若者が早期に自立できる持続可能な農業モデルの確立を目指して
公益財団法人農村更生協会のプレスリリース
八ヶ岳農業大学校(所在地:長野県諏訪郡原村・茅野市/理事長:南 壮一郎/以下、当校)は、独自に構築・開発した生成AIシステム「AI副校長」やセンシングデータなどを活用した最先端の農業に挑戦し、高原野菜を生産、現在も収穫および販売を継続しています。
標高1,300mの高原にも秋の気配が訪れ、高原野菜の収穫期もいよいよ終盤を迎える中、当校の敷地内にある直売所において、実習生(学生)と職員が早朝に収穫した高原野菜を、シルバーウィーク期間を含め、9月中も継続して販売することをお知らせいたします。本取り組みは、校長の丸山侑佑が現役上場IT企業副社長としての経験を活かし、実習生・職員たちとともに推進しています。
■ 9月中も直売所で販売中! 高原野菜ラインナップ
八ヶ岳の自然環境と「AI副校長」のサポートのもと、実習生と職員が手塩にかけて育てた高原野菜が直売所に並んでいます。今期の収穫も残りわずかとなる中、引き続き採れたての味わいをお楽しみいただけます 。
-
トウモロコシ:寒暖差が甘みを凝縮。今年は生成AI等を活用した積算温度管理と病害虫防除を徹底し、最高糖度22.7度(高級マンゴークラス)を記録しました。早朝収穫した最もみずみずしい状態を、皮付きのまま販売しています。
-
枝つきの甘い枝豆:鮮度と風味を保ったまま収穫された、濃厚な甘みとコクが広がる枝豆です。
-
ジャガイモ:これからの時期に収穫のピークを迎え、直売所に多く並びます。標高1,300mの冷涼な気候でじっくりと育つことで、豊かな甘みが楽しめます。
-
ブロッコリー(9月25日より販売再開):花蕾(からい)がぎっしりと美しく詰まったブロッコリーです。9月25日より直売所での販売を再開予定。茹でるだけで、野菜本来の甘みを堪能できます。

【直売所での販売概要】
・場所:八ヶ岳農業大学校 直売所(長野県諏訪郡原村17217-118)
・営業時間:平日 9:00〜16:00、土日祝 9:00〜17:00
※採れたての野菜は、早い時間帯での完売が予想されます。ぜひお早めにお越しください。
■ 当校の野菜の甘みと味わいを引き出す3つの理由
当校が位置する八ヶ岳西麓は標高1,300mの高冷地であり、日本トップクラスの長い日照時間(注1)と、昼夜で15℃以上変わる激しい寒暖差という気候特性があります。この環境と当校のサイエンスとテクノロジーを重視した農業を掛け合わせることで、甘味とみずみずしい味わいを引き出しています。
1)八ヶ岳の清流と過酷なまでに豊かな自然環境
標高1,300mが生む「厳しい寒暖差」と、国内トップクラスの「日照時間」という豊かな自然環境、そして八ヶ岳の清流が、野菜にたっぷりとした甘みと栄養を蓄えさせます。
2)最も甘みが凝縮されるピークを逃さない「早朝の収穫」
野菜は、昼間に太陽が出ると呼吸や光合成が活発になり、夜に蓄えた糖分をエネルギーとして消費するため甘みが落ちる性質があります。涼しい夜に糖分を蓄え、最も甘みが凝縮される早朝、そのピークを逃さず実習生と職員が手作業で収穫することで、弾けるような甘さとみずみずしさをそのまま直売所へ届けています。
3)88年の歴史と、独自開発の「AI副校長」による生育管理
1938年の開校以来培ってきた栽培技術に、最新の生成AIと安価な環境センサーによるセンシングを組み合わせて生育を管理しています。「AI副校長」が具体的なアドバイスを日々行うことで、野菜が健やかに育つ環境を整え、未経験の実習生でも質の高い野菜を安定して生産できています。

