株式会社JTBのプレスリリース
株式会社JTBは、日本の人事部が主催する「HRアワード2026」(後援:厚生労働省)の企業人事部門において、最優秀賞を受賞いたしました。今回の受賞対象となった取り組み「もう『忘却の橋』を渡らせない ~行動変容確率で研修を再定義し、AIによる持続可能な研修設計への実践~」は、生成AIとデータを活用し、企業研修の在り方を根本から変革する挑戦です。
「HRアワード」について
「HRアワード」は、全国のHRパーソンの投票により人と組織の成長を促す取り組みを表彰する制度です。2026年は377件の応募の中から、一次選考で企業人事部門は12件が入賞。さらに、全国41万人のHRパーソンによる投票、選考委員会による最終選考を経て、2026年のHRを代表する事例として、JTBの取り組みが選出されました。
「HRアワード」公式サイト: https://jinjibu.jp/hr-award/
■取り組みの背景
多くの企業研修において、研修直後の「満足度」は高いものの、現場に戻ると学んだ内容が実践されず、日々の業務に生かされないという課題があります。私たちはこの課題を「忘却の橋」と呼び、そこには研修効果を阻む二つの構造的な壁がありました。
一つは、受講者が現場での実践に転移できない「個人レベルの忘却(学びの忘却)」。もう一つは、人事異動等によって研修設計の意図やノウハウが継承されず、設計思想そのものが失われてしまう「組織レベルの忘却(設計の忘却)」です。
私たちはこの壁を乗り越えることが、当社の長期ビジョン実現に向けた自律創造型人財※1を育成するために不可欠であると考えました。
■具体的な取り組みの内容
上記の壁を乗り越えるために、私たちは研修を単発の「イベント」ではなく、行動変容を予測・可視化する「持続的なプロセス」へと再定義しました。
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「個人」の忘却を防ぐ:行動変容の指標化
「満足度」ではなく、学んだことを「実践できる自信(自己効力感)」を主要KPIに設定。これが実際の行動変容と高い相関を持つことをデータで立証し、研修効果を現場へ確実に転移させる仕組みを構築しました。
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「組織」の忘却を防ぐ:生成AIによる設計のDX
研修の骨格となる「インパクトマップ」や成長指標「レッスンルーブリック」を独自開発。これらを生成AIと連携させ、誰が担当しても高品質かつ一貫した研修設計が可能となるフローを構築しました。これにより、担当者の異動があっても設計思想が失われない、持続可能な人財開発基盤を実現しました。
その結果、22年度~25年度に実施した研修の8割で自己効力感が上昇。25年度の受講者数は22年度比175.1%を達成。社内のナレッジ共有イベントへの参加者は1万人を超え、エンゲージメントスコアも22年度から9.8ポイント改善しました。
■プロジェクト責任者コメント
私たちはこれまで、社員一人ひとりが学びを通じて成長し、その成長が組織や事業の発展につながることを目指して取り組んでまいりました。そのなかで強く認識してきたのは、研修を実施すること自体が目的ではなく、学びが職場での実践につながり、社員自身が成長や働きがいを実感できることが重要であるということです。
今回の取り組みは、「個人の学びの忘却」と「組織の設計ノウハウの忘却」という二重の課題に対し、生成AIとデータ活用によって、人財育成を「行動変容確率を高める持続的プロセス」へと転換する先駆的なモデルです。
私たちは、社員一人ひとりが、この会社で働くことを通じて自身の成長や働きがいを実感できる機会を創出することが企業の使命であると考えています。そして、その積み重ねが企業の持続的な成長にもつながると信じています。「以前はできなかったことが自信を持ってできるようになった」「新しい仕事に挑戦できるようになった」と、一人ひとりが成長を実感できることこそが、人財開発の本来の価値だと考えています。
このたびの受賞を励みに、目指す人財像である「自律創造型人財」の育成をさらに進化させるとともに、社員一人ひとりの可能性を最大限に引き出し続けることで、グループ全体で「新」交流時代を切り拓く未来に向け、歩みを止めることなく挑戦を続けてまいります。
■今後の展望
今回の受賞を新たな出発点と位置づけ、データに基づいて行動変容を予測・可視化し、継続的に改善を重ね、本仕組みを、さらに進化させてまいります。また、この取り組みがJTBグループ内にとどまらず、日本企業における人財開発のあり方を再定義し、持続可能な人財育成の実現に貢献するモデルとなることを目指してまいります。
※1:自己成長と挑戦を続け、新たな価値を創造し、グループ経営方針を体現するJTBグループ社員が目指す人財像を指す