クラフトを軸に、蔵王温泉を核とした「村山・置賜」周遊モデルを国内FAMで検証 ― 訪日富裕層・台湾市場への送客に向けて

米沢織・紅花染め・けん玉――「見て・体験して・買える」置賜のものづくりを、実際に送客を担う旅行会社・ガイドの目線で検証しました

プラットヨネザワ株式会社のプレスリリース

天日で干される「紅餅」。これが紅(べに)や染料の原料になる ― 白鷹町「紅花の館」

観光まちづくり法人・プラットヨネザワ株式会社(山形県米沢市、代表取締役 宮嶌浩聡)は、一般社団法人やまがたアルカディア観光局をはじめとする地域事業者の協力のもと、2026年7月29日(水)〜31日(金)の2泊3日で、訪日富裕層を扱う旅行会社・ガイドおよび台湾・台中の旅行会社を招いた国内FAMトリップ(視察招請旅行、以下FAM)を実施しました。

本事業は、蔵王温泉を核に村山エリアと置賜エリアを結ぶ広域周遊のモデルコースを造成し、台湾および欧州(フランス)の各市場へ情報を発信し、送客を目指す取り組みです。今回のFAMでは、そのモデルコースを、実際に送客を担う旅行アドバイザー・旅行会社の目線で検証し、磨き上げることを目的としています。

◆ 開催の背景 ― ものづくりが息づく置賜で、「クラフト」を軸に

置賜は、戦国期に直江兼続が奨励した青苧(あおそ)を土台に、江戸時代には名君・上杉鷹山公が米沢織を興し、楮(こうぞ)の植栽と手漉き和紙、笹野一刀彫といった農閑期の副業を奨励した地域です。「なせば成る」の言葉に象徴される鷹山公の精神は、今も暮らしとものづくりに深く息づいています。

今回のFAMでは、その文化を受け継ぐ「クラフト(ものづくり)」を主軸に構成しました。米沢織、置賜紬(おきたまつむぎ/置賜地域で織られる絹織物の総称)、紅花染め、手漉き和紙、黒獅子(長井の祭りを彩る獅子舞の獅子頭)などの作り手の現場と手仕事を巡り、「見て・体験して・買える」体験としての可能性を検証しています。

共通するテーマの一つが、紅花のクラフト文脈です。紅餅などの生産量で全国シェア6割超を占める白鷹の紅花と、米沢の紅花染め・置賜紬を一気通貫の物語としてつなぎ、上杉文化・黒獅子・発酵食・米沢牛といった置賜の資源とあわせて磨き込んでいきます。なお、白鷹町を含む最上川流域の紅花の生産・染色用加工システムは、2019年に日本農業遺産「歴史と伝統がつなぐ山形の『最上紅花』」として認定され、現在は世界農業遺産(GIAHS)の認定に向けてFAOへ申請中です。

◆ 主なプログラム

― 1日目(7/29)|米沢・長井・白鷹|酒・米沢織・黒獅子・紅花 ―

酒造資料館「東光の酒蔵」。400年以上続く酒造りの歴史にふれる

酒造資料館 東光の酒蔵(小嶋総本店・米沢)

1597年(慶長2年)創業、米沢藩上杉家の御用酒屋を務めた蔵元。実際に酒造りを行っていた土蔵を改修し、酒造りの歴史や道具を公開しています.

東光の酒蔵 公式サイト

稼働するジャガード織機を前に、米沢織の工程を見学する参加者

山口織物鷹山堂(米沢) 

自然に囲まれた工房で米沢織の織元を見学し、伝統と革新を織り込むものづくりのストーリーに触れました。直営ショップ「鷹山堂 Fabric & Coffee」では、ストールなどの米織小物を展開しています。
鷹山堂 公式サイト

長井の祭りを彩る黒獅子の獅子頭を間近に。一頭ごとに異なる表情に見入る参加者

獅子宿 燻亭/工藝舎獅子宿(長井)

黒獅子の獅子頭を彫る店主が営む、古民家の蕎麦処。店内には八尺獅子をはじめ店主制作の木彫りの獅子頭や民具、黒獅子にまつわる資料が並びます。手打ちそばとつきたての餅を味わいながら、長井の祭りを支える彫り手の話に耳を傾けました。
獅子宿 燻亭

ライダーの聖地としても知られる總宮神社を見学

總宮神社(長井)

