(株)キョードーメディアスのプレスリリース
登壇したお二人はまず、松本とのご縁で話の口火を切った。
加藤拓也さんは松本で行ったワークショップや、遡ってまつもと市民芸術館総監督の串田和美さんを俳優として迎えた創作についてのエピソードを披露。一方の小川さんは、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のツアー最終公演を当館で観劇するために21年秋に訪れたのが初の松本来訪とのこと。加藤さんは現在、松本に滞在しつつ『博士~』の稽古をしており、その疲れを癒すスーパー銭湯のサウナの魅力を熱弁して小川さんと客席の笑いを引き出し、小川さんは今回の訪問で歩いた町の、あちこちに『博士~』のポスターが貼ってあることの嬉しさも語った。
続けて「演劇との出会い」について。
小川さんは「仕事と子育てに追われる日々に一区切りついた最近、演劇に出会い直し劇場通いが始まった」という。そこで出会ったミュージカルの魅力、俳優の生身が目の前で躍動し、その磨き上げられた声と歌に高揚することで「生きている実感」を取り戻せるのだ、と明かした。執筆中、自身の思考と心に深く向き合う孤独な作業をしていても、登場人物たちの語る「声」を脳内でイメージし、それに耳を傾け導かれるように筆を動かすというエピソードも披露。また“推し”俳優の魅力についてアツくプレゼンする一方、演劇を観る機会が増えて以来、「(自身の)小説の中で、登場人物の声や喋り方についてより詳しく書くようになった」とも語った。
加藤さんは「10代後半、イタリアで映像を学んで帰国した後に知り合った仲間たちに演劇関係者が多く、自然と演劇が身近になった」とのこと。「映像と演劇。創作の比重に大きな違いは感じておらず、それぞれの表現に向いていると思う題材や、アイデアによってどちらかを選んでいます」と続けた。
対話は互いの創作についての裏話や、実は二人が共に深い関りを持つ「野球」の話題など多岐に亘って広がり、90分はあっという間に過ぎていった。中盤以降には、佳境を迎えた稽古の様子や、加藤さんが感じる作中の博士と演じる串田さんに重なるもの、『博士~』が小川さんにもたらした不思議な出会いと巡り合わせ、今回上演のための演出意図などについても触れ、時には「ここだけの話にしてください」と参加者に求めるほどの蔵出しエピソードが続出。『博士~』に限らず、今後の小川、加藤両氏の作品を、さらに深く楽しめるようになるキーワードを参加者に贈るレクチャーとなった。
Text:尾上そら
<公演概要>
『博士の愛した数式』
原作:小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫刊)
脚本・演出:加藤拓也
音楽・演奏:谷川正憲(UNCHAIN)
出演:串田和美 安藤聖 井上小百合 近藤隼 草光純太 増子倭文江
【松本】
日程:2023年2月11日(土)~16日(木)
場所:まつもと市民芸術館小ホール
【東京】
日程:2023年2月19日(日)~26日(日)
場所:東京芸術劇場シアターウエスト
※松本、東京共に当日券若干枚数あり。
主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団
後援:松本市、松本市教育委員会
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場(東京公演のみ)
企画制作:まつもと市民芸術館
公式サイト:https://www.mpac.jp/event/38370/
お問い合わせ :
まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)
TEL:0263-33-2200 FAX:0263-33-3830 https://www.mpac.jp/




