フィジー観光産業高付加価値と持続可能性へ転換 大規模施設投資が相次ぐ

フィジー政府観光局のプレスリリース

フィジーの観光産業は、観光客数の回復から付加価値の向上と持続可能な成長へとシフトしつつある。2026年現在、堅調な需要を背景に、リゾート施設の大規模改修や新体験プログラムの導入、サステナビリティを軸としたインフラ投資が各所で進展している。

▶ 過去最高更新

25年の年間訪問者数は前年比4%増の92万9740人となり、予想を上回る過去最高を更新した。旅行消費総額は33億フィジー・ドルに達した。26年1~2月の訪問者数も同8%増の13万3040人と、順調なスタートを切っている。

感情に訴えるブランド戦略を展開

グローバル向けには「幸せあふれるフィジーへ」というキャンペーンが消費者の心を捉えている。日本市場においては、独自のブランド戦略「Be Fiji」を展開し、日本の旅行者との感情的つながりの深化を図っている。

また、旅行業界向けには「Find your Bula」プロモーションを実施。世界120万人の旅行代理店にリーチし、実際の予約への転換に向けた強固な基盤を築いている。

MICEやラグジュアリー層が大幅増

コアとなる観光分野では、25年のMICE(企業の表彰旅行や国際会議など)の訪問者が前年比15%増と大幅な伸びを記録した。ウェディングやハネムーンは引き続き堅実な支柱となっており、ラグジュアリー層の受け入れ数も安定的に増加している。

同国は現在、単なる観光客数の追求から、地域社会との共生へとパラダイムシフトを進めている。中小企業支援や地域開発を通じた包括的な成長を掲げ、観光による恩恵が広く行き渡る仕組みを構築中だ。将来的には、観光の全体価値を高め、世界の販売網を深化させることで長期的な競争力を維持する。

閑散期の開拓と滞在期間の延長が課題

26年の重要な成長機会として、閑散期(2~5月、10~11月)の旅行需要開拓が挙げられている。25年の平均滞在期間は9.2泊に延びており、さらなる滞在期間の延長と新興市場の開拓による収益向上を目指す。

このほど開催された「フィジー・ツーリズム・エクスチェンジ(FTE)」では、3300件以上の商談が行われ、世界の旅行企業とパートナーシップを構築する効率的な場となった。世界情勢の不確実性に対しては、政府と業界が連携する「ツーリズム・アクション・グループ(TAG)」が観光客の信頼維持と需要支援に注力する。

▶ 施設投資とエコ体験が進化、多様な滞在ニーズに対応

世界的なブランドプロモーションの強化を続ける一方で、フィジー現地の観光施設と体験プログラムのアップグレードも進んでいる。デナラウ島における数千万ドル規模のホテル拡張をはじめ、「100%サステナブル」をうたう離島の隠れ家リゾート、さらに新たな水上エコ体験の導入に至るまで、フィジーは世界の旅行者に向けて、より豊かで多様性のある高付加価値なバケーションの選択肢を拡充している。

航空ネットワークの強化

空の玄関口となるフィジー航空は25年に前年比4%増の230万人を輸送し、国際入国者の7割超を担う。国内線のフィジー・リンクは新型ATR機を導入し、離島アクセスの向上を図った。

次世代の滞在体験:主要リゾートの大規模投資&アップグレード最前線

各リゾートでは、顧客のニーズの多様化に応えるため、大規模な設備投資が相次いでいる。

ウィンダム・ホテル・グループ(Wyndham Hotels & Resorts)

フィジー市場で既存5施設を運営し、さらに2施設の新設を進めている。ナディの商業エリアに位置する「デイズ・イン・バイ・ウィンダム・ナディ」(投資額5000万フィジー・ドル、101室、26年半ば開業予定)はビジネス・トランジット客向け。スバのビジネス中心部にある「ウィンダム・スバ」(26年末試験営業予定)はMICE市場をターゲットとしている。同グループはグローバルな販売網と会員制度を活用し、フィジーにおけるレジャーおよびビジネス顧客戦略を強化している。

フィジー・ゲートウェイ・ホテル(Fiji Gateway Hotel)

4月6日に新棟2棟(47室)をオープンし、計135室に増室した。内訳はデラックスキング24室、デラックスツイン20室、ツーベッドルームスイート3室。ホテル業界で初めてフィジー国立大学発行の国家5S認証を取得し、運営効率とサービス標準化を図り優位性をアピールしている。

インターコンチネンタル・フィジー・ゴルフ・リゾート&スパ(InterContinental Fiji Golf Resort & Spa)