黒獅子舞ゆかりの「長井一の宮」。坂上田村麻呂の創建と伝わり、直江兼続が手植えしたとされる9本の大杉(直江杉)が残ります。近年は東北でも珍しい「バイク神社」=ライダーの聖地としても知られ、全国のバイク愛好家が参拝に訪れます。
總宮神社 公式サイト

紅花の館(白鷹町)。紅花の一連の工程について説明を受ける

紅花の館(白鷹)

紅餅などの生産量で全国シェア6割超を占める白鷹の紅花について学び、紅花染めを体験。世界農業遺産への申請が進む文脈も含めて、紅花に関する学びを深めました。
紅花の館

約400年受け継がれる手漉きの現場と併設のショップを見学

深山和紙(白鷹) 

藩政時代には上杉藩の御用紙として用いられ、約400年にわたり受け継がれてきた手漉き和紙。
1978年に山形県指定無形文化財(工芸技術)に指定されています。和紙を漉く・和紙に書くといった体験づくりの可能性も検討しました。
白鷹町(深山和紙振興研究センター)

― 2日目(7/30)|白鷹・山形・蔵王・小野川|きもの・養蚕と蔵王の食 ―

明治・大正期の母屋と蔵を改修した「NIPPONIA 白鷹 源内邸」。客室やアメニティ、館内の設えを見学

NIPPONIA 白鷹 源内邸(白鷹)

初代当主・高橋源内が米沢藩主 上杉鷹山公と親交をもったと伝わる旧家。明治中期から大正期の母屋と蔵を改修した「きものリトリートホテル」を視察しました。改装したての客室やアメニティ、地元食材を用いたローカルガストロノミーのディナーを体験できる施設です。
NIPPONIA 白鷹 源内邸 公式サイト

とみひろ里山養蚕所(白鷹町十王)。春と秋の年2回、地域の協力を得て蚕を育て、繭を生産する自社の養蚕所

とみひろ 里山養蚕所(白鷹)

1578年(天正6年)創業の呉服店・株式会社とみひろが、白鷹町東部の十王地区に構える自社の桑園と養蚕所。糸のもとをたどれる現場として、日本の養蚕文化を受け継ぐ営みを見学しました。
とみひろ 里山養蚕所

会長の案内で、すべて手織りの一点物の絹織物を見る

とみひろ 着物SPA

養蚕からデザイン・染め・織り・仕立てまでを自社で一貫して手がける「着物SPA」の拠点。会長のご案内で、大学院を修めたスタッフによる手織りの絹織物や一点物の作品を見学しました。
とみひろ 公式サイト

高湯通りから酢川温泉神社へと続く石段。温泉街を歩き、周遊の核としての受け入れ環境を確認

蔵王温泉 まち歩き/宿泊施設視察

周遊の核となる蔵王温泉の宿泊施設(深山荘 高見屋、蔵王国際ホテル)も視察し、様々な客室環境を確認しました。

深山荘 高見屋蔵王国際ホテル

自ら手づくりした稲花餅(いがもち)。黄色い米粒は稲の花を表し、豊作の願いが込められている

稲花餅(いがもち)づくり体験

蔵王温泉で100年以上つくり継がれてきた郷土菓子を、笹の葉にのせて手づくり。黄色い米粒は稲の花を表し、豊作への祈りが込められています。地域の信仰と結びついた食文化を、「作って食べる」体験として楽しみました。
蔵王温泉観光協会(稲花餅の里)

― 3日目(7/31)|長井・飯豊・米沢|けん玉・文化財・里山・米沢織 ―

けん玉ひろばSPIKe(長井)。世界大会やけん玉外交の写真展示を前に、けん玉のまちの物語を聞く

けん玉広場SPIKe(長井・山形工房) 

長井市は競技用けん玉の生産量日本一(全国シェア約7割)。2016年には「けん玉を連続してキャッチする最多人数」114人のギネス世界記録が長井で樹立されました。技のパフォーマンスや絵付け・けん玉体験に加え、名入れ・オーダーメイドのけん玉など「作って持ち帰る」楽しみについても学びました。
けん玉ひろばSPIKe

旧丸大扇屋(山形県指定文化財)。江戸期から大正期の建物7棟が並ぶ、約330年続いた商家

丸大扇屋(長井・文教の杜)

