庭園文化を継承するために
NIWAデザイン株式会社のプレスリリース
2026年6月13日
庭園情報メディア「おにわさん」では、お庭印プロジェクトを始動します。このプロジェクトは、お庭印を通じて、庭園ネットワークを形成し、訪れる楽しみと、集める楽しみを供給することで、庭園への関心を高め、庭園文化を守ることを目的としています。
https://www.instagram.com/oniwastagram/
庭園情報メディア「おにわさん」(運営:カレンフジ株式会社)
プロジェクトの目的と背景
持続可能な社会の教科書となる日本庭園・庭園文化を次世代に継承する。
現存する多くの名園は所有者様のご厚意、想いのもと空間性が維持され、私たちは美しい庭園を目にする機会を得ています。しかし、現代の庭園を取り巻く状況は必ずしも明るいとは言えません。
現在一般公開されている歴史的な庭園においては、まず造られた時に比べ、利用状況の変化があります。歴史的庭園の多くは、信仰・饗応・生活空間と私的な空間であり、現代のように不特定多数の人々に公開することを前提としていません。そのため、維持管理方法も異なることから、労力や経済的負担は計り知れません。
次に経済性の変化です。歴史的な庭園が造られた背景には多大な資力がありましたが、現代では税制・経済性が大きく変わり、場合によっては所有者様も変わり、単独の努力だけで維持が難しくなっています。
このように個人の資力で作られた私的な庭園空間を、現在私たちのような不特定多数お庭園愛好者が目にできているのですから、もっと多くの人々の介在によって支えるべき側面や仕組みが必要であると考えます。
そのためにお庭印というアイテムを活用したネットワークを形成して、お庭印を集めることが一つの目的となり、多くの人に庭を訪れてもらうことを目指しています。
結果的に庭園文化への関心を呼び起こすとともに、庭園側にはお庭印で得た収益を庭園の整備費などに充当することにより庭という空間性の維持にもつながると考えます。
インバウンドなどの恩恵をほとんど受けていない地方の庭園は、維持管理が行き届かず、空間が荒れ、荒れるからさらに人が来ないという悪循環に陥っている庭園も少なくありません。
しかし、日本庭園というのは日本人の自然観の集積の上に成立しており、尚且つ、地方ごとの風土を色濃く反映した構成をとっていることが多く、今後、持続可能な社会を形成する際にはお手本となり得る資質を有しています。
本プロジェクトは個々の庭園にフォーカスするのではなく、庭園が相互に補完しあえる仕組みづくりによって、これまで培ってきた庭園文化を1つでも多く次世代に継承していくことを目指しています。
大きな展望を持ち、いま私たちができることを実施することで、個々の庭園の存続、維持、さらには空間性の向上につながることを切に願っています。
プロジェクトの詳細
『お庭印』プロジェクトにご賛同、ご参画いただける庭園さんを募集しています。
参画くださる庭園ごとに、来訪者に販売する御朱印ならぬオリジナルデザインの「お庭印」を制作します。庭園は来訪した希望者に500円/枚前後で販売をしてもらいます。併せて、希望する庭園には、制作したお庭印専用の『お庭印帳』を販売して頂きます。お庭印帳には全国の「庭園情報メディアおにわさん」のサイトにある庭園マップを確認することができるQRコードを付記しているので、例えば付近にある別の庭園を検索することが容易にできます。サイトには庭園までの公共機関でのアクセス、非公開情報などの諸情報から、庭園の解説も記してあるので、庭園を巡る楽しみを味わうことができます。
なお、庭園の参画に際して制作する「お庭印」の初期費用ならびにデザイン費等は原則として一切頂いておりません。その理由として、資金的に運営が大変な庭園様も参画が容易になるように、仕入費用が発生しないようにスキームを組み立てています。
庭園様が支払う費用はあくまで販売数に対して、売れた分だけを経費返還していただく仕組みとし、残りは庭園側の収益として扱わせてもらいます。
また、庭園所有者様の高齢化によるSNSなどを活用した発信力不足については、およそ10万人のフォロワーを持つ「庭園情報メディアおにわさん」が順次の庭園情報をアップしていきます。
