温泉の価値が正しく伝われば、きっと名湯は未来に残せる。温泉の「浴槽に届けられている湯のクオリティ」に光を当て、星で認定する温泉評価制度「湯シュラン」創設。新しい温泉選びと品質基準を世界へ。

一般社団法人Yuchelinのプレスリリース

環境省後援「湯シュランアワード2026」を10月26日に初開催!

一般社団法人Yuchelin(所在地:東京都港区、代表理事:北出恭子)は、温泉の「浴槽に届けられている湯のクオリティ」に光を当て、その価値を評価・可視化し、星で分かりやすく伝える温泉評価制度「湯シュラン」を創設しました。(湯シュラン公式サイト:https://yuchelin.org/)

日本には27,899本の源泉があります(出典:環境省「令和6年度温泉利用状況」)。温泉宿を選ぶ際には、料理、客室、接客、景色、知名度など多くの情報が参考にされる一方、実際に浸かる「お湯そのもの」の個性や状態を比較し、選ぶための共通のものさしは、これまでほとんどありませんでした。湯シュランは、源泉から浴槽に届くまでの提供方法や管理状態を含め、「浴槽に届けられた湯」を評価します。

2026年10月26日には、環境省後援「湯シュランアワード2026」を開催し、創設0期の三ツ星認定21施設を初発表します。

一般社団法人Yuchelinのロゴ

「浴槽の湯」を評価する、新しいものさし

私たちが実際に浸かる湯の魅力は、源泉そのものだけで決まるものではありません。料理にたとえるなら、源泉は「海で泳いでいる魚」、浴槽の湯は「食卓に出された魚料理」。素材が良くても、運び方や鮮度管理、調理方法によって、食べる瞬間の味わいは変わります。

温泉も同じです。源泉が持つ泉質、成分、温度、湧出の仕方などの個性に加え、浴槽までの距離や時間、温度調整、日々の管理によって、香り、色、肌ざわりなど、五感で感じる「湯の味わい」は変わります。湯シュランは、こうした目には見えにくい湯の魅力や、浴槽へ届けるための工夫を可視化し、「今日は、お湯で温泉宿を選んでみよう」という新しい選択肢を利用者に届けます。

料理・客室・知名度ではなく、「お湯そのもの」に特化

建築、客室、料理、接客、知名度、SNSでの人気などは星の評価対象に含めません。これらも温泉旅行の大切な魅力ですが、湯シュランが評価するのは、これまで比較しにくかった「浴槽に届けられた湯」そのものです。

また、「源泉そのまま」であることだけを絶対的な基準にはしません。源泉の温度や湧出量、立地条件などに応じて適切な調整が必要な場合もあります。湯の個性をどう生かして浴槽へ届けているかに加え、安全性・衛生管理、自然環境や歴史、地域で湯を守り継ぐ営みまで、一つの温泉体験として総合的に捉えます。

「浴槽に届けられた湯」をみる、5つの評価指標

評価は、次の5つの指標を軸に行います。

1.湯の個性:温泉成分・pH・泉温・色・香り・味・浴感(肌ざわり)など、浴槽での湯の個性や状態を確認します。

2.鮮度(提供方法):源泉から浴槽までの距離や時間、配湯方法・加温・加水・循環・消毒の方法等を確認します。

3.希少性:地質的な成り立ちや湧出形態、源泉の個性・入浴法・秘境の地などの稀少価値を確認します。

4.安全性・衛生管理:清掃状態などの衛生管理、浴場における安全対策、法令遵守などを確認します。

5.環境・文化的価値:自然景観や自然への配慮、歴史や文化、地域性や湯を受け継ぐ営みを評価します。

信頼できる評価のために

温泉の成分分析書、施設情報などを収集・分析したうえで、インスペクターが現地を訪問し、泉質・提供方法・湯の管理状態などを調査・確認します。得られた情報をもとに、評価委員会が共通基準に沿って多角的に評価・スコアリングします。

