株式会社アワーズのプレスリリース

アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)では、コウテイペンギンの卵の発生を慎重に見守ってまいりました。しかし今回、自力での嘴打ち(はしうち:ヒナが自ら殻を割り始める現象)に至らなかったため、人工的に卵殻を割って確認したところ、卵内でヒナの死亡が確認され、「末期中止卵※」という結果となりましたのでお知らせいたします。なお、今シーズン得られた有精卵は計2卵(今回の1卵および発生初期に停止した1卵)でしたが、2卵とも孵化に至らず、今回の結果をもって今期のコウテイペンギンの繁殖は終了となります。
誕生を期待し温かく見守ってくださった皆様には大変残念な報告となりますが、今回の挑戦は過去16例の繁殖実績のある【ペア:パパ×ママ(E005× E014)】とは異なる「新しいペア:シャーク×えくぼ(E027×E032)」によるものでした。孵化直前の段階まで発生を進めることができたことは、当パークのコウテイペンギンの繁殖研究における大きな進歩であると考えております。
※末期中止卵:孵化直前の段階まで発生が進んだものの、何らかの要因で卵内で死亡してしまった状態。
■ 今回の取り組みと得られた「3つの技術的進歩」
1.これまでの実績ペアと異なる「新しいペア(シャーク×えくぼ)」での有精卵確認
過去に16羽の誕生に成功していたペア「パパ×ママ(E005×E014)」とは異なる新ペアにおいて、孵化直前段階まで進められたことは、今後の持続可能な繁殖において極めて貴重な成果となりました。
2.「卵殻異常(表面のざらつき)」をラップフィルム管理で克服し孵化直前へ
卵殻表面のざらつき等により内部環境の維持が難しい「卵殻異常」は、水分蒸散や適正湿度のコントロールが著しく難しく、過去に孵化に至った例はありませんでした。今回、食品用ラップフィルムを巻き、孵卵器内の環境を緻密に管理・維持することで、嘴打ち直前まで順調に発生を進行させることができました。
3.「人工授精」成功の可能性検証と保全技術の進展
今シーズン取り組んだ「人工授精」によって受精・発生に至った可能性も残されており、今後死亡したヒナのDNA鑑定を実施して確認を進めてまいります。
【アドベンチャーワールド コウテイペンギン繁殖の歩み】
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1997年 |
コウテイペンギン繁殖研究開始 |
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2004年 |
日本で初めてコウテイペンギンの赤ちゃんが誕生。世界でも2園館目となる貴重な出来事でした。 |
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2004 年~2011年 |
完全人工育雛によって計6羽の赤ちゃんが誕生・成長。 |
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2012年 |
初期人工育雛※ に初めて挑戦するものの、親鳥の給餌がみられず、完全人工育雛に切り替える。 |
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2013年 |
コウテイペンギンの繁殖において、初期人工育雛から親鳥への育雛への移行が成功しました。 |
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2015年 |
自然育雛に挑戦するものの、親鳥からの給餌がみられるまで約3か月かかり、その間はスタッフが給餌を行う。 |
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2016年 |
自然育雛に挑戦してから4羽目、累計10羽目の赤ちゃんが誕生。 親鳥のもとへ返し、約2週間後には親鳥からの給餌がみられ無事に成長。 |
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2017年~2021年 |
計5羽の赤ちゃんが誕生し、自然育雛にチャレンジ。 |
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2025年 |
9月30日、「よよちゃん」(E044)が誕生。アドベンチャーワールドで誕生した16羽目のコウテイペンギンとなる。 世界初、コウテイペンギンの人工授精で有精卵の確認に成功しました。 |
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2026年 |
絶滅危惧種であるコウテイペンギンとともに地球の未来を考える「38℃ MIRACLE Project」を始動。 |
※初期人工育雛とは、ペンギンの習性を利用してスタッフが親鳥に扮し、鳴き声や給餌方法を工夫しながら赤ちゃんを育て、成長安定後に親鳥へ戻す飼育方法です。

【コウテイペンギンについて】
■分類:ペンギン目 ペンギン科
■学名:Aptenodytes forsteri
■英名:Emperor Penguin
■生息地:南極大陸およびその周辺
■寿命:約30年
■食性:魚類、イカ、オキアミなど。アドベンチャーワールドでは主にニシン、ホッケなどを与えています。
■繁殖:南極大陸で繁殖するのは、中型のアデリーペンギンと並んでコウテイペンギンの2種類だけですが、 アデリーの繁殖シーズンが、雪溶け後に岩場が露出する夏場なのに対して、コウテイペンギンは マイナス60度にも至る冬の氷原で繁殖を始め、約120日間にも及ぶ絶食の中ヒナを育てることから 「世界で最も過酷な子育てをする鳥」だと呼ばれています。およそ5歳で性成熟に達します。メスは産卵後、 餌を取りに海へ行き、繁殖地に残ったオスは絶食状態で約2か月間卵を抱き続けます。
■特 徴:世界最大のペンギンで体長約120cm、体重約40kg に達し、側頭部と胸部上部の 鮮やかな黄色が特徴的です。唯一赤ちゃんに模様があるペンギンでもあり、生まれた 直後から換羽を迎えるまで、 白・黒・グレーの三色をしています。成鳥はキング ペンギンとよく似ていますが、キングペンギンは体長 約90cm と、コウテイペンギンと比べると小型で、胸部上部が橙色をしていることから区別できます。
【地球の未来を考えるプロジェクト『38℃ MIRACLE Project』】
マイナス60℃にも達する極寒の地。過酷な冬の環境下で、コウテイペンギンたちは「ハドル」と呼ばれる陣形を組み、互いに身を寄せ合って冬を乗り越えます。驚くべきことに、外側で冷たい風に耐える仲間と内側の仲間が少しずつ入れ替わりながら身を寄せ合うその中心温度は、体温と同じ「38℃」にも達します。厳しい環境の中で互いを思いやり、ひとつの大きないのちとして生き抜く、まさに奇跡の温度です。しかし現在、環境変化などの影響により、世界のペンギンの半数以上が絶滅の危機に直面しています。コウテイペンギンもまた、その例外ではありません。『38℃ MIRACLE Project』に込めた想い。それは、ペンギンたちが極寒の中でハドルを組んでいのちを守るように、私たちも世界中の方々と「ハドル」を組み、彼らの住む海と未来を守る大きな輪を広げていくことです。国内随一の繁殖実績を誇る当パークが培ってきた飼育技術や繁殖研究を礎に、いのちを守る知恵を分かち合い、地球環境の未来をともに考える仲間を増やしていきたいと願っています。この38℃の温もりから始まるアクションが、大きな輪となり、すべてのいのちと「Smile」を共創する未来へと繋がっていきます。

