AIが「クチコミランキング1位」と評価した旅館が、推薦ゼロに。81施設の30.9%が”存在しない”扱い——全国8温泉地で乖離を実測、新研修「クチコミ上質化GEO研修」も同時発表
株式会社Terrace Rootsのプレスリリース
宿泊業界に特化したGEO(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)コンサルティングを展開する株式会社Terrace Roots(本社:滋賀県大津市、代表取締役:松井 拓未)は、2026年7月、北海道・東北・関東・東海・山陰・四国・九州の全国8つの温泉地(定山渓・蔵王・伊豆・伊勢志摩・下呂・松江玉造・道後・阿蘇)を対象に、生成AI3サービス(ChatGPT/Perplexity/Google AI Mode)における「クチコミランキング」と「実際の推薦」の乖離を独自調査しました。
各AIのクチコミランキングに掲載された81施設について、「おすすめ」「人気」「満足度が高い」「高評価」の4クエリ×3AI=12通りの推薦有無を実測した結果、ランキングには掲載されているにもかかわらず、12通りすべてで一度も推薦されなかった施設が30.9%(25施設)にのぼりました。中にはあるAIが「クチコミランキング1位」と評価した旅館が、AI推薦ゼロという事例も確認されています。
あわせて当社は、本調査で明らかになった課題への解決策として、宿泊施設向けの新研修サービス「クチコミ上質化GEO研修〜AIに推薦される体験品質のつくり方〜」の提供開始を発表します(詳細は本文後段)。
【背景】宿泊検討の起点は“検索”から“AIへの相談”へ――加速する世界的シフト
旅行業界における生成AI活用は、2025年から2026年にかけて急加速しています。米調査会社Phocuswrightが2026年3月に発表したレポートによれば、過去12ヶ月で旅行の計画・予約・現地利用のいずれかで生成AIを使用した旅行者は56%に達し、2025年前半の33%から半年で大幅に拡大しました。Travalaの調査では世界の旅行者の40%がすでにAIツールを旅行計画で利用、Phocuswrightの別調査では今後12ヶ月以内に50%が利用予定と回答しています。
国内市場でも変化は明確です。株式会社宿研が旅行計画で生成AIを実際に活用した630人を対象に行い2026年2月に公表した調査では、「AIを使っていなかったら定番で有名な目的地や宿泊施設を選んでいたと思う」と回答した旅行者が38.6%に達しました。
こうした中、多くの宿泊施設が「クチコミスコアを上げること」に注力してきました。しかし今回の調査は、クチコミスコアの高さと、AIに実際に推薦されるかどうかは、必ずしも連動しないという実態を明らかにしています。
【調査ハイライト】4つの発見
・発見①:AIのクチコミランキングに掲載された81施設のうち30.9%(25施設)が、「おすすめ」「人気」「満足度が高い」「高評価」の4クエリ×3AI=12通りの推薦で一度も選ばれなかった。ランキング掲載=安泰ではない。
・発見②:クエリの言い回し(おすすめ・人気・満足度が高い・高評価)を変えても、ランキング掲載施設との一致率は51.3~57.1%とほぼ横並び。“聞き方を工夫すれば違う施設が出る”という前提は成立しない。
・発見③:プラットフォーム別ではPerplexityの推薦ゼロ比率が70.4%と突出。ChatGPT(45.7%)・Google AI Mode(51.9%)を大きく上回り、“出典を明示する検索特化型AI”が最も埋没を生む結果に。
・発見④:同一エリア内でも、AIの情報は特定の“有名温泉地名”に極端に偏在する。ある調査地点では、AIが言及した施設のうち85%以上が特定の一温泉地名に集中し、同じ市内にある別の温泉地はほぼ言及されなかった。さらに別の調査地点では、AIに「ランキング」を聞くと伝統的な温泉地が中心となる一方、「おすすめ」を聞くと、ランキングには一切登場しなかった別の温泉地が最多で挙がるという逆転現象も確認された。
12通り(4クエリ×3AI)中の推薦回数を「推薦率」として算出。30.9%が推薦率0%に集中する一方、安定して推薦される施設(70%以上)は11.1%にとどまる。
最も深刻な温泉地では過半数の施設が推薦ゼロとなる一方、最も良好な温泉地では1割程度にとどまり、同じ「クチコミ高評価の温泉地」でも構造に大きな差が生じている。
【情報の“地理的独占”――もう一つの構造格差】
今回の調査でもう一つ明らかになったのが、同一エリア内における情報の偏在です。ある調査地点では、AIが言及した施設のうち85%以上が、同じ市内にある特定の一温泉地名に集中していました。隣接する、同じく高評価の宿が集まる別の温泉地は、ランキング・推薦のいずれからもほぼ黙殺されていました。
さらに興味深いのは、AIへの聞き方によって“主役”となる温泉地そのものが入れ替わる現象です。ある調査地点では、「クチコミランキング」を尋ねると回答の6割が伝統的な温泉地に集中しましたが、「おすすめ」を尋ねると、ランキングには一切登場しなかった別の温泉地の施設が最も多く挙げられました。同じAI・同じ広域エリアへの質問でも、聞き方一つで“存在するかどうか”が入れ替わるということです。