26年にウェルネスとレジャー体験の全面アップグレードを実施。新設の「スパ・インターコンチネンタル」には熱帯の屋外に赤外線サウナと冷療プールを配し、冷熱交代療法を提供する。南太平洋の伝統療法をベースに地元植物を用いた「ヴァカ・ヴィティ」マッサージや、新設のスパサロンによる美容ケアにより、ウェディングや長期滞在にも対応する。隣接するナタドラ・ベイのチャンピオンシップゴルフコースの絶景を活かした最大95名収容のウェディング会場を新設したほか、3泊以上の宿泊者向けに睡眠診断や専用キットを提供する「スウィート・ドリームス・パッケージ」を導入し、グローバルなヘルスツーリズムのトレンドを取り込んでいる。

グランド・パシフィック・ホテル(Grand Pacific Hotel)

スバに位置する歴史的・文化的ランドマークとして客室の改修を進めている。26年は都市散策やフィジー博物館訪問などを含む没入型の文化遺産ツアーを強化。地元職人による伝統的な織物やタパ布作りなどの体験プログラムを導入し、文化の深い理解を求める成熟層に向けた滞在体験を深めている。

ホリデイ・イン・スバ(Holiday Inn Suva)

セルフチェックイン端末を導入し、ビジネス客や短期滞在客に迅速で柔軟なチェックイン・アウトを提供している。ピーク時の待ち時間を削減するとともに、スタッフを個別対応やローカルなおもてなしに専念させ、運営効率と顧客満足度の向上を図っている。

ビーチコマー・アイランド・リゾート(Beachcomber Island Resort)

26年9月に16室の新規客室増築を完了する予定。8室のオーシャンビューデラックスツインと8室のオーシャンビュースパルームで構成され、スパルームにはプライベートバルコニー付きのジャグジーを備える。ママヌカ諸島の透明度の高い海を望む設計で、カップルやグループ向けの滞在品質を向上させつつ、従来のリラックスした雰囲気を維持している。

プランテーション・アイランド・リゾート(Plantation Island Resort)

27年初頭に大規模な中央施設の改修を完了予定。伝統のイタリア薪オーブンを備えた地中海料理レストラン「バラビ・地中海キッチン」、新ビーチバー「ブリガム・バー」、地元風味のビュッフェレストラン「コプラ・ビュッフェ・レストラン」を新設する。さらに、6室の海辺のフィジー伝統のコテージ「ブレ」と3室のツーベッドルーム・ガーデンブレを追加し、フィジーの伝統工芸と自然素材を融合したデザインで家族向けの体験を強化する。

セレニティ・アイランド・リゾート(Serenity Island Resort)

海辺やガーデンのブレ33室に加え、26年はグランピングブランド「セレニティ・サンズ」の展開を強化する。2名の大人と2名の子供が宿泊可能なテント10張りで、独立したリビングや大型ベッド、巻き上げ可能な4面の窓を備え、自然との一体感を演出。シュノーケルやカヤック、ウミガメ観察などの豊富なアクティビティに加え、ウェディングや会議、全島貸切などのカスタマイズも可能としている。

ヤサワ・アイランド・リゾート&スパ(Yasawa Island Resort & Spa)

新たに2棟のブレを建設し、総数を20棟に拡大した。このうち「バラビ・プール・ブレ」は新設されたプライベートプール付きデラックスブレで、同タイプは計5棟となった。崖の上に新スパセンターを増設してヤサワビーチを見下ろす絶景を提供するとともに、新たに敷設されたプールデッキや花崗岩の遊歩道により、ラグジュアリー体験をさらに洗練させた。

オネタ・リゾート(Oneta Resort)

カンダブ島のグレート・アストロラーブ・リーフに位置する小規模・高級エコリゾートで、ブレ4棟とヴィラ2棟(最大20名)の全食事付きプランを採用している。太陽光発電100%で稼働し、使い捨てプラスチックの使用を禁止するなど持続可能性を徹底。40以上のダイビングスポットを持つグレート・アストロラーブ・リーフの探検拠点となるほか、傘下の財団を通じて周辺地域の学校建設やマングローブ・サンゴの植林、ウミガメ保育、医療支援など幅広い社会貢献活動を展開している。

マタバ・リゾート(Matava Resort)