江戸・明治・大正の建物7棟が残る、約330年続いた商家(山形県指定文化財)。渓流の水を台所に引き込む「水との暮らし」や、現代アートの展示との協働など、見どころの多い一軒です。
 文教の杜ながい 公式サイト

老舗の麩屋が営むカフェ。麩のフレンチトーストなど、ベジタリアンにも提案できる食体験を試食

斎藤麩屋/cafe麩和里(長井)

大正15年(1926年)創業、100年続く麩の老舗が営むカフェ。麩のフレンチトーストなど、ベジタリアンにもおすすめできる食体験を試食しました。
斎藤麩屋 公式サイト

やまがたもりもりの森(長井)での里山歩き。手入れされた杉木立の小径をたどり、長井の森の暮らしにふれる

やまがたもりもりの森(長井)

里山歩きに加え、書(達磨絵)の見学と、郷土料理・丸茄子漬け・採れたて野菜の天ぷらなどのおもてなし体験。海外の親子客の受け入れ実績もある、家族的なぬくもりのある体験プログラムです。 

やまがたもりもりの森

近賢織物(米沢)。昭和初期の織機が並ぶ工場で、紋紙による紋織のしくみを間近に

近賢織物(米沢)

1860年(万延元年)に桐生から招かれた織物職人が礎を築いた米沢織の織元(ブランド「宝来屋」)。昭和初期の織機や、複雑な紋彫り(ジャカードの仕組み)による織りの現場を間近に見て、伝統技術への理解を深めました。
近賢織物 公式サイト

上杉神社(米沢城本丸跡)。「愛の武将隊」のガイドの案内で、上杉家と鷹山公の物語にふれる

上杉神社・上杉城史苑(米沢)

米沢城本丸跡に鎮座し、上杉謙信公を祀る神社を参拝。大正12年に米沢出身の建築家・伊東忠太の設計で再建されました。境内の摂社・松岬神社には上杉鷹山公が祀られています。甲冑姿のガイドによる実演や、「なせば成る」に象徴される鷹山公の逸話に感銘の声が上がりました。隣接する上杉城史苑で品ぞろえも確認し、米沢駅で解散しました。
上杉神社 / 上杉城史苑

◆ 参加者(招請ゲスト)

本FAMには、訪日富裕層および台湾市場への送客を担う、以下の皆さまにご参加いただきました。

  • 訪日富裕層向けの旅行アドバイザー、および全国通訳案内士

  • 台湾・台中の旅行会社(複数社)の代表・責任者

  • 東北のネイチャーガイド

  • 協力:山形県、一般社団法人やまがたアルカディア観光局、各地域事業者

◆ 参加者の声(事後アンケートより抜粋)

視察後のアンケートでは多くの項目で高評価が寄せられ、「ぜひ紹介したい」という前向きな声が数多く挙がりました。

  • 「米沢織のブローチは東京でも身に着け、『ヨネザワ大使』の気持ちで、この3日間で感じた米沢の魅力をゲストにもお伝えしていきたい。」 

  • 「百年以上の歴史を持つ会社が、文化や技術を守りつつ、時代に合わせた新しい取り組みを続ける姿に、海外のお客様へ絶対に紹介したいという思いでいっぱいになりました。」 

  • 「紅花染めは世界農業遺産への申請が進む文脈もあり、外国のお客様にも関心を持っていただける体験。ハンカチだけでなくストールサイズも加えると、さらに良い。」

  • 「山形の観光に関わる皆さんが地元愛にあふれ、その温かさに感銘を受けました。富裕層のお客様のご案内が、今からとても楽しみです。」 

◆ 視察を通じて見えた手応えと、これから

参加者からは、「見て・体験して・買える」が一連でつながる置賜のものづくり(米沢織・紅花染め・けん玉・麩 など)と、蔵王温泉を核にコンパクトに周遊できる立地に、周遊商品としての強い手応えが寄せられました。

あわせて、本格的な送客に向けた課題も共有されています。プラットヨネザワおよび地域事業者は、これらをもとにモデルコースの更なる磨き込みを続けてまいります。

◆ プラットヨネザワ株式会社について

会社名:プラットヨネザワ株式会社

所在地:山形県米沢市本町2丁目1-12 マチスタヂオ

代表者:代表取締役 宮嶌 浩聡

設立:2022年4月

事業内容:観光まちづくり法人(DMO)、観光データベースマネージメント

URL:https://www.plat-yonezawa.jp/

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