地域をアップデートして魅力を発信する地域デザインカンパニーSUZU GROUPは、伝統を継承することで新たなアプローチを行なっていきます。
有限会社 寿々瀧のプレスリリース
新潟県内で10店舗の飲食店・グローサリーストア・宿泊施設を運営する有限会社寿々瀧(以下SUZU GROUP 本社:長岡市堀金 代表取締役:鈴木 将)は、柳醸造(代表取締役:柳 和子)の全事業を譲り受けることを決議し、2024年12月1日に同社との間で事業譲渡契約を締結しました。今後、味噌作りをはじめとする柳醸造の中心事業は、同社で活躍されていたスタッフを中心に、SUZU GROUPが運営してまいります。
◾ 事業譲受の背景
2024年春。後継者がいないことから、柳醸造は蔵をたたむ決意をし、関係各所や顧客に「事業の縮小」と「後々は柳醸造を廃業すること」をアナウンスしていました。
各方面から惜しまれる声が上がり、全店舗で柳醸造の味噌を使っていた私たちSUZU GROUPも、そのうちの一社でした。長きに渡り新潟の食を支えてきた味と技術に加え、柳醸造の要とも言える麹菌をなくしてしまうことは、私たちの考える“地域の食”にとって大きな損失であると考え、私たちができるなら、柳醸造を引き継ぎたいと申し出たことがきっかけでした。
幾度も話し合いを重ね、柳醸造の事業を譲り受けることが決定しました。
◾ 柳醸造とSUZU GROUP
柳醸造は長岡市吉崎(旧三島地区)にある醸造蔵です。明治時代からお米や麹を用いた商売をされていたそうで、今では味噌や醤油・漬物など、発酵・醸造にまつわる様々な商品を製造しています。
新潟ならではのものづくりや考え方、余計なものを加えずに素材の味が生きた味わいに共感し、SUZU GROUPでは柳醸造の商品(中でも玄米味噌)を全店舗で使用しておりました。
過去には、コラボレーションという形でお声掛けいただき、レトルトカレーを共同開発した実績も。
今回の事業譲受により双方の歴史や得意とする分野が合わさることで、より新潟の食の魅力を発信し、地域を輝かせることができると確信しています。
◾ 柳醸造の歴史 ーまっすぐに、醸し伝える新潟の味ー
明治20年に米穀商を営みつつ、お米を麹にして販売することを始めたことから、醸造蔵としての歴史がスタートしました。
その後は味噌・醤油作りに着手し、新潟県醤油協業組合の設立により醤油作りを委託したことから、味噌作りに絞った作業を開始。全国味噌鑑評会にて優秀賞を受賞するなど、その丁寧なものづくりが評価されてきました。
長岡駅に駅ビルができることをきっかけに、漬物製造部門を設立し、味噌以外の発酵の分野にもチャレンジ。素材や製法でへのこだわりと味わいはもちろん、シンプルなパッケージも人気を呼んでいます。
現在では日本全国からオーダーが入る、新潟を代表する醸造蔵の一つです。
◾ これから目指すもの
発酵の魅力を広げる
日本人にとって、発酵食品は生活欠かせない存在。その文化は根強く残っていますが、食の多様化により味噌や醤油の消費量が年々減少していることも事実で、柳醸造だけでなく多くの発酵・醸造蔵が存続の危機に面しています。一方で、世界的に見れば発酵食品の注目度は高まっており、味噌も醤油も海外では人気の食材の一つです。発酵食品やその文化をより広く捉えて表現することで、国内外の方々により身近に感じていただくことや、文化的な背景・健康食品としての面も発信していきたいと考えています。
まちづくり
柳醸造がある長岡市三島地区は、旧三國街道沿いに位置する場所。柳醸造の他にも酒蔵があり、古くから発酵や醸造が盛んだったエリアです。そんな場所で、発酵をテーマにしたまちづくり・人づくりを行っていきたいと考えています。現在は製造に特化した設備である柳醸造も、今後は体験や観光といった点でも発酵を楽しめる場所にすることを検討中。柳醸造や三島地区全体に付加価値をつける取り組みを行っていきます。
海外への可能性
日本食への関心が高まり、日本全体に『発酵』『健康』というイメージがある近年。味噌や醤油が注視されている中で、新潟ならではの食を世界に向けて発信したいと考えています。商品を海外へ輸出するだけでなく、新潟の風土や文化ごと感じてもらえるようなものづくり、ブランディングをしていきます。
昔ながらのものづくり
柳醸造の技術を継承し、昔ながらの味噌作りや原点に立ち返るようなものづくりを増やしていきます。新潟ならではの冬の寒さや夏の湿度を利用した発酵・醸造の方法、循環を念頭においての自然と共存するものづくりなど。手間と時間がかかったとしても、持続可能性が高く安心安全な食品を届けていきたいと考えています。
今回の事業譲受を経て、SUZU GROUPは味噌蔵の存続だけでなく、多方面に向けてあらゆる表現をしていきたいと考えています。
味噌蔵の新しい道を作っていくことで、日本の伝統産業がもつ可能性を広げ、それらを守ることにチャレンジしていきます。