さらに、温泉科学・温泉医学・温泉文化・観光などの有識者で構成する評議員会が、制度や運営全体を監督します。評議員は、個別施設の選定・審査・評価・認定には一切関与しません。

評価の実務を担うインスペクターと評価委員会、制度を監督する評議員会、運営を担う事務局。それぞれの役割を分けることで、一つの立場や判断だけに評価が偏ることを防ぎ、評価プロセスの客観性・公正性・透明性を高めています。

【評議員一覧】

石川理夫|温泉評論家
小堀貴亮|杏林大学 外国語学部 観光交流文化学科 教授
斉藤雅樹|東海大学 人文学部 人文学科 教授
滝沢英夫|公益財団法人 中央温泉研究所 研究部長
前田眞治|国際医療福祉大学 名誉教授
森康則|名古屋大学 宇宙地球環境研究所 融合研究戦略室 学術主任専門職
山下真輝|株式会社JTB総合研究所 フェロー

【オブザーバー】

長島 秀行|公益財団法人 中央温泉研究所 顧問

認定施設に金銭的負担を求めず、評価の独立性を保つ

認定施設に審査料・認定料・登録料などの金銭的負担を求めません。

制度運営は、クラウドファンディング、賛助、協賛、事業活動など複数の方法で支えますが、資金提供と評価は明確に切り離します。また、資金提供の有無や金額が、個別施設の選定・審査・スコアリング・認定結果に影響することはありません。

星は「優劣」ではなく、湯の魅力を伝える認定ラベル

評価結果は、三ツ星・二ツ星・一ツ星の認定ラベルで示します。

三ツ星は「人生を変えるような湯体験」、二ツ星は「湯そのものを目指して訪れる名湯」、一ツ星は「近くに行けばぜひ立ち寄りたい湯」。

星は、すべての温泉を一つの価値観で並べて単純な優劣をつけるためのものではありません。それぞれの湯が持つ個性、価値、訪れる意義を利用者に伝え、その価値を守り、未来へつなぐための認定ラベルです。

温泉の価値を「選ばれる理由」に変える

旅行者の目的が多様化し、ウェルネス、地域文化、自然体験など滞在そのものの意味が重視される一方、温泉の情報は泉質名や効能表示にとどまり、実際に浴槽へ届いた湯がどのような状態で、どのような特徴や個性があるのかまでは、十分に伝わっていないのが現状です。

私たちは、温泉にもワインや日本酒のように、その土地ならではの個性を味わい、嗜む楽しみ方があると考えています。ワインが土壌や地形、気候、品種、造り手によって個性を生むように、温泉も地質や地下水、熱源、気候などの自然条件に、引湯方法、温度調整、日々の管理、地域の文化や人の営みが重なって「湯の個性」が育まれます。私たちはこれを「温泉テロワール」と捉えています。

ワインや日本酒を産地や造り手、香りや味わいから選ぶように、「今日は、この温泉を味わってみたい」と温泉そのものを目的に旅先を選ぶ。湯シュランの目的は星を付けること自体ではなく、その土地、その施設でしか体験できない湯を「訪れる理由」に変え、新たな来訪につなげることです。

湯を選ぶことが、湯を守ることにつながる未来へ

温泉地数の減少、旅館・共同浴場の廃業、源泉設備の老朽化、湯守・管理人材の不足など、温泉を取り巻く環境にはさまざまな課題があります。例えば、全国の温泉地数は平成22年度の3,185か所から令和6年度には2,839か所へ減少しています(出典:環境省 温泉利用状況)。歴史ある名湯でも、その魅力が十分に伝わらず、適切な対価や収益につながりにくいまま継承が難しくなっている温泉があります。

湯シュランが目指すのは、認定施設を新たな旅の目的地として知ってもらい、利用者が実際に足を運ぶこと。その来訪が施設や地域の収益と誇りにつながり、源泉や施設を守る力になるという循環です。認定施設を選ぶ人が増えることで、従来とは異なる温泉選びの選択肢が広がり、小規模な宿や共同浴場、地域で守られてきた源泉などを次の世代へ継承する力にもなります。

