発災から15年を経て、伝承活動の財源や負担の在り方を初めて調査。他事業からの補填や無償協力、自治体予算でまわなわれてきた伝承活動の現状速報を公開
公益社団法人3.11メモリアルネットワークのプレスリリース
公益社団法人3.11メモリアルネットワークは、2026年8月11日、岩手・宮城・福島における震災学習プログラム実施団体(以下「伝承団体」)25団体、震災伝承施設(以下「伝承施設」)28施設運営組織から回答を得た2024年東日本大震災伝承活動アンケートの集計を、速報記事として公開しました。
調査結果公開URL
2026年東日本大震災伝承活動アンケート調査(速報)
経緯
3.11メモリアルネットワークでは、震災学習プログラムの提供や震災伝承施設の運営に取り組む皆さまにご協力いただき、2017年より毎年「東日本大震災伝承活動調査」を実施しております。
2025年第1弾(来訪数)調査により、「東北の伝承団体・伝承施設への全体来訪の2年連続減少」が確認され、発災から15年を経て岩手・宮城での昨年度での復興財源収束、2026年の福島県祈念公園新設、災害対策基本法への基本理念「過去の災害から得られた教訓を踏まえ、絶えず改善」の追記、
「行動変容」を掲げた防災庁設置等を踏まえて、東北の伝承は大きな転換期を迎えております。
今回のアンケート調査では、8つの大設問を設定し、岩手・宮城・福島の震災伝承団体の伝承施設運営組織の協力により調査速報を公開することができました。
発災15年を経た東北被災地での伝承活動全体像を見渡し、命を守る取り組みを今後の15年、30年先へと続けてゆくための基礎資料としてお役立ていただければ幸いです。
速報回答例①来訪者からの収入では、伝承施設の約1割しか必要費用・負担を賄えず
来訪者収入で必要費用・負担の半分以上まかなえている震災伝承団体は36%、伝承施設は11%であった。「全くまかなえていない」の回答は、伝承団体0%に対し伝承施設は39%であった。
速報回答例③ 必要費用・負担を伝承団体は別事業や無償協力、施設は自治体予算で補填
参加者・来館者からの対価収入でまかなえない不足部分について、伝承団体は「別事業収入からの補填」「寄付支援」「無償協力」によって負担し、伝承施設は「自治体予算」によって確保されてきた。
速報回答例④ 次世代が伝承を継続するための費用・負担想定に、理想と現実のギャップ
次世代が伝承を継続するための費用・負担について理想と現実を尋ねたところ、震災施設からは、理想的な財源としても、現実的な財源としても「震災伝承の国・自治体予算」に約7割の最多回答があった。
伝承団体も「震災伝承の国・自治体予算」を理想とする回答が約8割であったものの現実的な財源としては約3割しか考えておらず、対価収入をはじめ他事業補填、無償協力などでの継続を現実的と考えており、大きなギャップが見られた。
速報回答例⑤ 継続の不安はなお高率。10年、30年先の財政・人材確保は厳しい見通し
「継続の不安」は、伝承団体が86%、伝承施設は68%で、以前として高率であった。
活動資金・伝承人材の見通しについては、発災15年の関心増加や来訪増加によるものか、前回調査時よりも1年後、3年後の短期見通しは改善したが、発災15年の30年後の長期見通しは前回より「わからない」が多くなり、先行きの不透明さが確認された。
速報回答例⑥ 国営追悼施設を含む復興祈念への高い期待
震災伝承団体、伝承施設からの回答では、岩手・宮城・福島の国営追悼施設を持つ復興祈念公園がこれまでに実現したことは「県内団体・施設の館内紹介」が最多であり、今後については全項目へ多くの期待が集まった。
※他の集計結果は2026年東日本大震災伝承活動調査(速報)WEB記事をご参照ください。
調査概要
【対象】岩手・宮城・福島の3県で震災伝承活動に取り組む団体、施設
【期間】2026年7月26日〜8月10日
【方法】メールで依頼・フォームで回答
【実施主体】公益社団法人3.11メモリアルネットワーク
【アドバイザー】東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
【協力】一般財団法人みちのく創生支援機構 調査協力
震災学習プログラム:25団体(岩手6/宮城16/福島3)
震災伝承施設:運営28組織(岩手6/宮城14/福島8)
※調査協力いただいた各組織の名称はリンク先をご参照ください。
今後の調査予定
今回の2026年震災伝承アンケート調査は暫定版であり、今後も未回答の組織から追加回答を収集するほか自由記述等の内容を加えて詳報を公開し、昨年同様に、記者会見や伝承調査報告書にて共有させていただきます。
※昨年調査報告書参考リンク:2024年震災伝承調査報告書冊子を公開
本日で、発災から15年5か月を迎えました。
命を守る震災伝承活動を未来に継続してゆくため、少しでもご参考になれば幸いです。