主要8都市・64ホテルを生成AI3サービスで横断調査
株式会社Terrace Rootsのプレスリリース
老舗ラグジュアリーも見えない、AI時代の宿泊検索構造と「OTA依存脱却」の岐路
宿泊業界に特化したGEO(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)コンサルティングを展開する株式会社Terrace Roots(本社:滋賀県大津市、代表取締役:松井 拓未)は、2026年5月、東京・横浜・名古屋・大阪・京都・札幌・仙台・福岡の主要8都市を代表するシティホテル・ラグジュアリーホテル・デザインホテル・アッパービジネスホテル 計64施設を対象に、生成AI3サービス(ChatGPT/Perplexity/Google AI Mode)における“推薦のされやすさ”を独自調査しました。
各都市6種類のクエリ・計1,152判定を実測した結果、3つのAIすべてで一度も推薦されなかった「AI推薦ゼロホテル」が全体の20.3%(13施設)、推薦率40%以上で安定して名前が挙がる施設は17.2%にとどまり、82.8%の主要ホテルがAIの推薦圏外に置かれている実態が明らかになりました。
背景:宿泊検討の起点は“検索”から“AIへの相談”へ──加速する世界的シフト
旅行業界における生成AI活用は、2025年から2026年にかけて急加速しています。米調査会社Phocuswrightが2026年3月に発表したレポートによれば、過去12ヶ月で旅行の計画・予約・現地利用のいずれかで生成AIを使用した旅行者は56%に達し、2025年前半の33%から半年で大幅に拡大しました。Travalaの調査では世界の旅行者の40%がすでにAIツールを旅行計画で利用、Phocuswrightの別調査では今後12ヶ月以内に50%が利用予定と回答しています。
国内市場でも変化は明確です。株式会社宿研が旅行計画で生成AIを実際に活用した630人を対象に行い2026年2月に公表した調査では、「AIを使っていなかったら定番で有名な目的地や宿泊施設を選んでいたと思う」と回答した旅行者が38.6%に達しました。これは、AIが旅行者の選択肢を“定番”の外側へと押し広げていることを示すと同時に、裏を返せば、AIに名前を挙げてもらえない施設は、これまで「定番」として選ばれてきた立場をも失いつつあることを意味します。
生成AIは新しい“選別装置”として機能し始めており、AIが推薦する/しないが、ホテルの集客動線そのものを書き換え始めている。これが本調査の背景にある問題意識です。
【調査ハイライト】4つの構造的発見
発見①:「AI推薦ゼロ」は全体の20.3%。一方、推薦率40%以上の“安定推薦”施設はわずか17.2%。間の62.5%は「ごく稀に出るが安定しない」低推薦ゾーンに沈み、64施設中53施設が事実上の埋没状態。
発見②:ある主要都市を代表する老舗ラグジュアリーホテル複数軒が、18回中わずか2回(推薦率11.1%)。ブランド力・知名度と、AIに推薦されるかどうかはまったく別の問題であることが、データで確認された。
発見③:プラットフォーム別の推薦ゼロ比率はGoogle AI Modeが46.9%で最も高く、ChatGPT(40.6%)・Perplexity(35.9%)を上回った。Google検索の延長線上にあるはずのAIが、最も多くの施設を“推薦しない”という逆説。 発見④:地方都市ほど深刻。最も推薦ゼロが多い都市では8施設中5施設(62.5%)がAIに一度も推薦されなかった一方、最良都市は推薦ゼロ0%。同じ「主要都市の主要ホテル」でも、AIに推薦されやすさは都市によって大きく異なる結果に。
【図表1】64ホテルのAI推薦率分布

18回の判定(6クエリ×3AI)中の推薦回数を「推薦率」として算出。82.8%が推薦率39%以下に集中し、安定して推薦される施設は17.2%にとどまる。
【図表2】都市別 AI推薦ゼロ施設の比率

同じ「主要都市の主要ホテル」でも、AIから見た“見つけやすさ”は都市間で62.5ポイントの開きが生じた。地方都市ほど深刻という構造が明確に。
【図表3】プラットフォーム別 推薦ゼロ施設の比率