さらに、湯治、湯守、入浴法、地域の暮らし、信仰など、日本の温泉は長い歴史の中で育まれた文化と深く結びついています。温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けた動きも見据え、湯シュランでは、日本の温泉が持つ個性や魅力を国内外の人々に分かりやすく伝える共通のものさしを育て、国内外で共有できる評価・発信の基準づくり、いわば「国際標準化」にも取り組んでいきます。

「質のいいものを選びたい」という一人ひとりの自然な選択を、日本の温泉文化を次の世代へつなぎ、世界へ伝えていく力へと変えていきます。

『湯シュラン流 湯をお借りする六か条』

認定施設には、地域の方々が日常的に利用し、自分たちの手で守り続けてきた小さな宿や共同浴場もあります。認定をきっかけに来訪者が増えた場合でも、地域の暮らしや湯を守る営みを圧迫しないよう、「地元ファースト」と「温泉をお借りする」という気持ちを大切にした六か条を設けています。

一、調べて、備えて。

二、地元ファースト。

三、みんなの湯を思いやる。

四、自然の湯をあるがままに。

五、五感で味わう。

六、来たときよりも美しく。

六か条の全文や各認定施設ごとの利用上の注意事項は公式サイトで案内し、来訪が地域の負担ではなく、温泉を守る力につながる楽しみ方を呼びかけていきます。

代表理事 北出恭子 コメント

「日本の温泉には、一湯一湯に異なる個性があります。湯シュランは、これまで目には見えにくかった“お湯の価値”に光を当てるために生まれました。料理や景色を目的に宿を選ぶように、『今日は、お湯で温泉宿を選んでみよう』という選択肢を増やしたい。そして、その選択が、湯を守る人たちの誇りと継承につながる仕組みを育てていきたいと考えています。」

今後の展開|10月26日には、三ツ星に認定された施設をアワードで発表!

2026年10月26日(月)には都内にて、環境省後援の「湯シュランアワード2026」を開催し、三ツ星認定施設を発表します。今年は三ツ星のみに絞り、全国各地から「五感で湯の違いを感じやすい施設」をモデルケースとして選定しました。

第一部は13:00〜14:30で、全国21施設の三ツ星認定施設を発表します。どなたでも無料でオンライン視聴いただけ、アーカイブ配信を予定しています。会場への参加が可能な認定施設については、認定証の授与や記念撮影を行う方向で調整しています。

当日は、報道関係者の皆さまからの取材・撮影にも対応いたします。より詳しい「湯シュランアワード2026」の内容については、プレスリリースや公式HPにてお知らせいたします。

2027年以降は二ツ星・一ツ星の認定も開始し、調査対象を全国へ広げる予定です。認定施設の情報を蓄積した「湯シュランMAP」などを通じ、旅行者が目的や好みに合わせて温泉を探せる環境を整え、将来的には、温泉資源や設備の維持、事業継承、温泉文化の記録・継承など、その土地ならではの温泉を守る地域の活動を支える仕組みへ発展させていくことを目指します。

一般社団法人湯シュランについて

一般社団法人Yuchelin(湯シュラン)

所在地:東京都港区浜松町2丁目2番15号 浜松町ダイヤビル2F

事業内容:温泉評価制度「湯シュラン」の運営、温泉施設の調査・評価・認定、湯シュランアワードの企画・運営、認定施設および温泉に関する情報発信、温泉資源・温泉文化の継承支援

役員

代表理事 北出恭子|温泉家

理事 松永武|お風呂のソムリエ

理事 向田薫|歴史建築温泉家

理事 斉藤雅樹|東海大学 人文学部 人文学科 教授

監事 山下真輝|株式会社JTB総合研究所 フェロー

公式サイト:https://yuchelin.org/
お問い合わせ:info@yuchelin.org(担当:向田)

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