竹下牧場 ファームヴィラ 拓が「2024年度 グッドデザイン賞」を受賞

「開拓を、みんなのものに」をブランドコンセプトに掲げ、開拓時代の意志を伝える宿泊施設が、建築部門においてイノベーティブかつクリエイティブなデザイン思考を呼び覚ますグッドデザインとして評価されました。

有限会社 竹下牧場のプレスリリース

【グッドデザイン賞受賞ページ】https://www.g-mark.org/gallery/winners/23260

北海道の中標津にある竹下牧場が運営する「ファームヴィラ拓(たく)」が、2024年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。2021年ブランディングCI/VI部門での

受賞に続き、2度目の受賞となります。なお、建築・設計を担当した株式会社 ATELIER O2の大杉崇氏との共同受賞です。

地域の木材産業に寄与できるよう、資材は地元北海道産をメインとしている。外壁にはカラマツの羽目板。
床はタモ材、構造材はカラマツの集成材、さらには木質繊維断熱材にも道産材を使用。
屋根の梁を室内に表すことで、万が一スガモリ等が起きても構造がダメージを受けないように配慮している。

ファームヴィラ 拓 について

「ファームヴィラ 拓」は、中標津に入植した創業者から受け継いできた『開拓』という価値を体感して

もらう宿泊施設として、2023年6月、牧場敷地内にオープンしました。一般的な宿泊施設のように、単にくつろぐ場所ではありません。厳しい自然を目の当たりにしながら、「何も無い場所」に身を置くことが豊かに感じられるような、価値転換を目指し、建築設計されました。そこには「無いからこそ、宿泊者はやりたいこと、自分にとって新しいことへ意識を集中して、自らの『開拓』が始まってほしい」という代表の想いが根底にあります。

2024年9月時点までに約60組が宿泊し、スタートアップの企業研修・勉強会、大手商社の合宿などに活用されるケースや、「親や子が今までやれなかったことを体感してほしい」という希望から、親子三世代での宿泊も複数組ありました。ユニークなケースとしては、事前に要望をヒアリングし、「一生に一度は鮭の遡上をみてみたい」という老夫婦の言葉から、牧場主が自身のネットワークを活かして夫婦の『開拓』を実現した実例もあります。

今後も、ブランドコンセプト「開拓を、みんなのものに」のもと、日常でアクションをなかなか起こせないお客様の挑戦を促し、中標津町に受け継がれる『開拓』という歴史・姿勢を広めていきます。

farm villa taku

ファームヴィラ拓の公式ウェブサイトです。

既に使われなくなっていた開拓時代、創業者が切り拓いた道の形状にあわせ、建物を設計・建設。

審査に関するコメント

▷ 建築家 / 株式会社ATELIER O2 (アトリエ オーツー) 代表取締役 大杉 崇 氏

北海道の歴史は本州に比べて浅いとされていますが、その浅い歴史の中にも、多くの困難や苦労を乗り越えて築かれた独自の歩みがあります。過去から現在に至るまで、厳しい自然環境と向き合いながらも、それを克服し、時には自然と共生する形で発展してきた北海道の歴史には多くの人々の努力と試練が刻まれています。私は、そのような北海道の歴史と自然の魅力を、建築を通して表現することに挑みました。人々がこの大地で経験してきた苦悩や喜び、そして自然との共存を、建物のデザインや素材、空間の使い方に反映させることで、地域のアイデンティティや精神を感じ取っていただけるよう心掛けました。その表現が評価されたことは、建築を通じて北海道の歴史や自然の魅力を伝えたいという私の思いが認められたという点で、大変光栄であり、喜ばしいことです。これからも、この土地に根ざした文化と自然の調和を建築を通じて形にしていきたいと考えています。

【 プロフィール 】

1972年群馬県生まれ。北海道東海大学卒業後、札幌の設計事務所 画工房に10年間勤務。独立後は、デザインだけでなく温熱環境など機能性を重視した設計で、環境とそこで暮らす人を結びつける住宅を数多く手がけている。

ウェブサイト:https://atelier-02.com/

【 主な受賞歴 】

2011年 北方型住宅 奨励賞、2011年「きらりと光る北の建築賞」佳作、2013年 JIA(日本建築家協会)北海道支部住宅部会 新人賞(イヌエンジュの家)、2014年 日本建築学会北海道支部 北海道建築奨励賞(イヌエンジュの家)、2021年 「湖畔の家」盛岡市都市景観賞

▷グッドデザイン賞審査委員

開拓の歴史そのものをただ伝えるのではなく、その精神を宿泊者に継承し新たな開拓を促すことを目的とした宿泊施設であり、単に体験型というだけではないホテルのスピリチャルなコンセプトが表現された秀逸なデザインである。 開拓時代に切り開かれた道なりにそっと置かれた合掌屋根は、木々の枝葉に溶け込みながらも、地を切り開く鋭い意思にも、開拓の祈りのシルエットとも感じ取れ、その想いがしみわたってくる。 加えて、中標津という極寒の地においてオフグリッドを実現していることも特筆すべき点である。 ゼロからイチを創り出す、イノベーティブかつクリエイティブなデザイン思考を呼び覚ますグッドデザインと評価する。

竹下牧場について

北海道・中標津町にある有限会社竹下牧場。「牛と、新しい関係を。」をスローガンに掲げ、乳牛の飼育はもちろん、酪農の枠に捉われず、自家製チーズの製造販売・宿泊事業などを展開している。2022年には、開拓の大地を見晴らせる牧場内の丘に“farm villa taku”をオープン。開拓の歴史を伝えながら、宿泊者にも新たな開拓を促している。2021年、ブランディングCI/VI部門においてグッドデザイン賞を受賞。

ウェブサイト:https://takeshita-farm.jp/

グッドデザイン賞とは

1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。 受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。

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