不要となったタオルの綿から着火剤へ。新たな循環型バリューチェーンシステムを確立
一広株式会社のプレスリリース
タオル美術館グループ 一広株式会社(本社:愛媛県今治市 代表取締役社長:越智康行)は、かねてよりSDGsの目標達成と持続可能な社会の実現に向け、事業を通じ社会の課題解決に取り組んでおりますが、2021年にはタオル事業でのサーキュラーエコノミーシステム『リボーンコットン』を確立し、この度、リサイクルとアップサイクルの両面を併せ持つ革新的な商品『チャッカメン(着火綿)』を開発し、新たな循環型バリュチェーンシステムを確立いたしました。
そして、このたび、当『チャッカメン(着火綿)』が、2024年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しましたので、お知らせします。
尚、当社は引き続き、当該プロジェクトによって、工場で発生する綿の廃材や不適合品の廃棄量を2025年までに0%まで削減することを目指しています。
『チャッカメン(着火綿)』は、再生糸「リボーンコットン」を製造する過程で発生する糸にならない短繊維を有効活用した製品です。当社は、廃棄物となるこの短繊維の活用こそが、本来目指すサーキュラーエコノミーシステムの完成に不可欠であると考え、その再利用方法を模索してきました。その結果、着火剤として製品化することに成功いたしました。
当社は、不要になったタオルや製造過程で発生した廃材を使って「リボーンコットン」を製造し、新たなタオルの原料にするサーキュラーエコノミーシステムを構築してきました。しかし、その過程で糸には再生できない短繊維が一定量発生するため、この短繊維の再利用を実現することが、当社が目指す循環型バリューチェーンシステムの完成に繋がると考えました。
そこで、綿本来の燃えやすい特性や、製造工程で反毛される際に空気を多く含む毛羽立ち状態を活かした着火剤の開発取り組みました。
試験の結果、非常に良い成果が得られ、着火しやすく、メチルアルコールや灯油などの化学物質を使わないため、匂いや危険性も少なく、身体にも優しい製品が完成いたしました。
着火剤として必要とされる3~5分程度の燃焼時間も確保でき、一般的な着火剤と遜色ない性能を発揮します。さらに、軽量でコンパクトな形状であるため、持ち運びや収納にも便利な商品となりました。
さらに、当社はタオルの製造面においても、自社工場における水やエネルギーの使用量、廃棄物の焼却量や温室効果やガス排出の削減だけでなく、CO₂の排出量6.4%削減を実現した製造技術「5ツ星クオリティ」を採用することで、ヒトと環境により優しいタオルとなっています。
なお、当社ではそれら取り組みによって、CO2排出量を2015年対比で16.5%削減中(2024年現在)。2025年までにはCO2排出量20%削減を目指しています。
タオルの製造から販売までの一貫体制を確立している当社の特性を活かしたサーキュラーエコノミーシステムよって廃棄物や汚染などを軽減するだけでなく原材料や製品を再利用することで資源の循環を可能にしたことで、当社は従来の生産・販売に注力したリニア型サプライチェーンから販売後のリサイクル・廃棄量削減をも重視した循環型バリューチェーンへとビジネスモデルを変革いたします。
当社は経営理念である「タオルを通じ、心の豊かさと生活文化向上に貢献」を目指し、ヒトと環境、社会にとってより良い商品とサービスを提供できるよう今後も一層の努力をしてまいります。
【 2024年度グッドデザイン賞受賞 概要 】
◼️名称
着火剤 [チャッカメン]
◼️商品概要
回収したタオルを新たな製品へと再生する工程の中で発生する再利用不可能な綿繊維を着火剤として活用。一般的な着火剤に使われるアルコールなどを添加することなく原料の綿繊維のみで燃焼可能なため、化学物質による健康被害や危険、匂いが軽減。コンパクトなサイズで軽量、保管や携帯にも便利。安全、快適なキャンプライフを応援します。
◼️デザインが生まれた背景
