令和6年度 全国旅館政治連盟の集いが開催

全国の旅館・ホテル関係者150名が集結し、自由民主党の衆参国会議員と宿泊・観光産業の発展に向けた意見交換会を開催。

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部のプレスリリース

9月19日、東京都の都道府県会館にて、令和6年度 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部 臨時総会が開催された。臨時総会には、観光庁観光産業課課長の羽矢憲史氏、全国旅館ホテル生活衛生同業組合第11代会長の井上善博氏、全旅連女性経営者の会会長の高橋美江氏がご来賓として臨席。
臨時総会では、次期部長選任にあたり、現全国部長である塚島英太氏が業界の未来に対する熱いスピーチを行い、その後の都道府県部長による承認を経て、第27代全国部長として再任された。
また、併催された県部長サミットでは、宿フェス実行委員会より、令和7年2月5日・6日に開催される「宿フェス2025」についての説明会が行われた。

臨時総会後、東京都の海運クラブにて「令和6年度 全国旅館政治連盟の集い」が開催された。自由民主党からは57名の国会議員本人と、114名の議員代理が参加。

自民党観光産業振興議員連盟会長の岩屋毅氏をはじめ、環境大臣の伊藤信太郎氏、国際博覧会担当大臣・内閣府特命担当大臣の自見はなこ氏の2名の大臣が出席し、業界のさらなる発展に向けた熱いメッセージを発信した。また、国土交通副大臣の國場幸之助氏、旅館ホテルの未来研究会会長の鬼木誠氏、加藤勝信氏も参加し、祝辞の中で力強いエールを送った。出席した議員からは、宿泊・観光産業が日本の経済と雇用を支える基幹産業であるとの大きな期待が示され、今後も活動への支援が継続されるという力強いメッセージが寄せられた。

9月20日(金)には、全旅連青年部に所属する宿の若手経営者約150名が、東京の議員会館に集結し、自由民主党衆参両院の国会議員に対し支援要望を提出した。

全旅連青年部はこれまでにも、観光産業の回復と宿泊業界の地位向上を目指して積極的に要望活動を展開してきた。

全旅連青年部はこれまでにも、観光産業の回復と宿泊業界の地位向上を目指して積極的に要望活動を展開してきた。

宿に泊まり、宿文化を体験して頂くこと自体が、自然、食、寺院や神社といった文化遺産などと並ぶ、世界中の人々を引きつけるキラーコンテンツになっており、コロナ禍後にインバウンドが急速に回復する中、地方への誘客や観光を通じた持続可能な地域づくりが大きな課題となっている。宿泊観光産業の役割は、今後ますます重要になると認識している。

その上で、生産性・収益性の向上、人手不足問題への対応、頻発する自然災害への対応など、解決が容易でない課題が多く残されている。

これらの課題を着実に解決し、宿泊観光産業が持続可能で収益性の高い産業に変革し、業界全体の地位向上を図ることは不可欠である。その決意のもと、自民党衆参両院の議員に対し、支援のお願いを届けた。

【要望内容】

1. 宿泊観光産業の地位向上に向けた取組と発信

「観光立国・日本」を実現するためにも、宿泊観光産業は、今後我が国を支えていく基幹産業とならなければいけない。現在、宿泊観光産業に従事する方々や、これから就職を考える国内外の若い方々に宿 泊観光産業で働くことの矜持を与えるためにも、我が産業に対して、国の方から「観光が我が国にとって大事である」、そして「宿泊観光産業が我が国の基幹産業である」という業界の地位向上のためのメッセージを力強く出していただきたい。

2. 能登半島地震の対応について

能登半島地震においては、宿泊観光産業をはじめとして観光産業全体が大きな被害を受けた。世間では能登半島地震のことが忘れられつつあるが、実際には多くの宿泊施設が未だに本格的な営業が再開できない状況にあるなど、その影響は大きく残っているところである。 国においては、能登半島地震を風化させることなく、必要な支援を継続していただきたい。