これは施設の実力の差ではなく、ネット上における情報発信量・言及量の差がそのまま表れている可能性が高いと考えられます。知名度で先行するエリアほど記事・レビュー・特集の絶対量が多く、AIがそこに引っ張られやすい一方、知名度で劣るエリアでも情報発信を積み上げれば、AIの回答に十分入り込む余地があることを、今回のデータは同時に示しています。
【経営インパクト】“スコアを追う努力”だけでは足りない構造
この調査結果が突きつけるのは、単なる「AI対策」の話ではありません。多くの宿泊施設が、クチコミスコアという“数値”を上げることに時間と労力を投じてきました。しかし今回の調査では、クチコミスコアが高い施設が、AIの推薦では一度も選ばれないケースが複数確認されています。
一方でAIの回答は、同じ質問でも聞き方(ランキングを聞くか、おすすめを聞くか)によって一貫性を欠く傾向があります。つまりAIは、施設ごとに固定された「順位」を参照しているのではなく、都度異なる情報を組み合わせて回答を生成しています。ここで問われるのは、スコアという数値そのものではなく、AIが参照するに値する“具体的な情報”がどれだけ厚みを持って存在しているか、です。
【なぜ「推薦の再現性」が失われるのか――3つの構造要因】
・構造要因①|AIの回答は“固定順位”ではなく“都度生成”:クチコミランキングとおすすめクエリでは、AIが参照する情報の組み合わせそのものが変わる。一度ランキング上位に入っても、別の聞き方をされた瞬間に再現される保証はない。
・構造要因②|情報発信量の差がそのまま可視性の差になる:知名度の高い温泉地・施設ほどネット上の言及量が厚く、AIに参照されやすい。逆に言えば、知名度で劣る施設・エリアでも、情報発信の量と質を高めれば十分にAIに拾われる余地がある。
・構造要因③|クチコミの“数値”は再現性のある推薦材料になっていない:高評価・具体的なクチコミを持つ施設でも、AIの推薦には直結しない事例が確認された。スコアという数値だけでは、AIにとって“選ぶ理由”として不十分である可能性が高い。
【クチコミ神話の崩壊――今回の最大の発見】
「クチコミスコアを上げれば、AIにも人にも選ばれる」――そう考えるのが自然ですが、今回の調査結果はその前提を大きく揺さぶるものでした。
今回の調査では、AI自身がクチコミランキングで1位と評価した旅館が、実際の推薦クエリでは12通り中0回という事例が確認されました。この施設のクチコミには、料理や温泉についての具体的な描写も豊富に含まれていました。それでも推薦には至りませんでした。
クチコミの数値を追い求めること自体は、決して間違いではありません。しかし今回の調査結果は、数値だけでは足りないという事実を示しています。
宿泊施設に本当に必要なのは、スコアという数値を追い求めることをやめることではなく、それに加えて、顧客が思わず具体的な感動を語りたくなるような体験を設計し、それを支えるスタッフの接客スキル・商品知識・ブランドストーリーの共有を、組織として継続的に更新していくことではないでしょうか。
【調査を踏まえた新サービス】「クチコミ上質化GEO研修」を提供開始
本調査で明らかになった「クチコミスコアとAI推薦の乖離」という構造課題を受け、株式会社Terrace Rootsは、宿泊施設向けの新研修サービス「クチコミ上質化GEO研修〜AIに推薦される体験品質のつくり方〜」の提供を開始します。
ChatGPTなどのAIは、クチコミを読み込んで宿を推薦しています。本研修では、自社と競合のクチコミ分析を通じて「AIにどう語られているか」を可視化し、自社のあるべき姿とブランド理解を深めます。商品知識と接客品質の底上げにより、クチコミに書かれる体験そのものを磨く——それがAI時代の最も本質的なGEO対策です。
<研修の特徴>
・自社・競合のクチコミ分析による「AIからの見られ方」の可視化
・クチコミ乖離データを教材とした、自社のあるべき姿・ブランド理解の再定義ワーク
・具体的な感動が語られるクチコミを生むための、商品知識・接客品質・ブランドストーリー共有の底上げプログラム
対象:旅館・ホテルなど宿泊施設の経営層・現場スタッフ
形式:ワークショップ形式(対面・オンライン対応)
詳細・お申し込み:https://geo-inn.jp(お問い合わせフォームより)
「スコアという数値を追う」から「クチコミに書かれる体験を磨く」へ。体験品質への投資が言及の質を高め、AI推薦というストック資産につながる。
【代表・松井拓未によるコメント】
<プロフィール>
氏名:松井 拓未(まつい たくみ)
受賞・認定:LinkedIn Top Voice(Travel & Tourism, Japan Top 10)/Favikon Top 200 Creator(旅行業カテゴリ)
経歴:ホテル支配人を経て、宿泊業界に特化したGEO(生成エンジン最適化)コンサルティング会社・株式会社Terrace Rootsを2026年4月に創業。LinkedInを中心に、AI時代の宿泊業マーケティングに関する発信を継続。
