西オーストラリア州都「パース」で世界の旅行業界リーダーたちが集うWTTC 第24回グローバル・サミット 2024が開催されました

ツーリズム・ビジネスにおける持続可能な未来について提言

西オーストラリア州政府観光局のプレスリリース

オープニングセレモニーでの先住民アボリジナルのパフォーマンス

西オーストラリア州の州都「パース」で、世界旅行ツーリズム協議会(The World Travel & Tourism Council、以下WTTC)の第24回グローバル・サミットが、2024年10月8日(火)から10月10日(木)の日程で開催されました。WTTCグローバル・サミットは旅行・観光セクターの未来に向けた戦略的方向性を打ち出すことを目的とし、本年は70カ国以上から代表団やジャーナリストが「パース」に集い、元アメリカ合衆国国務長官のジョン・ケリー氏や野生生物保護活動家ロバート・アーウィン氏をはじめとする世界で影響力のある旅行業界のリーダーや政府代表者などが登壇しました。

今年のWTTCグローバル・サミットは、都市開発が進み大型MICEを受け入れるインフラが整った「パース」で、オーストラリア初の開催となりました。西オーストラリア州は観光貿易の新たなグローバルリーダーとして他のマーケットをリードしていくことが期待されています。会期中、「古来の土地、新たな視点(Ancient land; New Perspectives)」をテーマに、デスティネーション・スチュワードシップ(観光地域の管理保全)、AIの影響、リジェネラティブ・ツーリズム(再生型の観光)の要となる先住民の重要性など、様々な課題が話し合われました。

WTTCのジュリア・シンプソン会長兼CEOは基調講演で以下のように述べ、大航海時代の歴史やが残した文化と深く繋がり、観光イノベーションの世界的な拠点として現代的な役割を果たす「パース」でサミットを開催する意義と先住民観光の重要性を強調しました。

「西オーストラリア州は、先住民アボリジナルのコミュニティが自分たちの6万年の歴史を持つ文化や物語を共有することで、旅行者の体験を豊かにすると同時に、持続可能な観光の機会を生み出すという輝かしい模範例となっています。パースはオーストラリアへの単なる玄関口ではなく、旅行・観光産業の未来をリードしています。航空路線に投資し、テクノロジーを取り入れることで、地域社会でどんなことが可能になるかを私たちに示してくれました。西オーストラリア州では、旅行・観光業は単なるセクターではなく、多くの人々に機会と経済的自由を生み出し続けてくれる資源なのです。」

また、西オーストラリア州副首相兼観光大臣のリタ・サフィオティ氏は、25ヵ国以上の官民のリーダーが集い、ツーリズムの持続可能な長期的成長戦略について議論が交わされた「グローバル・リーダーズ・ダイアローグ」において、以下のように述べました。

「全ての国にとって、観光産業は経済成長の重要な柱のひとつです。観光産業には持続可能な成長とインパクトをもたらす多くの機会があり、西オーストラリア州はその将来において重要な役割を果たすことができる非常に恵まれた環境にあります。」

左)リタ・サフィオティ西オーストラリア州副首相 右)WTTCのジュリア・シンプソン会長兼CEO

【 WTTC 第24回グローバル・サミット 2024 主な発表内容 】

旅行・観光業の環境フットプリント排出量の大幅な減少

  • WTTCによる最新の環境社会調査データが発表され、2023年は旅行・観光業が世界の排出量の6.7%を占め、ピークだった2019年の7.8%から減少していることが明示されました。昨年、旅行・観光業の世界GDPへの貢献は9.9兆米ドルとなり、ほぼパンデミック前の水準に達し、同部門のピークまであと4%に迫りました。一方、2023年の世界の温室効果ガス排出量は2019年のピークを12%下回り、GDP当たりの排出量もこの期間に8.4%低下しました。これは、旅行・観光業がより環境に配慮しながら成長していることを示しています。