3. 地域一体となった観光地・観光サービスの高付加価値化補助金の計画的・継続的な実施

令和 3 年度から実施いただいている高付加価値化事業であるが、この事業があったからこそコロナ禍の苦境を何とか耐え忍ぶことができた。しかしながら、インバウンドは相変わらず大都市部に集中し、地域の現状に目を向けると、お祭り、伝統芸能、歴史的建造物や街並みなど、これまで大切に継承してきた地域固有の価値が失われていくとと もに、廃屋となった建物が増えていくなど、地域の衰退に歯止めがかからない状況となっている。かつては温泉街と言われ栄えた地域も、今や数軒の旅館を残すのみで、他の飲食店等のほとんどがシャッターを下ろしてしまっているような場合も珍しくない。 観光立国推進計画にあるように、地方により多くの誘客を実現し、持続可能な地域を構成していくために地域の面的な再生・高付加価値化は待ったなしの状況である。旅館をはじめとした我が国の宿泊施設は、歴史的に見ても地域に支えられ、そして地域を支えてきた存在であり、その建築様式、設え、食などにおいて、地域の伝統、文化、芸能などを体現する、まさに「地域のショーケース」と言える存在であり、宿泊施設の価値を高めることは、結果として、地域の価値を高めることに他ならない。ついては、以下要望する。

① 令和4年度補正予算に盛り込まれた国庫債務負担行為 500 億円のうち未だ歳出化されていない 300 億円について、速やかな歳出化及び執行を行っていただきたい。

② そのうえで、国際観光旅客税も活用し、

・ユニバーサルツーリズムの促進、インバウンド対策や宿泊施設のバリアフリー化の支援等、宿泊施設の価値を高める取り組みを支援していただきたい。

・地域の面的な再生・高付加価値化のためには、宿泊施設だけではなく、地域の飲食店、伝統産業工房、その他の観光施設の高付加価値化も必要不可欠であり、こうした施設の改修も補助対象にしていただきたい。

・地域の価値を最も棄損しているのは廃屋であるが、廃屋の撤去については、10 億円を超えるような費用がかかる場合が多いとともに、民間金融機関 からの借り入れも困難な場合が多く、廃屋撤去についてのご支援をお願いしたい。

4. 人手不足対策について

我が国のあらゆる産業において人手不足が大きな課題となる中、宿泊観光産業においても、人手不足の問題は深刻な課題となっている。人手不足の解消に向けては、外国人材の積極的な活用も不可欠であり、宿泊施設で働く外国人の希望者は多いが雇用が進んでいない現状もあるため、マッチングイベントやジョブフェア、宿泊観光産業の魅力等の周知に係るPR活動について、国の支援をお願いしたい。 一方で、こうした外国人材の雇用までには一定の時間を要することから、喫緊の人手不足解消のためには、設備投資などを通じた人材の効果的な配置とサービス水準向上を強化する取組を進めることも必要不可欠であり、こうした取組への国の支援をお願いしたい。

5. 持続可能な地域となるような事業再生の支援

3年にも及ぶコロナ禍もあり、宿泊観光業界は、過重債務問題の対応に引き続き追われており、今後、債務返済が滞り、経営に行き詰まる事業者も増えてくる可能性が高い。また、人口減少・少子高齢化の社会を迎え、さらには、消費者一人一人の嗜好が大きく変化する中では、宿泊観光産業もこうした時代の波に合わせた変革が必要であるという現実にも向き合わなければいけない。 こうした状況も踏まえ、地域を守るために必要な、事業者の所有と経営の分離、事業継承・事業譲渡、事業再編等、事業再生を進めるための支援をお願いしたい。その際には、金融的視点だけの事業再生では絶対にいけないと考える。繰り返しになるが、我々は地域の文化を支える存在でもある。国においては、まさに旅館をはじめとする我が国の宿泊観光産業の存在意義を深く理解していただいた上で、地域を持続可能な地域となるような事業再生の支援をお願いしたい。

