タシュ・テペレル(石の丘群)プロジェクト 人類史を書き換える発見から5年

トルコ共和国大使館 文化観光局のプレスリリース

口を縫われた亡骸の人像彫刻/タシュ・テペレル画像

トルコ南東部・ハッラーン平原に広がる古代遺跡群では、私たちの人類史の理解を大きく変える発見が続いています。シャンルウルファ県内の新石器時代遺跡12カ所を対象に進められている「タシュ・テペレル(石の丘群)プロジェクト」は今年で5周年を迎え、このたび30点に及ぶ新たな出土品が公開されました。これらの成果は、約1万2千年前の人々の暮らしや精神文化をひも解く貴重な手がかりとなっています。

カラハンテペ・ビジターセンターで開催された5周年イベントでは、サイブルチュ遺跡から出土した“口を縫われた亡骸”を表現した人像彫刻が特に注目を集め、古代の死生観や象徴的儀礼を示す貴重な例として、高い関心を呼びました。また、同地域のユネスコ世界遺産・ギョベクリテペからは、壁に埋め込まれた奉納用の人像が新たに確認され、セフェルテペでは、高低のある浮彫を組み合わせた人面レリーフ2点が出土するなど、タシュ・テペレルの他遺跡とは一線を画す独自の技法が確認されました。

日本でもタシュ・テペレルへの関心は着実に高まっています。2025年11月には、東京国立博物館にて「大いなる転換の地〜タシュテペレル」展を開催し、写真パネルを通じてギョベクリテペのT字型石柱をはじめ、タシュ・テペレル地域が持つ歴史的価値を紹介しました。併せてアナトリア考古学の専門家を招いた招待制シンポジウムも実施し、多角的な学術交流の機会を創出しました。さらに2025年9月には、彬子女王殿下がトルコを訪問され、海外における日本の考古学界の重要な進展として、シャンルウルファ県アヤンラル・ホユック遺跡で、新たな発掘調査の開始を公式に発表されました。

私たちの“常識”を覆す地域──新たな人類史の地平へ

メフメト・ヌーリ・エルソイ文化観光大臣スピーチ
タシュ・テペレル5周年イベント

タシュ・テペレル5周年イベントにて、メフメト・ヌーリ・エルソイ文化観光大臣は「これらの集落は、世界史に新たな地平を開くものです。これらの証拠は、1万2千年前のアナトリアに、多様な規模の高密度な集落が存在し、これまで歴史学が想定していたよりもはるかに高度な社会構造が成立していた可能性を明確に物語っています。」と述べました。

こうした成果を受け、エルソイ大臣はタシュ・テペレルを「新石器時代研究の新たな拠点」と位置づけています。その背景には、遊牧的な狩猟採集社会から定住社会へと移り変わる、人類史上極めて重要な時代に関する通説を見直す可能性を秘めた発見が次々と明らかになっていることが挙げられます。

世界的な関心を集めるギョベクリテペに加え、カラハンテペも、今後の研究が期待される重要な研究対象として位置づけられています。さらに、サイブルチュ、セフェルテペ、ハルベツヴァン、チャクマクテペ、イェニマハッレ、ソウット・タルラス、メンディクテペ、ヨウウンブルチュ、ギュルジュテペ、そして今回新たに加わったアヤンラル・ホユックを含む計12の遺跡から構成されるタシュ・テペレルは、多くの謎を抱える新石器時代を改めて理解するための、極めて重要な文化的集積地といえます。

過去を未来へとつなぐ、世界規模の共同プロジェクト

タシュ・テペレルプロジェクトは、単なる発掘調査にとどまるものではありません。ここには、トルコ国内15機関、海外21機関、計36の研究機関が参加し、総勢219名の研究者が12の遺跡で同時に作業を進める、かつてない国際共同体制が構築されています。こうした連携により、地域に点在する遺跡群を総合的かつ相互に関連づけながら解明することが可能となっています。

保存・修復の取り組みも着実に進められており、文化観光省が推進する「未来への遺産プロジェクト」の一環として、ギョベクリテペでは「ライオンの構造物」や「構造物C」の修復がすでに完了しました。さらに、カラハンテペの「構造物AD」やサイブルチの住居跡では、現在も建築的修復作業が継続して行われています。

ギョベクリテペでは新たなビジターセンターの建設が最終段階に入り、カラハンテペでは調査施設と発掘のための施設が完成間近です。これらの研究施設には、タシュ・テペレル プロジェクト全体の考古科学的研究を担う設備が整備され、地域の発見を集中的に分析する拠点として機能する予定です。

プロジェクトは来年、6年目に入ります。丁寧に発掘された一つひとつの遺物、正確に記録された建造物は、ピラミッドやストーンヘンジ、文字の発明よりはるか以前に、この地で高度な社会が栄えていたことを示し続けています。タシュ・テペレルの大地は、人類の創造性が早くから息づいていたことを物語り、私たちが知る文明の歴史が、想像を超えて深く壮大であることを明らかにしています。

【タシュ・テペレ関連 国際展の開催実績および予定】

トルコでは、タシュ・テペレル地域で得られた貴重な成果をより多くの方々に知っていただくため、各国での展覧会開催にも力を入れています。

•「Göbeklitepe: The Enigma of a Sacred Place」展

開催地:ローマ・コロッセオ

会期:2024年10月〜2025年3月

来場者数:約600万人

•「Built Community: Göbeklitepe, Taş Tepeler, and Life 12,000 Years Ago」展

開催地:ベルリン・ジェームズ=サイモン・ギャラリー

会期:2026年2月〜7月(予定)

• ギョベクリテペ/タシュ・テペレルをテーマとした展覧会(調整中)

開催地(予定):

 ・ロンドン/ギルドホール・アートギャラリー(2026年)

 ・東京/東京国立博物館(2027年)

トルコについて

トルコはアジアとヨーロッパを結ぶ要所として、何世紀にもわたり文化的な交流と多様性の拠点と考えられてきました。多様な文明が反映された歴史、遺跡、自然や美食を有し、多目的なデスティネーションです。伝統とモダンが融合した芸術やファッションをはじめ、ダイナミックなショッピングやエンターテインメントライフによって世界中から訪れる人々を魅了し続けています。2024年には全世界から過去最高の6,226万人の観光客が訪れました。2023年にトルコ共和国として建国100周年、2024年には日本との外交関係樹立100周年を迎えました。トルコの詳細は公式ウェブサイト(https://goturkiye.jp/)または以下の SNS をご覧ください。

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トルコ観光広報・開発庁(TGA)について

トルコ観光広報・開発庁(TGA)は、国内外の観光市場においてのトルコのブランディングを確立させ、観光やビジネスにとって魅力的な渡航地としての認知を高めるため、文化観光省が定めた観光戦略や政策に基づき、あらゆるプロモーション、マーケティング、コミュニケーション活動を行っています。世界各地の現在の観光機会を促進・販売するとともに、観光の潜在的分野を発見・改善・確立していきます。

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