日本健康開発財団の協力のもと、入浴前後でバイタルを計測し、温泉ごとに異なる心身の変化を“見える化”。3か年の調査で得た知見とメソッドをもとに、多地域での温泉効果調査の受託やデータの社会実装を進めます。
湯治ぐらし株式会社のプレスリリース
日本古来の養生法「湯治(とうじ)」を世界の新しいライフスタイルへ――をミッションに掲げる湯治ぐらし株式会社(本社:大分県別府市、代表取締役:菅野静)は、環境省「新・湯治の効果に関する協同モデル調査」および別府市が推進する新湯治・ウェルネス関連事業として、温泉入浴が心身にもたらす効果を計測・可視化する調査を3か年にわたり継続してまいりました。このたび、これらの調査で得られた知見をまとめてご報告するとともに、同様の温泉効果調査を、全国の自治体・DMO・温泉施設へも提供してまいります。
背景:温泉効果の“可視化”は、国が後押しする時代の潮流へ
環境省は、温泉の健康増進効果を科学的に検証・普及することを目的とした「チーム新・湯治」プロジェクトを推進しており、全国の自治体・観光協会・研究機関・企業など約500団体が参画しています。「温泉を観光からウェルネスへ」という国全体の方向性が示されるなか、温泉の効果を主観的な印象ではなく客観的なデータで裏づける取り組みは、まだ限られているのが実情です。
当社は、温泉のまち・別府を拠点に、「この温泉は、体に何が・どれだけ良いのか」をデータで示すことに取り組んできました。その一環として、環境省・別府市の委託事業に3年間継続して参画し、入浴前後の身体の変化を一件ずつ計測してきました。
3か年の取り組み:環境省・別府市の委託調査(各3件)
■ 環境省「新・湯治の効果に関する協同モデル調査」
令和5年度:ワーケーションの滞在期間別(2泊3日・1週間・1か月・移住)にみる湯治効果の違いを実証
令和6年度:「単発」と「リピート」による湯治ワーケーション効果の違いを実証
令和7年度:滞在日数別・プログラム別にみる湯治効果の分析
■ 別府市「新湯治・ウェルネス事業」(実施:別府市産業連携・協働プラットフォーム B-biz LINK)
令和5年度:市営温泉施設での「市民一斉大計測会」
令和6年度:泉質別・健康項目別にみる温泉効果の分析(モニター計測会)
令和7年度:「温泉×睡眠」の効果を検証するモニターツアー
共通のメソッド:入浴前後のバイタル計測と温泉カウンセリング
いずれの調査も、一般財団法人日本健康開発財団の協力のもと、看護師・温泉利用指導者などの有資格者が、入浴の前後で血圧・血管年齢・自律神経バランス・ストレス度・柔軟性などのバイタルを計測。あわせて、リラックス度・睡眠・疲れ・肩こりなどの主観評価(VASスケール)を取得し、入浴前後の変化を比較することで、温泉ごとに異なる体の変化を可視化しています。
また、当社ではこれらの計測とあわせて「温泉カウンセリング」も実施してきました。看護師や温泉利用指導者の資格を持つ「湯治カウンセラー」が、計測データと一人ひとりの体質・体調をふまえ、その方に合った泉質・温泉施設・入浴方法などをアドバイスするものです。これまで延べ数百回にのぼるカウンセリングを重ね、データそのものに加えて、「データを一人ひとりにどう活かすか」という実践知も蓄積してきました。この計測とカウンセリングの一連のメソッドを、当社の温泉効果測定サービス「湯治チェックアップ」として体系化しています。
3か年の調査から見えてきたこと
これまでの6つの調査からは、たとえば次のような傾向が示唆されています(いずれも各委託事業における限定された条件・人数のもとでの調査結果であり、特定の疾病の治療・予防効果を示すものではありません)。
<環境省「新・湯治の効果に関する協同モデル調査」>
● 滞在期間別(令和5年度):滞在が長くなるほど(2泊3日→1週間→1か月)、主観的な健康状態や気分に関する自己評価、身体機能の計測値に改善がみられる傾向。一方で、2泊3日の短期滞在でも、温泉の活用法や心身を整える学びが得られ、その後のライフスタイルにまで良い影響を及ぼす例がみられました。
● 単発・リピート(令和6年度):単発の滞在でも、計測値や主観評価の多くの項目で改善がみられ、普段の入浴頻度が低い方ほどその傾向が顕著でした。さらに、日常生活で数値が悪化していた項目が再訪時に大きく改善したことから、定期的な湯治滞在が心身のコンディションを整えることにつながる可能性が示唆されました。
● 滞在日数別・プログラム別(令和7年度):日帰り・宿泊のいずれでも計測値・主観評価に変化がみられ、2泊以上の滞在は、収縮期血圧やストレスに関する数値の変化が日帰りより大きい傾向。運動プログラムは肩こり・腰痛などの自覚症状に関する主観評価(VAS)に、書道・アロマなどの文化体験は心理的ストレスや自律神経バランスの計測値に変化がみられ、目的に応じたプログラム設計の可能性が示唆されました。
<別府市「新湯治・ウェルネス事業」>
● 市民一斉大計測会(令和5年度):市営温泉での入浴前後の計測では、収縮期血圧が下がり、長座位前屈(体の柔軟性の指標)の数値が伸びる傾向が全体的にみられました。リラックス感・リフレッシュ感などの主観評価(VAS)も改善し、別府の高温の湯には、入浴後にシャキッと切り替わる“目覚めの温泉”的な特性もみられました。