グレート・アストロラーブ・リーフを代表するエコアドベンチャーリゾートとして、伝統的なバレの近代化改修を完了した。フィジーの伝統的な趣を残しつつ現代的なサステナブル設備を導入し、快適性と環境配慮を両立させている。太陽光発電によるカーボンフットプリントの最小化と、自家農園の有機食材を使用したファーム・トゥ・テーブルの提供を実践。PADI五つ星ダイビングセンターからマンタ・リーフへの独占アクセス権を持ち、海洋生態の魅力を発信している。

サウス・シー・クルーズ・グループ(South Sea Cruise Group)

25年8月に定員320名(33%増)の大型船「ヤサワ・フライヤーIII」を就航させ、26年半ばには2隻目の新船「ジャガー」を導入してママヌカ諸島の輸送力をさらに向上させる。個人客向けに柔軟なアイランド・ホッピング・パスを提供する「ヤサワ・アドベンチャーズ・フィジー」、新船「ヤサワ・プリンセスII」による3〜7泊の小型クルーズを手がける「ブルー・ラグーン・クルーズ」でラインナップを拡充。日帰りツアーでは「世界初のアイランドビーチクラブ」のマラマラ・ビーチ・クラブや、カスタム船にスライダーを備えた「ライド&スライド」など顧客層に応じた商品展開を強化している。また、サンセットとサステナビリティをテーマにした提携リゾート「マイ・サンセット・ビーチ・リゾート」が4月1日に再オープンした。傘下の慈善団体「ビナカ・フィジー」を通じ、ヤサワ諸島の教育・医療・インフラ支援も継続している。

環境保全と地域連携の取り組み

フィジー・マベ(Fiji Mabe)

水産局とサンシャイン・コースト大学の科学支援を受け、地域レベルで真珠の養殖を行うフィジーの地場ブランド。製品設計から加工、小売までフィジー国内で完結させるサプライチェーンの完全ローカル化を実現している。真珠の養殖は水質と海洋生態系の健康向上に寄与し、「自然にポジティブなインパクトを与える」ラグジュアリープロダクトとして位置づけられている。ジャックス・オブ・フィジーの小売網を通じて国際市場に進出し、太平洋のハイエンド真珠として文化的なストーリーとサステナビリティの価値を両立させて発信している。

バーベキュー E-ボート・フィジー(BBQ E-Boat Fiji)

2025年8月にデナラウ港マリーナから導入された、フィジー初の完全電動・自動運転バーベキューボートプロジェクト。定員6名で免許不要、出発前の安全講習のみで手軽に利用できる。マングローブの水路を航行する3時間のクルーズで、排気ガスゼロかつ低騒音を実現。船内にはバーベキューやブルートゥーススピーカー、釣り具を完備し、家族やカップル、小グループ向けのカスタマイズが可能な、同エリアにおけるインタラクティブなエコ体験の新たな拠点となっている。

眠れる巨人の庭(Garden of the Sleeping Giant)

2026年5月にフィジー初の蜂をテーマにした体験館「ハニー&ハイブ・フィジー」が開設される。蜂に関する教育、持続可能な蜂蜜生産、地域との協働を核とし、「生きた蜂の壁」のガイドツアーや蜂蜜のテイスティングなどが楽しめる。大人向けと青少年向け(各定員12名)に分かれ、防護装備を着用して受粉の知識やフィジーの生態系を深く学ぶ。原料となる蜂蜜はラ・ハイランズ地域のコミュニティと協力して採取した野生の花蜜を使用しており、将来的には養蜂トレーニングを拡充し、エコ教育とアグリツーリズムが融合したモデル拠点を目指す。

タマリロ・アクティブ・トラベル(Tamarillo Active Travel)

1998年からカンダブ諸島で海洋カヤックガイドツアーを展開。世界最大級の堡礁であるグレート・アストロラーブ・リーフ内を航行する。3~10日間の行程で年間を通して実施可能で、現地のトップクラスのリゾートに宿泊する「キャンプなし」のスタイル。2~12人のプライベート小団体に適しており、カヤックやシュノーケリング、トレッキング、文化体験を組み合わせている。サポート船が荷物運搬や援護を行うため、幅広い年齢層や体力レベルの旅行者に対応できる。

ゴー・ダーティ・ツアーズ(Go Dirty Tours)

受賞歴を持つフィジーの地元アドベンチャー運営会社で、アバカ村と協働して全日型ATV(全地形対応車)ツアー「レガシー・トレイル」を新設した。ナディを出発し、森林や山地の景観を抜けてコロヤニト国立遺産公園に入るコースで、専門ガイドによるATV走行や滝へのトレッキング、文化解説、マーケット訪問、伝統的なピクニックを体験できる。地域コミュニティの参画と文化の尊重を重視しており、26年3月27日より予約受付を開始。同国立公園内におけるATVアドベンチャーの先駆けとなる。

