「目は醒めない、凝らすのだ。」島田市川根町抜里地区を舞台に、集落・茶畑・暮らしを地域とともに紡ぐ芸術祭。初参加作家の新作発表、講演、体験型企画など多彩なプログラムを実施
NPO法人クロスメディアしまだのプレスリリース


NPO法人クロスメディアしまだ(静岡県島田市)は、2018年より継続してきた「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川」の実践を継承・発展させる第一弾として、地域の暮らしと記憶を深くあらわす地域芸術祭「大井川芸術創生譚(そうせいたん)」を、2026年2月14日(土)から3月15日(日)まで、島田市川根町抜里地区を中心に開催します。
本芸術祭では、芸術祭初参加となる天地耕作(村上誠・村上渡)による2年にわたる新作発表をはじめ、これまでの参加作家の作品や映像を通して、芸術祭と地域の歩みを捉え直す「大井川コレクション」を展開します。
開幕初日の2月14日(土)には、静岡県立美術館館長・木下直之氏による記念講演を実施するほか、会期中には震災復興とアートをテーマとした特別講演やアートトレイルガイドツアーなど、多彩な講演・体験型プログラムを行います。
主な展示・プロジェクト(ピックアップ)
■ 村上誠・村上渡(天地耕作)/「産土(うぶすな)」
芸術祭初参加となる村上誠・村上渡(天地耕作)による新作。かつて神社があった場所を舞台に、土地に刻まれた記憶や時間の層と向き合う作品を発表します。併せて、「天地耕作」のこれまでの軌跡や、舞踏家・森繁哉の言葉や思想を紹介する空間を構成します。
■ 大井川コレクション
芸術祭を通じて大井川流域で制作されてきた作品群や、市井の表現者たちの仕事を再構成する試み。集落や大井川をアートの視点で掘り起こしてきた作家たちの表現を通して、土地に漂う気配や記憶を浮かび上がらせます。初回より芸術祭に参加する西田秀己がキュレーションを担当。
■ ART TRAIL PROJECT
地域住民とともに整備してきた「ぼいんぼいん山アートトレイル」を舞台に展開するプロジェクト。佐藤悠、鈴木一生、戸張花、堀園実の4名のアーティストが、それぞれ新作を発表し、歩く体験そのものを作品として提示します。

開催概要
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タイトル:大井川芸術創生譚(おおいがわげいじゅつそうせいたん)
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会 期:2025年2月14日(土)~3月15日(日)30日間
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会 場:静岡県島田市川根町抜里各所
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鑑賞時間:10:00~16:00(屋内作品及びインフォメーションセンター/月・火・水休館※2/23を除く)※鑑賞無料
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Information Center:Atlier&Guest house ヌクリハウス(静岡県島田市川根町抜里930)
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公式URL:https://unmanned.jp
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参加作家:東弘一郎、SHINN UCHIDA、形狩りの衆、小山真徳、佐藤悠、さとうりさ、TAKAGIKAORU、戸張花、西田秀己、堀園実、天地耕作(村上誠・村上渡)、and more 大井川コレクション
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主催:NPO法人クロスメディアしまだ(静岡県島田市日之出町4-1-1F「C-BASE」内)
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支援:アーツカウンシルしずおか
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助成:島田市「アートによる地域づくり推進事業」
会期中のプログラム(一部)
作品鑑賞にとどまらず、講演やツアー、体験型プログラムを通して、地域・記憶・表現を多角的にひらく会期中プログラムを展開します。
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2月14日(土):オープニング記念講演「大井川から<芸術創生>を考える」講師:木下直之氏(静岡県県立美術館館長)
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2月15日(日)&28日(土) :公式ガイドツアー(集落アートハイキング)
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2月21日(土):佐藤悠によるアートトレイルガイドツアー
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3月1日(日) :特別講演「震災復興とアート」講師:関口正洋氏(㈱アートフロントギャラリー)橋爪充氏(静岡新聞社会部部長)
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3月7日(土) :TAKAGIKAORUによる「茶畑にテーブル」
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3月14日(土):戸張花による「みがいてかがやく鉄の鏡」
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3月15日(日):天地耕作(村上誠・村上渡)パフォーマンス「通り過ぎる人たち、と」
作品紹介[初参加作家及び新作]