■ ミッション「新しい農業を、切り拓く。」を具現化する「AI副校長」
当校は「新しい農業を、切り拓く。」というミッションを掲げています。
自然の理を探求する「サイエンス」。
次世代の仕組みを創る「テクノロジー」。
持続可能な事業づくりを支える「経営とマーケティング」。
私たちは、先人の知恵を大切にしながら、これらを掛け合わせ、農業の可能性をさらに引き出します。そして、若者が輝き続ける成長産業へと進化させていきます。
その中核となるのが、当校独自の教育・栽培支援システム「AI副校長」です。「AI副校長」は、①世界中の農業論文や栽培ガイドライン・マニュアル、ベテラン農家の知見・インタビューデータなどを学習・体系化させた生成AIをはじめ、②ガントチャート(工程表)、③スマートフォンでの作業記録、④温湿度・飽差センサーデータ、⑤天気予報、⑥現場の動画解析結果という6つの独立したデータソースを一つに集約する“中央AI頭脳”として機能します。インターネットで購入できる安価な温湿度センサーのデータや、気象庁の天気予報データを「AI副校長」へAPI連携させ、随時、環境データを取得・集約しています。
「AI副校長」はこれらの集約したデータをもとに、作物の成長指標となる積算温度(GDD)をできる限り正確に把握し、過去のデータとも照らし合わせることで、「いつ種まきや植え付けを行えば、いつ頃収穫できるのか」 を逆算してスケジュール管理を行っています。
さらに現場では、単なる温度・湿度だけでなく、カビや病害虫の発生に大きく関わる「飽差(空気の乾き具合)」もリアルタイムに監視し、栽培環境の微細な変化を自己補正しています。病害虫リスクを科学的に抑えることで、環境に配慮した持続可能な栽培管理に挑戦しています。
これらの現場環境データや解析結果をもとに、「AI副校長」が毎朝、実習生を指導する各作物の担当職員のスマートフォンへ、その日の詳細な作業指示を配信します。 例えば、発芽率の報告に対して「地温や水分の不均一が原因となる典型的な失敗パターンです」と分析したり、定植時の苗不足に対して「追加定植」を指摘したりした上で、それらを瞬時に具体的な作業工程へと落とし込みます。 また、夕方にデジタル日報を提出すると、即座に「AI副校長」から具体的な改善アドバイスが返信されるため、未経験の実習生でも毎日高速なPDCA(改善サイクル)を回すことが可能になっています。


■ 新設「土壌分析LABO」〜土壌の数値化に着手し、データ駆動型農業の可能性を探る〜
当校では、科学的アプローチを取り入れた農業のさらなる進化を目指し、土壌分析機器開発会社の株式会社Henry Monitor(ヘンリーモニター、所在地:長野県諏訪市)および諏訪信用金庫(本店所在地:長野県岡谷市)と連携し、本年6月に校内に「土壌分析LABO(ラボ)」を共同開設しました。
(三者の連携協定に関する詳細のプレスリリースはこちら)
ヘンリーモニターが開発した磁気センサーとAIを活用した独自装置により、従来は試薬を用いて長時間を要していた土壌中の養分や主要な成分の数値を、わずか数十秒程度で測定・データ化する研究が進められています。
作物を育てる根幹である「土壌」の状態を科学的に把握する取り組みが始動しており、今後は得られたデータを栽培管理に段階的に活かしながら、データ駆動型農業の可能性を模索し、地域農業への貢献へとつなげていく予定です。
■ 若者が自立し、安心して続けられる農業モデルの確立を目指して
現在、日本の農業は、担い手不足、気候変動、資材価格の高騰、流通構造の変化など、多くの課題に直面しています。農業従事者の高齢化が進み、今後約15年で大幅に減少すると危惧される中、若い農業従事者を増やし、定着させていくことは喫緊の課題です。
しかし、現在、農業高校を卒業して農業の道に進む生徒は全国でわずか3%に留まり(注2)、就農後も数年で約3割が離農してしまう(注3)という現状があります。その背景には、将来への経済的な不安や見通しの立てにくさが先行してしまっている現実があります。
農業の世界では、これまで培われてきた「経験と勘」が大切にされてきましたが、近年の急激な気候変動や環境変化の中では、経験則だけでは即座に対応しづらい場面も増えています。
当校がテクノロジーを積極的に活用する最大の目的は、データとAIを駆使し、農業をITや宇宙産業にも並ぶ魅力的な「サイエンス・テクノロジー産業」であることを自ら証明し、若者が最前線で活躍できる「教育エコシステム」を確立するためです。効率化と品質安定化を進め、卒業生が将来にわたって自立し、安定して農業を営める環境づくりを目指します。
今後はさらに「AI副校長」のシステム精度を高め、新規就農者でも確実に再現できるビジネスモデルとしてその仕組みを「暖簾分け」し、卒業生が初年度からできるだけ迷わずスタートを切るための指針パッケージとして提供していく予定です。

■ アクセス情報
住所:長野県諏訪郡原村17217-118
【車】中央自動車道「諏訪南IC」から約15分/「小淵沢IC」から約30分(「八ヶ岳農場直売所」に駐車)
【電車】JR中央本線「茅野駅」からタクシーで約20分、またはバスで約30分「八ヶ岳中央農業実践大学校前」下車