また、同じく人手不足に悩む庭園が参画を見送らなくて良いように、「お庭印」の準備はすべて代行いたします。
今後は、「おにわさん」が行うツアーによる庭園への来訪ならびに、ツアー限定の「お庭印」などを手掛けていく予定です。
プロジェクト始動に向けての取り組み
クラウドファンディングを活用した資金調達
現在、お庭印プロジェクトに向けて、クラウドファンディングに挑戦しています。
支援募集期間 6月13日(土)11時~8月10日(月)23時までとなっており、第一目標金額は300万円です。いただいたご支援の使い途は、お庭印帳の制作費、庭園ごとの「おにわいん」の制作デザイン費、ならびに運営費、広告宣伝費として使用いたします。
クラウドファンディングは、All or Nathing方式を採用しており、資金が集まらなかった場合、それまでお申し出いただいた費用は全額取り消しになります。その場合には、代表者が製作費を全額負担し、参画くださる庭園様に対して、予定通りにお庭印プロジェクトを実施します。
なぜクラウドファンディングを活用するかについては、費用を捻出すればするほど、庭園に還元される収益が減少します。また、今回のプロジェクトは冒頭で述べた通り、もともと個人のプライベート空間であった庭園を多くの人々が目にしていることからも、多くの人に参加してもらい実施することが最良だと考えています。
参画くださる庭園を募集しています。
現時点(2026.6.20時点)の主な参画庭園様は、京都の對流山荘、無鄰菴、岩倉具視幽閉宅ほか、通常非公開の高台寺塔頭の岡林院。静岡の浮月楼、柴屋寺、長野の本陣岩波家、群馬の徳明園、広島の仙石庭園、滋賀の清岸寺さんなどの国の指定名勝(重要文化財に相当)を始めとする庭園のほか。静岡県富士市にあるカフェ喫茶として営業する無上帑など。庭園文化を盛り上げるため、新古に関わらず募集しています。また、現在、各市町村、都道府県が所管する庭園とも交渉を行っています。
参画くださる庭園様には費用負担を含めてデメリットとリスクがないように取り組んでおります。
すでに有名な庭園さまは来訪者の落ち込む庭園の模範となるよう庭園界を牽引してくださることを期待しております。また、そうでない庭園様はネットワークを活用し、1人でも多くの人に足を運んでもらえるような空間の維持につなげていければと思います。
担当者コメント
代表 山澤清一郎 博士(学術)日本庭園史
日本庭園というのは、日本人の自然観によって形成されており、その様相は他国の庭園文化を圧倒しています。
その背景には自然に対する信仰、尊重、調和、共生という自然と人との営みを尊重する日本人古来の知恵と、信仰、生活、風土などが顕著に反映されて組み込まれていることが独自の空間性を持つ庭園文化を発展させてきました。
歴史的にみると、こうした庭園というのは、原則として富裕層に限られた文化でした。しかし、近代になり、その限られた層のみに許されていた庭という文化を広めるため、また普及するために多くの庭園、造園関係者が尽力し、その結果、現存する歴史的な日本庭園が存在し、また現在の一般住宅の外部には庭に相当する面積が備わっています。
しかし現代において、前者は、気候変動の影響や公開に際する費用などが庭園に付加されることにより負担が増加し続け、また場合によっては経済活動そのものによってなくなってしまうこともあります。
一方、後者においては車社会の発達に伴って駐車場となり、手が掛かるからといった理由で庭に1本の木も植えられなくなりました。その結果、全国どこにいっても同じような街並みが形成されるようになり、地域の特徴を失うようになりました。
風土が失われ、夏は猛烈な暑さが照り付け、ゲリラ豪雨が頻繁に発生し、自然に変調を来している。木を1本植えれば生活環境は変わるけど、持続可能な社会の重要性を問うけれど、具体的に何をしたら良いか分からないというのが多くの人たちの本音です。
その答えの一端は日本人の自然観の結実として生み出された日本庭園、庭園文化に残っていると考えます。
庭園を守ることは、単に庭そのものを残すということではなく、日本人の自然観と風土を継承することであり、自分たちが生活する街並みを守ることに繋がるのだと多くの人に伝わり、プロジェクトにご賛同、応援してくださることを切に願っています。