天地耕作(あまつちこうさく)村上誠・村上渡/作品タイトル「産土(うぶすな)」
天地耕作は、静岡県浜松市を拠点に活動し、独自の表現によって高く評価されてきたユニットです。本作ではかつて社殿があった場所を掘り、地中から現れた石や土と向き合いながら、新たな壇と仮設の構築物を立ち上げます。掘るという行為を通して、この土地に残る記憶や時間の重なりを現在に呼び起こし、場所の成り立ちをあらためて見つめ直します。芸術祭初参加となる本制作は、次年度へと続く長期的な取組となります。
■パフォーマンス:村上誠・村上渡『通り過ぎる人たち、と。』
・日時:3月15日(日) 17時~日没
・場所:「産土」制作現場
昭和三十年代、山野河海を行き交った見えない存在へ捧ぐ。畏怖と創作の記憶を刻む、ささやかな標(しるし)を届けるパフォーマンス

佐藤悠/作品タイトル「なびねこ「茶々」の案内看板」
ぼいんぼいん山アートトレイルを楽しく歩いてもらうための道案内の看板作品。案内役は、猫のキャラクター「なびねこ・茶々(ちゃちゃ)」。
この茶々の姿や看板に書かれたモチーフは、地域の人たちから聞いた山の思い出や、かつての暮らしの話をもとにつくられている。歩きながら土地の記憶や見えなくなった風景に思いを巡らせ、山を歩く時間そのものを作品体験ととらえる。
■イベント「佐藤悠/アートトレイルガイドツアー」
・日時:2月21日(土)13時30分~
・場所:ヌクリハウス(集合)
作家自ら新作の解説とガイドを行うアートハイキング

戸張花/作品タイトル「景色」
現代で目にする「管理された自然」と、人間が制御できない「根源的な自然」。本作品はこの二つの自然の姿を同一の時と場所に出現させる。磨かれた鉄は周囲の景色を切り取るが、徐々に表面は錆びていく。「管理された=切り取られた自然」が、自然へ還ろうとする様は、人工物と自然の境界を曖昧する。すべての形あるものを飲み込む大きな循環の在り方を鑑賞者に問いかける。
■ワークショップ「みがいて かがやく 鉄の鏡」
・日時 2026年3月14日(土)(場所未定)
・参加費1500円/1人、定員12名 中学生以上
小さな鉄板を紙ヤスリで磨き、鏡のような光る鉄作品づくり

堀園実/作品タイトル「風や水を切る」
この彫刻作品は、ぜひ触れて体験してほしい。素材は、柔らかく優しい手触りの琉球漆喰を使用している。漆喰は湿度を調整する性質があり、「呼吸をする素材」とも言われる。触れることで、作品が生きているように感じられるでしょう。
風や水、周囲の自然の影響を受けながら少しずつ変化していく姿も、この場所ならではの見どころ。

鈴木一生/作品タイトル「道具と使い方2026 -抜里編-」
人が昔から使ってきた「道具」に注目し、ものが道具になる瞬間を探る作品。
現代の素材を組み合わせてつくった道具を、抜里のおじさん達と一緒に道具から考えていく。道具を実際に使うことで、身体の感覚や土地との関わりが見えてきます。暮らしの中にある知恵や工夫を、あらためて感じるきっかけとなる作品。
作品紹介[パーマネント作品/ぼいんぼいん山アートトレイル]






代表者メッセージ

実践の蓄積から、創生の現場へ[ 大井川芸術創生譚]
2018年から続いてきた「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川」は、無人駅という象徴的な場所を起点に、人が減り、無人と呼ばれるようになった地域に今も残る暮らしや記憶、人と人との関係性に、アートを通して向き合う実践として始まりました。
活動は次第に無人駅から集落の中へと広がり、茶畑や空き家、寄り合いの場、日々の営みの中へと深く入り込んでいきます。人の営みに近づくことで、表現は土地の時間や記憶に触れ、それに呼応するように、アーティストの姿勢や関係性も変化してきました。
本企画では、大井川の流れとともに重ねてきた芸術祭と抜里の歩みを、大井川コレクションとして捉え直し、参加アーティストの作品や映像を通して、その実践の蓄積を振り返ります。
加えて、村上誠、村上渡(天地耕作)は、本企画が芸術祭への初参加となります。天地耕作は、1988年から2003年まで、芸術祭という枠組みとは距離を保ちながら、土地に身を置き、風土や生業との関係性を編み直す表現を続けてきた美術家です。
抜里という一つの集落を美術の視点で深く掘り下げていくことは、この土地固有の物語にとどまらず、日本各地に共通する風景や課題、そしてこれからの地域のあり方を映し出すことにもつながっています。
大井川芸術創生譚は、風景や人のあいだに、新しい兆しが生まれていく過程です。
風景の奥にある人の気配や、積み重ねられてきた時間に目を凝らし、美術という視点を重ねることで、今この場所で生まれつつある変化の兆しが、きっと立ち上がってくるはずです。
大井川芸術創生譚 総合ディレクター
兒玉絵美(NPO法人クロスメディアしまだ