アフラ・リゾーツ(Ahura Resorts)

運営する「リクリク・ラグーン・リゾート」「マロロ・アイランド・リゾート」でサステナビリティ戦略を推進している。26年の重点施策として、サンゴの修復・再植栽、地元樹木1万5,000本の植樹、使い捨てプラスチック排除に向けた自社水ボトリング工場の設立、現場リサイクルセンターと緑の廃棄物処理システムの導入を掲げる。同社の保全財団を通じた地域支援や生態教育に加え、「ナ・ヴァヌア・コンサベーション・ハブ」を設立。宿泊客はサンゴの植え付けやイグアナ観察、マングローブ修復、ナイトシュノーケリングなどの市民科学プロジェクトに参加でき、「リクリクの14の文化シンボル」を通じて自然と文化の深い繋がりを体感できる。

ラディソン・ブル・ミラージュ(Radisson Blu Mirage)

デナラウ地区に建設中の高級リゾートで、27年初頭〜半ばの開業を予定している。分譲マンション144室はすでに完売しており、投資家のフィジー観光市場に対する強い信頼を示している。幅36メートルの白砂浜を擁し、イタリア料理の「フェッリーニ」、日秘融合料理の「エッサイ」、3つのプール(成人向けインフィニティプールや子供用プールを含む)、スパ、会議施設を備え、ハイエンドなリゾート需要とファミリー層をターゲットにする。

ラッフェ・ホテルズ&リゾーツ(Raffe Hotels & Resorts)

ラッフェ・ホテルズ・リゾーツはマロロロレレ地域コミュニティ信託基金を正式に設立し、教育、健康、環境保全、緊急支援、地域福祉に焦点を当てる。宿泊客からの任意寄付を企業が同額マッチング(拠出)し、サンゴ修復や学校施設整備、女性・高齢者支援などのプロジェクトに活かす。今後は透明性の高い審査メカニズムを通じて地域からのプロジェクト申請を受け付け、サンゴ植栽やマングローブ修復、持続可能な農業などの環境保全を推進し、「観光+公益」の融合モデルを確立する。

ヤサワ諸島(Yasawa Islands)

ナクラ地区開発計画を通じて、地域主導の観光発展モデルを推進している。地元の村落がツアーオペレーターや企業と緊密に連携し、環境保全や文化継承、地域の福祉をテーマとした一連のプロジェクトを展開。村落を中心とした持続可能な観光の道筋を模索している。

デュアヴァタ持続可能観光連合(Duavata Sustainable Tourism Collective)

フィジーの中小規模観光企業20社以上で構成され、地域主導による文化重視・エコフレンドリーな観光モデルの推進に取り組んでいる。ヌクバティ・アイランド・リゾート、リバーズ・フィジー、タラノア・トレックスなど多様な加盟企業が、高地の河川から沿岸の村落までを網羅する体験を提供している。複数のオペレーターが連携する旅程を開発・商業化プラットフォーム化を進めており、「観光客ではなくゲストとして」フィジーの奥地に入り込み、文化継承や生態保護に参加できる仕組みを構築中だ。

ヤヴ・コレクティブ(Yavu Collective)

フィジーの地場不動産投資・開発会社で、ソフィテル・フィジー・リゾート&スパなどの著名物件を傘下に持つ。27年末までに5リゾート(660室超)、従業員1300人規模へと拡大する計画を発表した。新規プロジェクトには、ハイエンドな文化体験型リゾート「The Jewel」や、住宅型宿泊「Nuku Loolao Living」、ヤドゥア海上リゾート「Tawamudu Resort & Spa」などが含まれ、ラグジュアリーからミドルクラスまで幅広い客層をカバー。文化のルーツと持続可能なデザインを重視した展開を行う。

ナマ・フィジー(Nama Fiji)

2026年8月28日から31日にかけて、クラウン・プラザ・ナディ・ベイにて南太平洋初となる国際美容・スパ世界大会(CIDESCO World Congress)を主催する。56カ国から業界のリーダーや教育者、ブランドが参加予定で、トレードショーや採用フェア、教育サミットが開催される。同ブランドは長年、農村部の女性雇用創出や地元植物原料の開発に尽力しており、自社の「スパ・アカデミー・フィジー」を通じて国内スパ業界へ専門人材を輩出し、フィジーをグローバルなスパツーリズムの拠点へと押し上げている。

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。