・駐車場:直売所エリア100台、花畑エリア600台(無料)
【八ヶ岳農業大学校について】 https://yatsunou.jp/

1938年開校。八ヶ岳の麓、標高1,300mに位置する、総面積267ヘクタール(東京ドームの敷地面積の57倍)の広大な農場のキャンパスで、実習生が実践的な農業を学ぶ(畑作、花卉、酪農、養鶏など耕畜両面)。また毎年1万人近い小中高生に農業体験学習を提供。人気のプログラムを一般向けにも提供。2025年、10ヘクタールの花畑を開始。校内には直売所も設置され、当校の生乳100%の牛乳やその牛乳を使用したソフトクリーム、アイスクリームなどの乳製品、生ミルククッキー、平飼い鶏が産んだ卵、実習生が育てた高原野菜や花々などを販売。2024年4月に経営体制を刷新し、現役IT上場企業経営者である、理事長の南壮一郎と、校長の丸山侑佑の下、AIやセンシングデータを活用して生産管理や意思決定をするなど、テクノロジーとサイエンス、マーケティングを基軸とした農業に取り組んでいます。(当校の最新情報は当校の公式インスタグラムをご確認ください。https://www.instagram.com/yatsunou.since1938/)
【八ヶ岳農業大学校のミッション】
https://yatsunou.jp/about.html#mission
新しい農業を、切り拓く。
農業には、まだまだ大きな可能性が宿っています。
私たちが掲げる「新しい農業」に、完成形はありません。
時代をしなやかに捉え、自らを再定義し続ける意志だからです。
自然の理を探求する「サイエンス」。
次世代の仕組みを創る「テクノロジー」。
持続可能な事業づくりを支える「経営とマーケティング」。
私たちは、先人の知恵を大切にしながら、
これらを掛け合わせ、農業の可能性をさらに引き出します。
そして、若者が輝き続ける成長産業へと進化させていきます。
変わり続けるために、学び続ける。
本校は志ある若者とともに、新しい農業を、切り拓きます。

【八ヶ岳農業大学校の教育理念】
https://yatsunou.jp/about.html#mission
八ヶ岳農業大学校は、未来を担う子どもたちが、安心して生き、学び、暮らしていける社会の土台である「食」と「農業」を支える人材を育成します。農業は、おいしい食べものを届けるだけではありません。人の心を癒やし、地域を支え、暮らしを豊かにし、ときに生き方そのものを支える力を持っています。そしてそこには、まだ形になっていない大きな可能性があります。
いま日本の農業は、担い手不足、気候変動、資材価格の高騰、流通構造の変化など、多くの課題に直面しています。しかし本校は、それを単なる困難としてではなく、次代の農業を育てる機会でもあると考えます。
目指すのは、伝統や地域に根ざした営みを大切にしながら、変化する時代に向き合い、自ら考え、試し、社会に役立つ形へとつなげていける人材を育てることです。理論だけでも、経験だけでもなく、学びと現場を行き来しながら、価値あることを正しく積み重ねていく。
そして、変わり続けるために、学び続ける。その姿勢を育むことを、教育の中心に据えます。
そのために、次の三つを柱とします。
1. 農業をサイエンスとして学ぶ
農業を経験や勘だけに頼るのではなく、科学的に理解し、再現し、改善できる力を養います。
生物、土壌、畜産、気象などの基礎を学び、作物や家畜、自然環境を深く理解することで、現場で考え、判断し、よりよい形を生み出す力を身につけます。
目の前の現象に振り回されず、その奥にある本質を見極める姿勢を大切にします。
2. テクノロジーとデータを使いこなす
生成AI、ドローン、センサーなどの新しい技術を学び、データを生かしながら現場の課題に向き合います。
大切なのは、技術を導入すること自体ではなく、本当に必要な解決策を見つけることです。
データを集め、読み解き、判断し、実践の中で検証し、さらに改善していく。こうした循環を通じて、これからの農業を前に進める力を育てます。
テクノロジーは目的ではなく、よりよい農業を実現するための手段です。
3. 価値を生み出す経営とマーケティングを学ぶ
農業を続けていくためには、つくる力だけでなく、価値を伝え、届け、事業として成り立たせる力が欠かせません。
生産、加工、販売、観光、ブランドづくりまでを視野に入れながら、持続可能な生業としての農業を支える経営とマーケティングを学びます。
目先の利益だけを追うのではなく、社会にとって価値あることを正しく積み重ね、人を幸せにする形へとつなげていく。
その力こそが、農業を次の時代へと前進させる原動力になると、本校は考えます。
本校は、農業を「大変な仕事」としてだけではなく、人を幸せにし、地域を豊かにし、日本の未来を支える仕事だと考えています。
【出典】
注1:当校が位置する長野県原村の年間日照時間は2188.4時間。全国平均(約1,900時間)を大きく上回り、全国約800の観測地点中、上位約3%を記録。【出典】気象庁アメダス「原村」平年値(1991〜2020年) https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
注2:文部科学省「令和7年学校基本調査」
注3:総務省「農業労働力の確保に関する行政評価・監視 -新規就農の促進対策を中心として-」