繊維産業は製造過程や消費から廃棄までの間に生じる環境汚染等が問題となっていたことから、当社は自社・他社製品問わず使用済みのタオルを回収、当社の製造過程で発生する廃材とともに再生糸「リボーンコットン」にし、新たなタオルの原料に活用、商品として販売することで、業界初のタオルのサーキュラーエコノミーシステムを2021年に確立した。また、当社は工場で発生する廃材や不適合品の廃棄量を2025年までに0%まで削減することを目指しているが、この再生糸「リボーンコットン」を製造する際にも糸にはならない短繊維が発生してしまう。そこで、この廃棄物となる短繊維活用を実現することこそが、当社が目指す本来のサーキュラーエコノミーシステムの達成であると考え、この短繊維の活用方法を模索、着火剤として製品化することに至った。
◼️グッドデザイン賞審査委員による評価コメント
ネーミングも含めてユニークな提案である。再利用ができず廃棄されるしかない素材の特性を活かし、最後の最後まで資源を活用する姿勢が評価された。私たちが日常的に使用するタオルも、多くの繊維製品同様に、製造過程で様々な環境汚染の問題に直面していることに改めて関心をもつきっかけにもなる。環境に対する取り組みを、持続可能なかたちで実現している点も良い。
◼️仕様
【直径】約4.5×H1.5cm、【容量】3個入り、【重量】約20g /個、材質:綿100%の廃材
◼️価格
660円(税込)
◼️販路
・全国のタオル美術館ショップ
・タオル美術館公式オンラインショップ
(https://towelmuseum-shop.jp/products/34-9809060 )
・日本デザイン振興会公認ショップ「GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA」
(2024年10月16日(水)〜12月4日(水)まで)
※店舗により商品のお取扱いが無い店舗や品揃えが異なります。お近くのご利用店舗までお問い合わせください
【 その他のSDGs実現を目指した商品のご紹介 】
『5ツ星クオリティ』
高い吸水性と柔軟性に加え毛羽の少ない高機能なタオル製造を実現した「5ツ星クオリティ」製法は、製造時の電力・排水等の大幅削減を実現。これによって製造工程におけてCO₂の排出量6.4%の削減(当社比)をしました。「5ツ星クオリティ」は、機能面と環境に配慮した製法が評価され、2019年度グッドデザイン賞を受賞しました。
『MiRAi』
染料の吸着性にすぐれた特殊なアクリル紡績糸を使用することによって製造過程で発生する排水を余分な染料で汚さずにすむことを実現しました。美しい色合いや柔らかな風合いに加え、高い吸水性や速乾性を備えながら、地球環境の今や末来のことを考えてつくられたタオルです。
『フェアトレード認証コットン』シリーズ
発展途上国で生産された原料や製品を適正な価格で継続的に購入することで立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組み「フェアトレード」の活動に賛同し、フェアトレード認証コットンを用いたタオルの製造をしています。
【『チャッカメン(着火綿)』展示に関するお知らせ 】
<GOOD DESIGN EXHIBITION 2024>
会期:2024年11月1日(金)〜11月5日(火) 11:00〜19:00 ※ 11月5日のみ18:00閉場
会場:東京ミッドタウン各所
内容:2024年度全受賞デザイン展示
入場無料・事前予約不要
【タオル美術館グループについて】
タオル美術館グループの中核会社である一広株式会社(代表取締役社長:越智康行)は、1971年の創業時、愛媛県今治の地で自動織機6台からスタートしました。
現在、タオル美術館グループは、タオルの企画・製造・卸・販売に関わる全6社で運営されており、ほぼ全ての工程を自社で運営しています。自社工場は日本(愛媛県今治市)を始め、中国、ベトナムの3拠点。全国の百貨店・量販店を中心に卸売事業を行う他に、全国に約60店舗の直営店舗を展開しています。また、文化活動の一環とて、2000年にタオル産地のひとつである愛媛県今治市に、従来のタオルのイメージを一新させるタオルとアートを融合させた美術館「タオル美術館」を開設、運営しています。