Google AI Modeが最多の推薦ゼロを生み出した。「SEOで上位に出ても、AIには推薦されない」現象が、Google系AIで最も顕著に現れる象徴的データ。
経営インパクト:AI推薦の獲得は「OTA依存脱却」と「高利益構造化」への道
この調査結果は、単なる「マーケティング上の見え方」の問題ではありません。ホテルの収益構造そのものに直結する経営課題です。
現在、多くのホテルは集客の大部分をOTA(オンライン旅行会社)に依存しており、その販売手数料は一般に15〜30%とされます。1泊3万円の予約が1件入るごとに、5,000〜9,000円が手数料として外部に流出している計算になります。1ヶ月100件で年間600万〜1,000万円規模、客室規模が大きい施設ではその数倍に達します。
一方、生成AIに「推薦」された結果として旅行者が公式サイトから直予約した場合、この手数料は発生しません。AI推薦率を高めることは、集客チャネルを増やすだけでなく、1予約あたりの利益率そのものを引き上げる構造改革につながります。
旅行業界の専門メディアでも、生成AIの台頭により旅行者の「直予約志向」が強まる傾向が指摘されています。AI推薦の獲得は、OTA手数料への構造的依存から脱却し、ホテル経営を高利益体質へと転換する数少ない現実的なレバーの一つです。
なぜ「推薦されない」のか──3つの構造要因
構造要因①|公式情報の機械可読化が不足:公式サイトに宿泊施設向けの構造化データ(schema.org Hotel/HotelRoom/Offer等)が実装されておらず、AIが施設情報を「データ」として把握できていない。
構造要因②|“一次情報の文章”が薄い:客室タイプ・設備・アクセス・FAQなど、AIが推薦理由として参照しやすい具体的な文章が公式サイトに不足し、OTAやまとめサイト経由の二次情報のみが残る。 構造要因③|AIが参照するソース層の偏り:AIは特定のメディア・ランキング記事・OTAデータを優先的に参照する傾向があり、そこに登場しない施設はブランド力・規模に関わらず構造的に不利。
AIには、これまでのブランドは通用しない──今回の最大の発見
「広く名前が知られていれば、AIも当然に推薦してくれる」──そう考えるのが自然ですが、今回の調査結果はその直感を真っ向から否定するものでした。
具体的には、ある主要都市の代表的な老舗ラグジュアリーホテル数軒が、18回の判定中わずか2回しか推薦されませんでした。本リリースでは個別の施設名は公表しませんが、業界関係者であれば誰もが名前を知る、歴史と実績を兼ね備えた施設群です。
つまり、生成AIの世界では「老舗である」「有名である」「格式がある」といった、これまで通用してきたブランドの強みが、推薦されるかどうかにほとんど影響しないということです。
AIは知名度や格付けではなく、自社サイトに掲載された具体的な情報(客室・設備・アクセス・体験内容など)の濃さと、その情報がAIにとって読み取りやすい形式で整っているかを基準に施設を選別しています。歴史と実績のある施設こそ、自社の情報資産をAI時代の文法で再整備しなければ、新しい旅行者の選択肢から静かに消えていく──今回の調査が突きつけたのは、この事実です。
代表・松井拓未によるコメント
【プロフィール】
氏名:松井 拓未(まつい たくみ)
受賞・認定:LinkedIn Top Voice(Travel & Tourism, Japan Top 10)/Favikon Top 200 Creator(旅行業カテゴリ)
経歴:ホテル支配人を経て、宿泊業界に特化したGEO(生成エンジン最適化)コンサルティング会社・株式会社Terrace Rootsを2026年4月に創業。LinkedInを中心に、AI時代の宿泊業マーケティングに関する発信を継続。
「ホテル業界では『SEOで1位を取れば、お客様に届く』という前提が長く通用してきました。しかし生成AIの時代では、その前提が崩れています。AIはSEO上位の施設をそのまま読み上げる装置ではなく、独自の判断軸で“推薦するに値する施設”を選別する装置です。今回の調査で、日本を代表する老舗ホテルですら、AIの推薦から事実上消えているケースが多数確認されました。
