星野リゾートのプレスリリース
石川県山代温泉の温泉旅館「界 加賀」に、2023年4月19日、伝統的な金継ぎで大切な器を守る「金継ぎ工房」が誕生します。温泉旅館の内部施設に金継ぎをする専用の場所が誕生することは、日本で初めてとなります。金継ぎとは、陶磁器の破損部分を漆によって接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる日本の伝統的な修復技法のこと。金継ぎ工房では、合成樹脂を含まない天然漆で仕上げる本格金継ぎで、スタッフが自ら、器の修復を行います。宿泊ゲストは作業を見学や、修復工程の一部を体験でき、温泉旅館でのくつろぎの時間の中で、金継ぎの技法や背景となる歴史、それによって深みを増す器の趣に気づくひとときを過ごせます。
背景
界 加賀では、当館ゆかりの文化人である北大路魯山人の「器は料理の着物」という言葉に倣い、器と料理のマリアージュにこだわり、器を宝物として大切に扱っています。2015年の開業当初に地元の九谷焼、山中塗の作家に依頼し、多くの器を作っていただきましたが、毎日使用することにより、どうしても器の劣化や破損が生じてしまいます。それを廃棄するのはもったいないと感じた元蒔絵師のスタッフが、自分たちの手で大切な器を守っていくことを目的に2019年から金継ぎの技術を広めました。今では金継ぎができるスタッフは全体の半数を超え、修復を行った器の数は300点以上にもなります。今後も界 加賀のスタッフが器を宝物としてとらえ、より本格的に取り組んでいくため、金継ぎ工房を誕生させることになりました。
金継ぎ工房の特徴
特徴1 天然漆で伝統的な金継ぎを行う工房
漆とは、ウルシの木から採れる樹液のこと。界 加賀の本格金継ぎは、天然漆をはじめとした自然の素材のみを使って器を継ぐ伝統的で難易度の高い金継ぎを指します。合成樹脂で器を接着し、短期間で器を修復することもできますが、私たちは作家に作っていただいた大切な器を永く、そして安心してお客様に使っていただけるよう天然漆を使った伝統的な金継ぎにこだわります。
特徴2 使命感あふれるスタッフが、金継ぎ技術を習得中
金継ぎ工房で器を継ぐのは、温泉旅館のスタッフとして接客サービスを行う界 加賀のスタッフ自身です。天然漆を使用した金継ぎは難易度が高く、指導者レベルになるには年月がかかりますが、地元の金継ぎ作家である中岡庸子氏を講師に招き、スタッフが日々学び続けながら活動しています。地元の作家が心を込めて作ってくださった大切な器を守ることと、金継ぎ技術を継承していく思いを胸に、失敗を重ねながら技術を磨いてきました。中には、本に習い、地元の金継ぎ教室に通い、自発的に技術を磨いたスタッフもいます。漆で接着する本格金継ぎは、1つの器を継ぐのに少なくとも1か月以上を要する根気のいる作業ですが、スタッフは破損が生じた器にも愛着を持ちながら大切に修繕活動に取り組んでいます。
スタッフ バヨデスティボ カロリーヌ
界 加賀に来て初めて金継ぎについて知り、漆や九谷焼について教えてもらううちに、器の大切さをより深く感じるようになりました。金継ぎ工房が誕生することにより、地元の作家さんが手間暇をかけて制作している器をより大切にし、お客様には日本の伝統のひとつである金継ぎを紹介できることを楽しみにしています。
スタッフ 野口 ひな
金継ぎでは、割れたお皿だけではなく、その皿に詰まった持ち主の思い出や歴史も繋いでいると思えるのが魅力だと思っています。割れても直せることを知ると、躊躇なく気に入った器を購入することができ、食事時間を華やかにすることができます。金継ぎを知ったお客様が旅先で出会った器を持ち帰り、欠けても直しながら、器との思い出をつくってほしいと思っています。
特徴3 宿泊ゲストが金継ぎの一部を体験できる「金継ぎいろは」
金継ぎいろはでは、金継ぎの歴史や道具、界 加賀とのつながりの説明をスタッフから行います。その後、本格金継ぎの一部を体験できる時間を設けます。お客様が体験できるのは、金継ぎの数ある工程のうち3工程のどれかです。その3行程とは、欠けた器を漆のパテで埋める「埋め」、継いだ部分に金粉を蒔く「粉蒔き」、蒔いた金粉を漆で固める「固め」の工程です。漆は湿度や気温により、硬化するまでに数日から1週間かかることもあり、その日の作業状況により体験できる内容は異なります。金継ぎの一部を実際に体験していただくことで、金継ぎ技術の難しさ、奥深さを自身の手で体感することができます。
開催日:毎日 15:30~30分
費用 :無料
定員 :6名
開催日:毎日 15:30~30分
費用 :無料
定員 :6名
特徴4 約200年前に建てられた登録文化財の古建築と展示品のこだわり
紅殻格子が特徴の界 加賀の伝統建築棟は、国の登録文化財で、文政年間(1818~30年)に建築されたと言われています。金継ぎ工房誕生にあたってのリニューアル工事は、紅殻色を基調とした外観はそのままに、表通りからの景観との一体感にこだわりました。窓からはスタッフが器を修復している様子を見ることもできます。また、内装も格子の色と合わせた紅殻色の壁とし、壁には実際に金継ぎで使う道具類を展示しています。展示している道具や器は、金継ぎや漆の専門家からの助言のもと、1点1点念入りに揃えました。
金継ぎ技法専門家 中岡庸子氏
加賀市の漆工芸大下香仙工房(現:漆工芸大下香仙株式会社)で蒔絵を学び、その後蒔絵の修復について学びに漆芸家 更谷富造氏に師事。金継ぎを中心に、漆を使った表現など創作活動をしている。
金継ぎ工房開業へのメッセージ
「プロジェクトが始まる前から、金継ぎ教室にきてくださっていたスタッフの方を通じてご縁をいただき、この度スタッフの皆様と金継ぎをさせていただくこととなりました。界 加賀の金継ぎを待つ器の数々を拝見させていただいた時、一つ一つの器に謂れがあり、器の作家のことや盛るお料理についてお話される様子から、日々お客様にどのように季節や文化を滞在中楽しんでいただくかを大切にされていることが伝わってきました。そのような大切な器を、これからスタッフの皆様自身で継いでいける場所ができたこと、心よりお祝い申し上げます。スタッフの学びの場所を作ることで文化の担い手の裾野を広げていかれるという取り組みに驚き、そのような機会にお声がけいただいたことも嬉しく感じております。」
