滋賀県のプレスリリース
古くからの生糸、絹織物の生産地として知られる滋賀県長浜市。毎年6月初旬からは、手作業で繭から糸を取り出す「糸取り」の作業が行われ、現在、最盛期を迎えています。
昔ながらの方法で「糸取り」が行われるのは、「佃平七糸取り工房」(滋賀県長浜市木之本町大音)。絹産業の全盛期には70~80軒を数えた大音地区の糸取り工房ですが、現在は同工房が唯一の工房となっています。湯につけた繭から手作業で極細の糸を取り出し、複数本を束ねて巻き取る「糸取り」は、6月初旬から7月中旬まで行われており見学も可能です。
こうして伝統的な技法で作られた生糸は、三味線や琴といった邦楽弦楽器の弦の原糸に使用されており、「邦楽器原糸製造」として文化庁の選定保存技術にも選定されています。
糸取りを行う佃平七糸取り工房の
4代目・佃三惠子さん(手前)
1つの繭からは1,200メートルほどの
極細の糸が取れる
※文化庁の選定保存技術とは?
文化財の修理技術やそれに用いられる材料や道具の制作技術など、保存の措置を講ずる必要があるものを選定保存技術に選定し保護する制度です。
<大音地区で作られる生糸が、邦楽弦楽器の原糸に向いている理由とは?>
平安時代に始まったという伝承もある長浜市・大音地区の製糸業。賤ケ岳の雪解け水に恵まれた大音地区周辺は古くから養蚕業や製糸業が盛んで、邦楽弦楽器の原糸製造は江戸時代から続く伝統的な製糸技術です。
生糸づくりに欠かせない繭は、春繭、夏繭、秋繭と一年間に3度収穫できます。このうち、強度が求められる邦楽器の弦に使用されるのは、最もしなやかで上質とされる春繭。この春に収穫された繭を使って、6月初旬から「糸取り」の作業が始められます。
「糸取り」とは、繭から手作業で繊維をほどき出す工程です。まず、70~80度ほどのお湯に繭を浮かべ、藁を束ねたほうきを使って繭の糸口をたぐります。そして、一つひとつの繭からほどき出された極細の糸を20本ほど束ね、それを1本の生糸として巻き取ります。
伝統的な技法による生糸作りは、複数の糸を束ねて1本の生糸とする工程(繰糸工程)でも、その後に行われる乾燥工程でも、生糸に張力をなるべくかけないよう丁寧に作業が行われるため、生糸本来の弾力が保たれます。また、糸取りに使用される水はカルキなどの入らない賤ケ岳の雪解け水のため、糸がしっとりと仕上がるといいます。これらのことから、弦となったときに良い音を奏でるのではないかと考えられています。
■佃平七糸取り工房 / 「糸取り」を行う大音地区で唯一の工房
所在地:滋賀県長浜市木之本町大音975 電話番号:0749-82-2935
職人たちが伝統的な「糸取り」の作業を行う唯一の工房。良質の繭の確保が難しくなってきたことか ら、2014年からは地域の人々とともに桑の木を栽培し、養蚕にも取り組んでいます。
■丸三ハシモト株式会社 / 原糸を邦楽弦楽器用の弦へと加工する特殊撚糸製造会社
所在地:滋賀県長浜市木之本町木之本1427 電話番号:0749-82-2167
佃平七糸取り工房で作られた原糸をもとに邦楽器糸を製造するのが、丸三ハシモト。撚糸や染色、糊 引きなど、ほとんどの工程を手作業で行い、各種邦楽弦楽器用の弦へと仕上げています。特に三味線 の細い弦を作る際には、「独楽撚り(こまより)」と呼ばれる伝統工法で糸に撚りがかけられます。
・丸三ハシモト株式会社HP
http://www.marusan-hashimoto.com/
・滋賀県商工観光労働部モノづくり振興課公式YouTubeチャンネル掲載動画(楽器弦)
https://youtu.be/g9TP6h9pzE4
<シガリズム体験で湖北エリアの“絹”の伝統産業を体感!>
【輪奈(わな)ビロード】
滋賀県伝統的工芸品に指定されている絹100%の織物。ビロードとは、表面にループができるように布地を織り、ループをカットすることで表面をフワフワと毛羽立たせた生地。このループ(輪奈)をカットしないままにした生地が輪奈ビロードです。ループの配置により、美しい柄が作られます。
■株式会社タケツネ / 1919(大正8)年創業の長浜市の輪奈ビロード開発・製造・販売会社
所在地:滋賀県長浜市朝日町36-20 電話番号:0749-62-0310
滋賀県の地域の魅力を体験する「シガリズム体験」で、工場見学、職人の手仕事の見学、作業工程の 一部「芯抜き」を体験するツアーを展開中。ツアーは輪奈ビロードのマスクのお土産付き。
・株式会社タケツネHP
https://www.taketune.com/
・シガリズム体験HP(公益社団法人びわこビジターズビューローHP)
https://www.biwako-visitors.jp/shigarhythm-activity/detail/?id=730773
【近江真綿】
真綿とは、繭を引きのばして作った綿を指します。1キロの綿作りに使用される繭は、2500~3000個。
真綿を重ねて作った真綿布団は、吸湿性に優れており蒸れにくく、軽くて、温かい特徴があります。
■株式会社山脇源平商店 / 1730(享保15)年から米原市で近江真綿を製造・販売
所在地:滋賀県米原市岩脇1011-1 電話番号:0749-52-0076
昔ながらの「角真綿」と呼ばれる製法で真綿を作る会社。滋賀県の地域の魅力を体験する「シガリズム体験」で、「真綿作り」を体験するツアーを展開中。近年は蚕の餌となる桑畑をつくり、養蚕も手掛けています。
・株式会社山脇源平商店HP
https://iwogimawata.com/
・シガリズム体験HP(公益社団法人びわこビジターズビューローHP)
https://www.biwako-visitors.jp/shigarhythm-activity/detail/?id=710870
・滋賀県商工観光労働部モノづくり振興課公式YouTubeチャンネル掲載動画(近江真綿)
https://youtu.be/Mz6qyFZGg0s
【桑酒】
所在地:滋賀県長浜市木之本町木之本990 電話番号:0749-82-3037
長浜市内に酒蔵を構える山路酒造。滋賀県内の農園で作られた桑の葉を漬け込んだ桑の葉のリキュール
「桑酒」を製造しています。麹と近江の餅米でできた自然の甘味が特徴です。
・山路酒造有限会社HP
https://www.hokkokukaidou.com/