AIに推薦されることは、単に“見つけてもらう”こと以上の意味を持ちます。それは、ホテルが自らの収益構造をOTA依存型から脱却させ、直予約中心の高利益体質へと再構築する具体的なレバーです。本調査が、業界全体でこの構造変化に向き合う契機となることを願っています。」
──株式会社Terrace Roots 代表取締役 松井 拓未
Terrace Rootsの提言
公式サイトに宿泊施設向け構造化データ(Hotel/HotelRoom/Offer等)を実装し、AIが施設の事実情報を正確に把握できる状態を整える。 客室・設備・アクセス・FAQ・周辺情報を、AIが推薦理由として引用しやすい明瞭な日本語/英語テキストで公式サイトに整備する。 自施設が主要クエリでAI各サービスにどう扱われているかを定期的に測定し、改善のPDCAを回す。
インバウンド対応では英語圏のAI回答も併せて検証する。今回の調査でも英語クエリ「Best hotels in 〇〇 Japan」では日本語クエリと異なる施設群が推薦されるケースが多く確認された。つまり、国内向け(日本語AI)と海外向け(英語AI)では、まったく別のアプローチが必要となる。日本語サイトの整備だけでは、訪日外国人の検討候補に入ることはできない。 中期的には、AI経由の直予約率を経営KPIに組み込み、OTA依存度の低減と利益率の改善を同時に追求する経営体制を整える。
調査概要
調査名:主要都市ホテルAI可視性調査 第2弾【ホテル編】
調査主体:株式会社Terrace Roots
調査対象:東京・横浜・名古屋・大阪・京都・札幌・仙台・福岡の主要8都市 各8施設・計64ホテル
対象AI:ChatGPT/Perplexity/Google AI Mode(いずれもWeb検索連携状態で実施)
調査クエリ:各都市6種(おすすめ・人気ランキング・外国人観光客向け・一人旅・英語Best Hotels・駅アクセス)
判定総数:64施設 × 6クエリ × 3AI = 1,152判定
調査方法:各AIに同一クエリを入力し、施設名が回答本文または引用元として明示された場合を「推薦あり」と判定。施設別に推薦回数を集計し、推薦率(/18)を算出。
調査期間:2026年5月
留意事項:本調査はTerrace Roots独自の手法による集計であり、各AIサービスの仕様変更により結果は変動します。施設の優劣を評価するものではなく、AI時代の宿泊検索構造を可視化することを目的としています。本リリースでは個別の施設名は非公表とし、業界全体の構造的課題として提示しています。
第1弾「旅館編」からのアップデート
本調査は2026年4月に発表した第1弾「旅館編(30旅館・5エリア)」の続編にあたります。前回からスコープを以下のように拡張しました。
対象施設数:30施設 → 64施設(2.1倍) 対象エリア:1エリア → 主要8都市 判定総数:450判定 → 1,152判定(2.6倍) 評価軸:「引用ゼロ/あり」の二値判定 →「推薦率」による定量化(○/✕の2段階評価)
当社は今後も四半期ごとに調査対象を拡張し、日本の宿泊業界において、生成AIにどの施設が推薦されているかを継続的にモニタリングしてまいります。
会社概要
会社名:株式会社Terrace Roots
代表者:代表取締役 松井 拓未(LinkedIn Top Voice / Favikon Top 200 Creator)
所在地:滋賀県大津市(ブランチ大津京内)
設立:2026年4月
事業内容:宿泊業界に特化したGEO(生成エンジン最適化)コンサルティング
【本リリースに関するお問い合わせ】
株式会社Terrace Roots 松井 拓未
Email:info@geo-inn.jp / Web:https://geo-inn.jp
※本調査の詳細データ(都市別・カテゴリ別の集計)や、第3弾以降の調査計画については個別取材でご対応可能です。
参考データ・出典
・Phocuswright「The AI Surge: Travel’s Fastest Behavioral Shift in a Decade」(2026年3月)
・株式会社宿研「旅行計画での生成AI活用実態調査(630人対象)」(2026年2月公表)
・Travala「グローバル旅行者AI利用調査」
・Phocuswright「旅行者の生成AI利用予測調査」

