上原美術館のプレスリリース
近代館は企画展「まなざしをみるー画家とモデルの隠された視線」を同時開催いたします。本展では画家やモデルのまなざしに注目して、絵画の中に広がる不思議な空間へと入っていきます。まなざしが導く豊かな絵画の世界をどうぞお楽しみください。
展覧会概要
1)展覧会名 【仏教館】 特別展 無冠の仏像-伊豆・静岡東部の無指定文化財
【近代館】 企画展 まなざしをみるー画家とモデルの隠された視線
2)会期 2022年10月8日(土)~2023年1月9日(月・祝) 94日間
3)開館時間 9:30–16:30(最終入館は16:00まで)
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、変更となっております。
4)会場 上原美術館 仏教館・近代館
〒413-0715 静岡県下田市宇土金341
5)料金 一般1,000円/学生500円/高校生以下無料
※団体10名以上10%割引
※障がい者手帳をお持ちの方は半額になります
6)販売物 仏教館特別展「無冠の仏像」は展覧会図録を発行予定です。
※発行時期・価格はSNS, ホームページでお知らせします。詳細はお問合せください。
※近代館の展覧会図録発行はございません。
当館では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ご来館のお客様へ以下のご協力をお願いしております。
―ご入館時のお願い
・マスクの着用をお願いいたします。(お持ちでない方には、マスクをお渡ししています)
・手指消毒の徹底をお願いいたします。(アルコール消毒液をご用意しております)
・「検温」にご協力ください。
※体調不良の方には、入館をご遠慮いただく場合がございます。
・「3密」を避けるため、やむを得ず入館制限をする場合がございます。
・ラウンジでのお飲み物のサービスを当面の間、休止させていただきます。
―当館での取り組み
・職員は毎日検温し、マスク着用にて応接させていただきます。
・感染症拡大防止のため、受付への飛沫防止アクリル板の設置、手指消毒液の設置、マスクの準備、定期的な館内清掃を強化しております。
―展覧会の見どころ
【仏教館】 無冠の仏像―伊豆・静岡東部の無指定文化財
■ 文化財指定の陰にかくれた名品
当館では開館以来、39年に渡り継続して伊豆を中心に静岡県内各地の仏教美術調査を行い、貴重な仏像や神像が多数存在することを明らかにしてきました。本展では造形的に優れた像でありながら、文化財指定を受けていない仏像の数々をご紹介いたします。
三島市安久の長福寺に伝わる十一面観音像、如来形像(いずれも平安時代)は当館の調査によって見出された仏像です。等身大のこの二像は、三島市に伝わる平安仏としては、ほとんど知られておらず、今回初めて寺外で公開されます。薬師如来像(今回未出品)とともに三尊として祀られていますが、由来など詳しいことはまだ分かっていません。
下田市須原・法雲寺の如意輪観音像(平安時代)は10世紀に造られた古い如意輪観音像として、関東一円にも例がないほどの貴重な仏像です。膝には大きな襞と小さな襞を繰り返す翻波式衣文が見られるなど、平安時代の特徴を残しています。本像は本来、文化財指定を受けるべき仏像ですが、信仰上の理由によって指定を受けておらず、今も30年に一度開帳される秘仏として地元の方々が守り続けています。
■ 寺外初公開!平安時代の毘沙門天像
裾野市公文名の光明寺には平安時代に造られた毘沙門天像、不動明王像、室町~江戸初期に造られた阿弥陀如来像、大日如来像が伝わっています。本展ではこのうち不動明王像以外の3体を展示いたします。毘沙門天像は等身大の大きな像で、やや腰をひねり邪鬼を踏みつけた姿をしています。仏像の表面は長い年月によって風化しているものの、身に着けた甲冑や衣の襞が一部残っており、本像のみどころの一つです。当初はこの毘沙門天像、不動明王像を従えた中尊がいたと考えられますが、造像に関わる伝承は失われています。
■ 美しきみほとけの断片 破損仏
数多く造られてきた仏像も、すべてが完全な形で現在まで伝えらえてきたわけではありません。伊豆の国市長岡・宗徳寺には平安時代に造られた等身大の神王像や、節が多い材を用いた僧形像などの破損仏が人知れず伝わってきました。これらの像は元々どこに安置されていたか分からず今も多くの謎に包まれています。
伊豆の国市韮山・国清寺には中世に造像されたと考えられる仏像の断片が数多く残されています。残された足や持物から、等身大を超える仏像が寺院内に林立していたと考えられます。これら仏像の断片は、造形的な魅力もさることながら、土地の歴史や信仰を知るてがかりとなる貴重な文化財です。
【近代館】 まなざしをみる―画家とモデルの隠された視線
■ 絵画に隠された様々なまなざし
うっすらとした影の中からこちらを見つめるドラン《婦人像》。そのまなざしは、見るものに何かを語りかけるかのようです。絵の中のまなざしをたどってみると、そこには時や場所を越えて、描かれた人との交流が生まれます。絵画には、画家自身のまなざしも隠されています。マティス《鏡の前に立つ白いガウンを着た裸婦》は、大きな鏡の左端にカンヴァスとイーゼルが映り込んでいます。それらは画家の存在を暗示し、明るい色彩の中に複雑で豊かな空間を立ち上がらせます。
一見、何の変哲もない静物画にも画家のまなざしを見ることができます。セザンヌ《ウルビノ壺のある静物》は立体感をなくすかのように静物が真正面からとらえられています。セザンヌは同じ配置のモティーフを斜め上からも描いていますが、その試みは絵画における平面と立体の関係性を問うかのようです。
鏑木清方《みぞれ》は、樋口一葉の小説「たけくらべ」の一場面です。うつむきがちのまなざしは、大人への成長の中で揺れ動く主人公の内面をあらわすかのようです。本作は新収蔵、初公開となる作品です。
―主な出品予定作品
[仏教館]
1. ≪十一面観音像≫平安時代 一木造・彫眼・漆箔 三島市安久・長福寺 ※寺外初公開
2. ≪毘沙門天像≫平安時代 一木造・彫眼・素地 裾野市公文名・光明寺 ※寺外初公開
3. ≪如意輪観音像≫平安時代 一木造・彫眼・素地 下田市須原・法雲寺
4. ≪観音菩薩像≫鎌倉時代 一木造・玉眼・截金 河津町沢田・林際寺 ※寺外初公開
ほか
[近代館]
1.アンドレ・ドラン≪婦人像≫1934-39年頃 油彩、カンヴァス 50.0×44.5㎝
2.アンリ・マティス≪鏡の前に立つ白いガウンを着た裸婦≫1937年 油彩、カンヴァス 46.0×38.0㎝
3.鏑木清方≪みぞれ≫ 1948(昭和23)年 絹本彩色 28.7×27.4㎝ ※新収蔵・初公開
ほか
―広報用画像
※画像掲載をする場合、作品クレジットの明記をお願いいたします。
※記載のないものはすべて当館蔵です。