● 泉質別・健康項目別の分析(令和6年度):泉質ごとに、計測値に表れる変化のパターンが異なることを確認。1回の入浴で明確に差が出るのは「血圧」「柔軟性」「脈拍」で、泉質ごとに“温泉の個性”をデータで可視化できることが見えてきました。
● 温泉×睡眠(令和7年度):別府での温泉滞在中は、自宅での通常入浴時に比べて睡眠時間(自己申告)が長く、起床時の眠気の少なさや疲労回復感といった主観評価も高い傾向がみられ、「温泉×睡眠」の親和性が示唆されました。
今後の展開:別府から全国へ、そしてデータの社会実装へ
当社は、別府で積み重ねてきた測定メソッドと知見を、これからは全国の温泉地へ広げてまいります。こうした委託・自社の調査を積み重ねた結果、これまでに累計3,000件を超える入浴前後の実計測データと、それをもとにしたカウンセリングの実践知が蓄積されており、これらを基盤に次の展開を進めます。
● 温泉効果調査の受託:他地域の自治体・DMO・温泉施設からの、温泉効果の調査・実証・共同研究のご相談を承ります。
→ 導入する側のメリット:自治体・DMOにとっては、エリア内の温泉地の効果をデータで可視化することで、より高付加価値なウェルネスツーリズム客の誘客につながります。また、各温泉の“個性”が見える化されることで、温泉地ごとの強みを活かしたエリアマネジメントにも活用いただけます。
●「湯治チェックアップ」の全国展開:入浴前後の計測を軸とした温泉効果の可視化サービスを、他地域の温泉地・宿泊施設へ広げます。別府で培ったカウンセリングの知見も、こうしたサービスの価値を高める強みとなります。
→ 導入する側のメリット:温泉地にとっては、効果の可視化により高付加価値な“ウェルネス・デスティネーション”への進化が期待できます。個々の宿泊施設にとっても、自館の温泉効果がデータという“武器”になり、高単価なウェルネス宿泊プランの造成や目的来訪の創出につながります。
● データの社会実装:蓄積したデータは温泉ビッグデータ研究拠点「おんピタラボ」に接続し、温泉マッチングアプリ「おんピタ」等を通じて社会実装を進めます。データが蓄積されるほど、一人ひとりの体質・体調に最適な温泉を提案する“温泉のパーソナライズ”の精度が高まっていきます。
→ 導入する側のメリット:利用者は自分の体質・体調に合った温泉と出会えるようになり、温泉施設は自館の個性がデータで可視化され、それに合った利用者とのマッチングが進みます。有名・無名を問わず、それぞれの温泉地が持つ固有の魅力を再発見する機会につながります。
代表コメント:湯治ぐらし株式会社 代表取締役 菅野 静
「温泉のまち・別府で、私たちは『この温泉は、本当に体にいいのか』という素朴な問いに、データで向き合ってきました。環境省『新・湯治の効果に関する協同モデル調査』、別府市『新湯治・ウェルネス事業』という官民連携の枠組みのなかで、3年間、入浴前後の身体の変化を一件ずつ計測し続けてこられたのは、ご一緒くださった環境省・別府市の皆さま、専門機関としてご協力いただいた日本健康開発財団、そして計測にご協力くださった温泉施設や参加者の皆さまのおかげです。
温泉は『気持ちいい』だけの画一的なものではなく、泉質や入り方によって、心身にもたらす効果は一つひとつ異なります。その違いをデータで示すことは、温泉を『観光資源』から『人々の暮らしと健康を支えるウェルネス資源』へと捉え直し、消えゆく温泉地という課題に向き合う第一歩だと考えています。
別府で積み重ねてきた測定メソッドと知見を、これからは全国の温泉地へ広げてまいります。地道な計測の一件一件が積み重なることで、いつか誰もが自分にぴったりの温泉と出会える“温泉のパーソナライズ”が当たり前になる――その未来を信じて、歩みを進めてまいります。」
会社概要
会社名:湯治ぐらし株式会社
所在地:〒874-0840 大分県別府市大字鶴見401番地の1
代表者:代表取締役 菅野 静
設立:2023年4月26日(良い風呂の日)
事業内容:温泉DX事業、温泉ウェルネスツーリズム事業、シェアハウス・リトリート宿泊事業、コンサルティング事業 ほか
コーポレートサイト:https://www.toji-gurashi.jp/
湯治チェックアップ:https://www.toji-gurashi.jp/checkup
おんピタラボ:https://lab.onpita.com/
本件に関するお問い合わせ
▼ 報道関係者向けお問い合わせ
湯治ぐらし株式会社 広報担当:八坂 yasaka@toji-gurashi.jp
▼ 事業に関するお問い合わせ
自治体・DMOからの温泉効果の調査・実証・共同研究のご相談、企業・事業会社からの新商品・新サービスの共同開発や事業共創・協業のご相談は、いずれもこちらの窓口で承っています。
contact@toji-gurashi.jp
関連リンク
・湯治ぐらし株式会社:https://www.toji-gurashi.jp/
・湯治チェックアップ(温泉効果測定サービス):https://www.toji-gurashi.jp/checkup
・七日一巡り(湯治リトリート滞在施設):https://www.toji-gurashi.jp/nanokahitomeguri
・おんピタラボ(温泉ビッグデータ研究拠点):https://lab.onpita.com/