6. 価格転嫁の取り組みに対する支援

原油価格・物価高騰に苦しむ全国の宿泊施設は、値上げを行い適切な価格負担をお客様にお願いをしなければならないが、価格転嫁については、お客様の理解を得られにくく、 価格転嫁に踏み出せない事業者が多い。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会は、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律に基づいて設立されている唯一の全国宿泊団体であり、業界の代表として、価格転嫁の理解を国民に得られるよう活動していく。ついては、概算要求で計上されている、生活衛生関係営業物価高騰等対応支援事業の予算確保をお願いしたい。 また、宿泊施設サステナビリティ強化支援事業は大変ありがたく、予算額を上回る応募がなされるなど人気の事業となっている。未だ原油価格・物価が高止まりしている状況にあるため、宿泊施設サステナビリティ強化支援事業について引き続きの力強い支援をお願いしたい。

7. 温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録への支援のお願い

現在、宿泊観光業界を挙げて温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取組の支援を行っているところであるが、国の方でも、「温泉文化のユネスコ無形文化遺産の2028年登録を目指す」との文言を総理の施政方針演説、成⾧戦略、骨太の方針等の国としての方針を示す文章に盛り込んでいただくなど、力強くご支援お願いしたい。 また、温泉の文化的な価値を広く発信するとともに温泉文化を次代へと守り伝えていくため、各地で啓発イベントを開催するなど、温泉地の活性化・観光振興に取り組んでいただきたい。

8. 航空機燃料問題について

国も方針として掲げるインバウンドの地方誘客のためには、地方空港に国際線の定期便やチャーター便の開設が必要不可欠である。そのために各地域においては、官民一体となりその誘致に積極的に取り組んできたところであるが、航空機燃料の供給不足等により、就航を断念せざるを得ない事業が多発している。先般、「航空燃料供給不足に対する行動計画」を取りまとめて頂いたところであるが、国として引き続き状況を注視し、この問題がインバウンドの足枷となり、我が国経済の発展を阻害することのないようお願いしたい。

9. 固定資産税の見直しについて

旅館・ホテルは、不特定多数の顧客に対し、建物・施設を提供し、その使用対価を主な収入とする事業であり、その事業の特性から、施設・設備の劣化が短期間で進むとともに、顧客ニーズの変化を踏まえて、3~5年程度の周期で施設・設備の更新を行う必要があること、顧客ニーズに合致しなくなった建物は経過年数が比較的短くても除去されるような状況にある。 一方で、旅館・ホテルの用に供する建物に係る固定資産税に関しては、その評価の際の基準が、こうした建物の実態に即したものとなっているとは言い難いことから、 その基準を適正化する必要がある。令和9年度の固定資産税の評価替え時には、状況に配慮した見直しを行っていただきたい。

10. 地域の交通のアシの確保について

国の方針として掲げるインバウンドの地方部への誘客は非常に重要であり、我々宿泊観光産業としても全面的に協力をさせて頂きたい。 しかしながら、地域の現状に目を向けると、例えば、北海道などにおいては、空港や駅から宿泊施設まで、又は、宿泊施設からアクティビティまでのアシとして電車、 バスが選択肢とならず、そのうえ、タクシーによるアシの確保がままならない地域も多く存在するのも事実である。また一方で、こうした地域には農業従事者を中心に、自家用車として高級車を所有しているとともに、冬には農業に従事できないことから、 遊休労働力化しているという現実もあり、地域のアシの確保に活用すべきと考える。ついては、インバウンドの地方部への誘客を実現させるためにも、国として、地域のこのような厳しい実情を踏まえたアシの確保施策の構築をお願いしたい。 

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【令和5・6年度 全旅連青年部スローガン】
「温故知新」
~今こそ示せ!青年部の矜持を~
“IMPOSSIBLE IS NOTHING”

全旅連青年部 第26代青年部長

塚島 英太

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