バリューチェーンマップ」
https://www.tcvb.or.jp/jp/project/value%20chain%20map%20hotel.pdf

【都内スポーツイベント事業者、ホテルの2019年の雇用創出効果は?】
FC東京の調査においては、同社がイベント等を実施するにあたって関わる関連事業者として、ファンクラブ運営、来訪者の輸送に関わる鉄道会社、場内警備、場内清掃・保守、施設管理、飲食ケータリング、グッズ・スポーツウェア製造販売等、幅広い業種が挙げられました。また、FC東京とこれらの関連事業者を合計した2019年における雇用創出効果は、46,509人日/年であり、FC東京を中心とした関連事業者数は、延べ51社(同34業種)に上ることが分かりました。
 

セルリアンタワー東急ホテルの調査においては、同社がホテル利用者にサービスを提供するにあたって、リネンクリーニング、客室清掃、共用部分清掃、アメニティ卸、花き手配、館内音響事業者等、こちらも幅広い業態との繋がりが確認出来ました。また、これらの関連事業者へのヒアリングの結果、セルリアンタワー東急ホテルと合計した7社の2019年の雇用創出効果は、141,086人日/年であり、同ホテルを中心とした関連事業者数は延べ248社(同36種)に上ることが確認できました。
 

【本研究で分かったこと】
FC東京及びセルリアンタワー東急ホテルへのヒアリングでは、両施設を利用する訪問者や旅行者とは、直接の接点は多くないものの、大規模スポーツイベントや、ホテルでの宿泊や飲食等のサービス提供に欠かせない、幅広い業種の事業者が関わっていることが浮き彫りになりました。また、イベントやサービスを提供するにあたって、それらの業種にも、多くの雇用を生み出していることが明らかになりました。なお、今回はヒアリングには至りませんでしたが、その他にも、食品や飲料、各種メーカー等、2事業者から繋がっている数多くの業種があり、その事業者の中には地域内の小規模な個人経営店のような業態も含まれ得ることを、認識する必要があります。

観光客に、より高い顧客体験を提供していくためには、DMO等の観光推進組織が中心となり、「観光バリューチェーン」を意識・可視化して、どのような業種が域内の観光に関わっているのかを把握し、そのつながりを保ち、発展させながら、より高い顧客体験を提供できるよう、努めていくことが重要です。

<TCVB共同研究>
https://www.tcvb.or.jp/jp/project/research/theme/

【本件に関する問合せ先】
■公益財団法人東京観光財団 総務部総務課(企画調査)
電話:03-5579-2680 メールアドレス:sanjyokaiin@tcvb.or.jp
■株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ
電話:03-6265-6442 メールアドレス:fenestra@wba.co.jp

 

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。