東日本旅客鉄道株式会社のプレスリリース
○「究極の安全」を経営のトッププライオリティに掲げるJR東日本グループは、「勇翔2034」で目指す“すべての人の安心”の実現に向けて、鉄道輸送における地震等の安全性向上に取り組んでいます。
○このたび新幹線では日本初となる、地震発生時の左右方向の揺れに対して車体の揺れを抑制し、脱線リスクを最大約5割低減させる※1『地震対策左右動ダンパ※2』を開発しました。
○この地震対策左右動ダンパを2027年秋から2032年度にかけて順次新幹線に搭載し、高速走行時の地震による脱線リスクをさらに低減させていきます。
※1 中越地震相当の地震動の場合
※2 左右動ダンパ:車体の左右方向の揺れを抑制し、乗り心地向上を図る装置
1.開発の背景
当社では、過去の地震を教訓とし、「設備の耐震補強対策」、「列車緊急停止対策」、「列車の線路からの逸脱防止対策」に取り組んでいます。このうち「列車の線路からの逸脱防止対策」について、2004年の新潟県中越地震での新幹線脱線事故の教訓を踏まえ、2008年から走行中の列車の脱線・逸脱のリスクを低減する地震対策ダンパの開発に(公財)鉄道総合技術研究所の協力を得ながら取り組んできました。
このたび、ALFA-Xや既存車両での検証を経て、2023年4月7日に「福島県沖地震に関する対策の方向性」において公表した車体の横揺れを和らげる「地震対策左右動ダンパ」の開発が完了しましたので、2027年度秋から順次当社の新幹線車両E5系、E6系、E7系、E8系に導入します。

2.地震対策左右動ダンパの概要
従来型の左右動ダンパは乗り心地向上のための装置でしたが、新たに開発した地震対策左右動ダンパは乗り心地に加えて、さらに脱線・逸脱リスク低減を図る装置です。
(1) 脱線リスク低減のメカニズム
地震動により車体が大きく左右に揺らされることで、車輪が持ち上がり、最終的に脱線へつながります。今回新たに導入する地震対策左右動ダンパでは、地震動が車体に伝わる過程でその振動を低減させ、車体の左右の揺れを抑えることで脱線や逸脱のリスクを低減させます。地震対策左右動ダンパは、地震時の大きな振動に対してもダンパの効果を発揮できるように、従来型のダンパに対してさらに大きな力を吸収できるようなダンパ構造としています。
(2)新システムによる脱線・逸脱リスク低減効果
今回開発した地震対策左右動ダンパを導入することで、地震動の条件により脱線確率が最大約5割低減することなど、地震時の脱線確率が低減することを確認しています。また、2022年福島県沖地震相当のような地震動に対しても脱線・逸脱の抑制に効果があることを確認しています。

3.使用開始時期
2027年秋以降、順次地震対策左右動ダンパへの取り替えを行い、E5系・E6系・E8系は2031年度、E7系は2032年度までの導入を予定しています。
4.工事費
約100億円(車両改造費用、メンテナンス設備整備費用等)
【参考】関連するこれまでのプレス
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地震 |
対策(プレスリリース抜粋) |
プレスリリース |
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新潟県中越地震 (2004年10月23日発生) |
・車両ガイド機構 脱線後の車両がレールから大きく逸脱することを防止する。 ・レール締結装置の改良 車両が脱線し、レール締結装置が破損しても車輪をレールで誘導できるようにレールの転倒ならびに大幅な横移動を防ぐ。 ・接着絶縁継目(IJ)の改良 脱線した車輪による接着絶縁継目(IJ)の破断を防ぐ。 ※(IJ):起動回路の境界点で電気絶縁されたレール継目 |
2005年10月19日発表 大規模地震に対する当社の取組みについて |
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東日本大震災 (2011年3月11日発生) |
・列車緊急停止対策 新幹線早期検知地震計を増設し、およびP波による緊急停止警報発報までの時間を短縮する。 ・耐震補強対策 広範囲にさまざまな構造物が被害を受け、発生が懸念される首都圏直下維新に備えて、従前からの対策の対象や範囲を拡大し耐震補強を行っている。 ・列車の線路からの逸脱防止対策 すべての新幹線車両へのL型車両ガイドおよび脱線対策用接着絶縁継目の設置が完了、各種軌道構造に対応した補強方法を開発し、レール転倒防止装置の整備を進めている。 |
2021年3月3日 東日本大震災などの教訓を踏まえた地震・津波への取り組みについて |
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福島県沖地震 (2021年2月13日、2022年3月16日発生) |
・新たな指標による地震対策優先順位の見直し 地震の発生しやすさに加え、優先度が高い設備の地震対策を推進する。 ・新幹線高架橋上コンクリート製電柱の地震対策の推進 特に被害が多かった新幹線高架橋上コンクリート製電柱の全箇所を対象に対策のスピードアップを図る。 ・復旧に時間を要する設備の地震対策 新幹線や首都圏在来線などの主要線区において、被災した場合に復旧に時間を要する設備も順次、地震対策を進める。 ・耐震補強対策 過去の地震を教訓に、高架橋柱・橋脚・駅舎・電柱等の耐震補強対策を順次実施。今後も福島県沖地震で分かった新たな知見を踏まえた耐震補強対策を進める。 ・列車緊急停止対策 今後とも、これまでに蓄積された地震情報に加えて今回の地震の知見を用いて、早期検知手法について弛まぬ改良を継続する。 ・列車の線路からの逸脱防止対策 地震による脱線を完全に防ぐことは困難だが、大きく逸脱することを防止するため、一部の箇所で逸脱防止効果を大きくするための改良を行うことと、地震対策左右動ダンパ(新幹線試験車両ALFA-X で試験中)の導入を検討する。レール転倒防止装置についても引き続き、整備を進める。 ・耐震補強計画の見直し 2021年2月と2022年3月の福島県沖地震により、新幹線高架橋柱の一部で桁が沈下する被害や、新幹線電柱の損傷が発生したことから、2017年度から進めていた対策全体の優先順位を見直すとともに、補強計画を拡大する。 |
2021年7月6日 福島県沖地震を受けた大規模地震対策について https://www.jreast.co.jp/press/2021/20210706_ho01.pdf 2023年4月7日発表 福島県沖地震に関する対策の方向性について https://www.jreast.co.jp/press/2023/20230407_ho01.pdf 2023年5月9日発表 福島県沖地震を踏まえた耐震補強計画の拡大について |
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その他 |
・P波によるマグニチュード推定方法の見直し 推定式の係数を1秒ごとの時間とともに変化させることにより、P波検知1秒後から4秒後の推定精度が今までよりも改善し、実際のマグニチュードにより近い値を、より早く推定することが可能となった。 |
2023年12月5日発表 地震発生時に新幹線をさらに早く緊急停止させます ~新幹線早期地震検知システムの改良~ |
【別紙】