  • 旅行・観光事業の排出量の主な要因は、事業運営に使用するエネルギーです。旅行・観光事業の化石燃料エネルギー源(石油、石炭、天然ガス)への依存度は、2019年の90%から2023年には88.2%に低下。低炭素エネルギー源(原子力と再生可能エネルギー)のシェアは、化石燃料への依存を減らす継続的努力により、2019年の5.1%から2023年には5.9%に増加しました。

2024年、ビジネス旅行はパンデミック前の水準を超え、過去最高の1兆5,000億米ドルに達する見込み

  • WTTCの最新レポートによると、ビジネス旅行は今年、従来の予測を上回るスピードでパンデミック以前のレベルを上回り、過去最高の150億米ドルに達すると予測しています。パンデミックによるリモートワークの台頭はビジネス・トラベルに大きな影響を及ぼし、オンライン会議が対面会議に取って代わりました。さらに昨年のレジャー旅行は2019年のピークからわずか2.9%の低下でしたが、ビジネス旅行は5.4%低下と苦戦が続いていました。しかし、ビジネスリーダーが対面での交流の重要性を再認識したことで、2024年のビジネス旅行は復活し、2019年のレベルを6.2%上回るという驚異的な数字を記録し、1.5兆米ドルの新記録を達成する見込みとなりました。

先住民観光は世界経済に670億米ドルをもたらす

  • WTTCは最新の報告書で、先住民観光が2034年までに世界経済に670億米ドルをもたらすという予測が明らかにされました。先住民観光は、経済の重要な牽引役として急速に台頭し、遠隔地に雇用と経済的価値を生み出しています。先住民の文化、言語、土地を共有すると共に保護し、先住民の歴史と伝統を体験して学ぶ、またとない機会を観光客に提供します。世界の先住民観光市場は、今後10年間に年平均4.1%で成長し、670億ドルに達すると予測されており、この分野は地域社会が自ら経済的未来をコントロールする力に寄与します。

     

  • 西オーストラリア州では、アボリジナル・ツーリズム体験への関心と参加が増え続けており、今年は史上最高の結果を記録しました。ビジター・エクスペリエンス&エクスペクテーション・リサーチによると、2023-24年に西オーストラリア州を訪れた旅行者のほぼ10人に9人がアボリジナル・ツーリズムに興味を持ち(87%)、3分の1以上(36%)が参加しました。アボリジナル観光事業の経済貢献は向上し続けており、この部門は2021-22年で西オーストラリア州の州総生産に対し6,380万ドルの貢献となりました。

     

  • 西オーストラリア先住民観光事業者協議会(WAITOC)は、西オーストラリア州政府観光局と協働し、同州におけるアボリジナル観光の継続的発展を支援するため、西オーストラリア州先住民観光アクション・プラン2021-2025を策定。新規事業を支援し、より多くのアボリジナルが観光産業で働くことを奨励します。WAITOCのロバート・テイラーCEOは、本物のアボリジナル文化体験の重要性を強調し、以下のように述べました。

     

    「西オーストラリア州は、アボリジナルの文化体験ができる国内随一の観光地となることを目指しています。伝統的所有者であるアボリジナルピープルの土地に宿泊施設を含むキャンプ場を開発するという、オーストラリア初のプログラムは、西オーストラリア州におけるアボリジナル・ツーリズムの継続的な成長を示す一例に過ぎません。5月には、ブルームの北に位置するダンピア半島のロンバディナに7番目のキャンプ場がオープンしました。これらのキャンプ場は、アボリジナル・コミュニティによって所有・運営されており、資金と雇用の機会をもたらしています。」

WAITOCのCEOロバート・テイラー氏

<西オーストラリア州政府観光局WEBサイト> 

https://www.westernaustralia.com/jp/

<パース観光情報サイト「のんびり〜ばぶる!パース」> 

https://nonbiri-perth.com/

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