漆の専門家 堤淺漆店 森住健吾氏
明治42年創業。日光東照宮をはじめ、国宝・重要文化財建造物の修復に漆を卸す京都の漆原材料店。日本産漆精製シェアNO.1。国内外の漆芸家や職人に漆や漆工材料を販売する一方で、自宅で出来る体験キット「金継ぎコフレ」が大ヒット。漆普及活動「うるしのいっぽ」や「URUSHI×SURF」「URUSHI×SKATE」「URUSHI×BMX」など漆の新しい価値観や可能性を発信。三井ゴールデン匠賞受賞。
ホームページ:https://www.tsutsumi-urushi.com/
ホームページ:https://www.tsutsumi-urushi.com/
金継ぎ工房開業へのメッセージ
「旅館オープン当初から使い続ける、地元・九谷焼職人さんが手掛けた器。それらが割れたり欠けてしまった時、スタッフ自らが金継ぎによって新しい命を吹き込み、また使い続ける。こんな素敵な取り組みを本格的にスタートされるとお聞きし、私たちも大変共感致しました。業界に先駆けたこの素晴らしい取り組みに賛同し、微力ながらお手伝いさせて頂けたこと、心から感謝申し上げます。この「金継ぎ工房」が、界 加賀とお客様、地域、伝統文化との「つなぎ」役になり、益々発展されることを願っております。」
SDGsへの貢献について
星野リゾートは経済価値と社会価値を両立する CSV 経営(CSV:共通価値の創造)が重要だと考えています。SDGs(SDGs:持続可能な開発目標)をCSV経営を促進するためのフレームワークとして捉え、各施設でさまざまな取り組みを推進しています。界 加賀の金継ぎに関する取り組みは、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に寄与することを目指しています。
「金継ぎ工房」概要
オープン日:2023年4月19日
時間 :見学 15:00~17:30
金継ぎいろは 15:30~30分間
定員 :金継ぎいろは 6名
対象 :宿泊者、12歳以上を対象
予約 :金継ぎいろは 当日現地フロントにて予約
料金 :無料
詳細:[https://hoshinoresorts.com/ja/sp/kaikaga_kintsugi/]{https://hoshinoresorts.com/ja/sp/kaikaga_kintsugi/}
時間 :見学 15:00~17:30
金継ぎいろは 15:30~30分間
定員 :金継ぎいろは 6名
対象 :宿泊者、12歳以上を対象
予約 :金継ぎいろは 当日現地フロントにて予約
料金 :無料
詳細:[https://hoshinoresorts.com/ja/sp/kaikaga_kintsugi/]{https://hoshinoresorts.com/ja/sp/kaikaga_kintsugi/}
界とは
「界」は星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランドです。「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、季節の移ろいや和の趣、伝統を生かしながら現代のニーズに合わせたおもてなしを追求しています。また、その地域の伝統文化や工芸を体験する「ご当地楽」や、地域の文化に触れる客室「ご当地部屋」が特徴です。2022年11月に、21施設目となる「界 出雲」が島根県・出雲ひのみさき温泉、22施設目となる「界 雲仙」が長崎県・雲仙温泉に新規開業しました。
URL:[https://hoshinoresorts.com/ja/brands/kai/]{https://hoshinoresorts.com/ja/brands/kai/}
URL:[https://hoshinoresorts.com/ja/brands/kai/]{https://hoshinoresorts.com/ja/brands/kai/}
界 加賀(石川県・山代温泉)
加賀水引・加賀友禅などの伝統工芸をちりばめた客室や、スタッフが披露する加賀獅子舞など、伝統とモダンが融合した宿。山中漆器や九谷焼の器で料理とのマリアージュを楽しめます。名物料理「活蟹のしめ縄蒸し」は、ミシュランガイド富山・石川(金沢)に紹介されました。
所在地 :〒922-0242 石川県加賀市山代温泉18-47
電話 :050-3134-8092(界予約センター)
客室数 :48室・チェックイン:15:00/チェックアウト:12:00
料金 :1泊31,000円~(2名1室利用時1名あたり、サービス料・税込、夕朝食付)
アクセス:加賀温泉駅よりタクシーで約10分/小松空港より車で約30分
URL :[https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikaga/]{https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikaga/}
電話 :050-3134-8092(界予約センター)
客室数 :48室・チェックイン:15:00/チェックアウト:12:00
料金 :1泊31,000円~(2名1室利用時1名あたり、サービス料・税込、夕朝食付)
アクセス:加賀温泉駅よりタクシーで約10分/小松空港より車で約30分
URL :[https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikaga/]{https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikaga/}