「クチコミの点数を上げれば、いずれAIにも人にも選ばれる」――宿泊業界では長くそう信じられてきました。点数を追うこと自体は、決して間違いではありません。ただ生成AIの時代では、点数だけでは足りない場面が増えています。AIは施設ごとに固定された順位表を参照しているのではなく、聞かれるたびに“その場”で情報を組み合わせて回答をつくっています。今回の調査で、クチコミランキング1位と評価された旅館が、実際の推薦では一度も選ばれないという事例が確認されました。
私自身、ホテル支配人として現場に立つ中で痛感してきたのは、本当にお客様の心を動かすのは点数だけではなく、具体的な体験の積み重ねだということです。スタッフが施設のブランドストーリーを自分の言葉で語れること、商品知識を深く持っていること、そしてイレギュラーな対応の一つひとつを組織で共有し、次に活かしていくこと。数値を追いかけることに加えて、こうした“教育”への投資を重ねていくことこそが、AI時代に選ばれ続ける施設をつくる最も確実な道だと考えています。
――株式会社Terrace Roots 代表取締役 松井 拓未
【Terrace Rootsの提言】
・クチコミスコアという数値目標だけでなく、顧客が具体的に語りたくなる体験そのものの設計に投資する。
・スタッフがブランドストーリー・商品知識を自分の言葉で語れるよう、教育プログラムを継続的に更新する。
・イレギュラー対応やクレーム対応の事例を組織内で共有・アップデートし、属人化させない仕組みを作る。
・自施設が主要クエリでAI各サービスにどう扱われているかを定期的に測定し、改善のPDCAを回す。
・知名度の高い温泉地に偏りがちなAIの情報参照構造を踏まえ、知名度で劣るエリア・施設ほど、情報発信の量と質を意識的に高める。
・自社サイトでの発信に加え、外部メディアでの言及機会を増やすことも、AIが参照する情報の母集団そのものを広げる有効な手段となる。
【調査概要】
調査名:全国温泉地クチコミ乖離調査 第3弾【温泉旅館編】
調査主体:株式会社Terrace Roots
調査対象:定山渓・蔵王・伊豆・伊勢志摩・下呂・松江玉造・道後・阿蘇の全国8温泉地、AIクチコミランキング掲載81施設
対象AI:ChatGPT/Perplexity/Google AI Mode(いずれもWeb検索連携状態で実施)
調査クエリ:クチコミランキング(旅館のみ)、および「おすすめ」「人気」「満足度が高い」「高評価」の4クエリ
判定総数:81施設 × 4クエリ × 3AI = 972判定
調査方法:各AIに同一クエリを入力し、施設名が回答本文または引用元として明示された場合を「推薦あり」と判定。ランキング掲載施設ごとに推薦回数を集計し、推薦率(/12)を算出。
調査期間:2026年7月
留意事項:本調査はTerrace Roots独自の手法による集計であり、各AIサービスの仕様変更により結果は変動します。施設の優劣を評価するものではなく、AI時代の宿泊検索構造を可視化することを目的としています。本リリースでは個別の施設名は非公表とし、業界全体の構造的課題として提示しています。
【第2弾「ホテル編」からのアップデート】
本調査は2026年6月に発表した第2弾「ホテル編(8都市64施設)」の続編にあたります。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000179501.html
第1弾「旅館編」(2026年4月)のURLも同じ段落か【参考データ・出典】欄に足すと、シリーズ3部作が完結します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000179501.html
今回は対象を温泉旅館に広げ、「ランキング掲載施設が実際に推薦されるか」という再現性の観点を新たに導入しました。
・評価軸の拡張:推薦の有無だけでなく、「ランキングに入っているのに推薦されない」という乖離を新たに定量化
・クエリ設計の精緻化:4種類の言い回し(おすすめ・人気・満足度が高い・高評価)を横断的に比較し、聞き方による差の有無を検証
当社は今後も継続的に調査対象を拡張し、日本の宿泊業界において、生成AIにどの施設がどのように扱われているかをモニタリングしてまいります。
【会社概要】
会社名:株式会社Terrace Roots
代表者:代表取締役 松井 拓未(LinkedIn Top Voice / Favikon Top 200 Creator)
所在地:滋賀県大津市(ブランチ大津京内)
設立:2026年4月
事業内容:宿泊業界に特化したGEO(生成エンジン最適化)コンサルティング
【本リリースに関するお問い合わせ】
株式会社Terrace Roots 広報担当:松井 拓未
Email:info@geo-inn.jp / Web:https://geo-inn.jp
※本調査の詳細データ(温泉地別・施設別の集計)や、第4弾以降の調査計画については個別取材でご対応可能です。
【参考データ・出典】
・Phocuswright「The AI Surge: Travel’s Fastest Behavioral Shift in a Decade」(2026年3月)
・株式会社宿研「旅行計画での生成AI活用実態調査(630人対象)」(2026年2月公表)
・Travala「グローバル旅行者AI利用調査」
・Phocuswright「旅行者の生成AI利用予測調査」