東日本大震災の伝承団体・伝承施設への来訪者が2年連続で減少

岩手・宮城・福島の33の伝承団体、33の震災伝承施設から回答を得た2025年12月までの来訪数実績と増減要因の調査回答を公開

公益社団法人3.11メモリアルネットワークのプレスリリース

公益社団法人3.11メモリアルネットワークでは、震災学習プログラムの提供や震災伝承施設の運営に取り組む皆さまにご協力いただき、2017年以降毎年「東日本大震災伝承活動調査」を実施しており、岩手・宮城・福島における2025年12月までの伝承活動への来訪数調査を実施しましたので、最新の集計結果を報告させていただきます。

<2025年震災伝承調査第1弾(来訪数調査)結果>

〇震災学習プログラム・震災伝承施設 年別受入人数推移

2025年12月までの震災伝承団体、震災伝承施設の来訪数年別推移

調査結果回答記事:2025年東日本大震災伝承活動調査(第1弾:来訪数)来訪者が2年連続減少

2024年に減少に転じた震災学習プログラムおよび震災伝承施設への来訪者数は、2025年も前年比微減にとどまり、2年連続での全体数減少となりました。

2025年は微減にとどまったものの、発災15年を機になくなってしまう財源もあり、この先15年、30年と継続し、今後の災害から命を守る東日本大震災の伝承活動全体の在り方を真摯に向き合う必要性が示唆されます。

<来訪数の増減要因回答>

震災学習プログラム実施団体、震災伝承施設の各運営担当者より、増減要因について選択式で回答いただきました。
(複数回答可。来訪数増加していても減少要因回答可、来訪数減少していても増加要因回答可で集計)

〇震災学習プログラム、震災伝承施設の運営担当者からの増減要因回答

震災学習プログラム、震災伝承施設の運営担当者からの増減要因回答

来訪数の増加要因について、震災伝承団体の担当者からは「プログラムの質」、震災伝承施設の運営担当者からは「協働や紹介の効果」の回答が最多で、それぞれ異なる傾向が見られました。

<高校生以下の訪問者数の変化>

高校生以下(校外学習や修学旅行)の来訪数変化

震災学習プログラム実施団体の高校生以下の割合は震災伝承施設よりも高く、コロナ禍で東北への修学旅行が多くなった後、少しずつ減少してきました。来訪者増減要因として、増加と減少を問わず「来館者の属性の変化(修学旅行、外国人等)」を選択いただいた団体・施設がありましたが、全体としては微減・横這いで高校生以下の来訪傾向について前年比での大きな変化は見られませんでした。

<調査概要>

【対象】岩手・宮城・福島の3県で震災伝承活動に取り組む団体、施設
【期間】2026年1月8日〜2月2日
【方法】メールで依頼・専用フォームで回答
(閉館・移管済みの施設は過去受領済の実績回答を集計)
【実施主体】公益社団法人3.11メモリアルネットワーク
【アドバイザー】東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
【協力】一般財団法人みちのく創生支援機構、公益社団法人CivicForce

【調査回答団体・施設】

・震災学習プログラム:32団体(岩手8/宮城19/福島5)

・震災伝承施設:41施設(岩手8/宮城25/福島8)
※うち8施設は閉館・移管のため過去実績数値のみをグラフ反映し、2025年分回答は33施設

 (※詳細は、WEBサイトの調査結果をご参照ください)

<参考:過去の震災伝承調査結果>

※2024年報告書ブログ:2024年東日本大震災伝承活動調査報告書

2024年震災伝承調査報告書では、伝承団体の96%が「継続性の不安」を抱えてるなど、人材や財源の不足が明らかとなっており、今後の在り方が問われています。

<3.11メモリアルネットワークからのコメント>

2025年の伝承来訪数も2024年に引き続き2年連続で減少してしまい、各団体・施設で、増加している所としていない所、増減要因を捉えて対応している所とそうではない所の分化が進んできたように捉えています。2023年がピークで今後も減少し続けるか、増加に転じるのか、発災15年のタイミングで分岐点に立たされています。本調査結果の概要を、改めて以下3点記載させていただきます。

  1. 本調査の増減結果と増加要因の回答から、以下3点、改めて概要として記載させていただきます。

  2. 震災学習プログラム実施団体、震災伝承施設の双方ともに、東北3県への来訪数は2年連続で減少してしまいましたが、様々な工夫により来訪数増加という成果につながっていると取り組みが見受けられます。震災学習実施プログラム実施団体からの「SDGs教育や首都直下地震に対応」、「参加者からの評価」、「同じ学校からの申し込みが多い」など自由回答から示唆されるように、自組織における「質の向上」に向けた取り組みが、来訪数増加の増加につながっていることが確認されます。

  3. 震災学習プログラム実施団体、震災伝承施設のどちらも、「市内9つの団体との連携で受け入れ」、「伝承館や県からの依頼」、「各種スタンプラリー」、「東北全域での発信」、「ゲートウェイ機能」などの自由回答において「協働や紹介の効果」に言及しており、自団体・自施設にとどまらない協働・連携が、東北被災地への来訪を促していることが示唆されます。

南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝地震などの巨大災害が待ち受ける日本社会において、本震災伝承調査が、東日本大震災の伝承活動継続や、次の災害から命を守る取り組みが少しでも進展するよう、社会発信にご協力いただければ幸いです。

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