『ちょっとだけなら・・・』が命取り

製品評価技術基盤機構(NITE)のプレスリリース

  大雪の際に強い味方となる除雪機ですが、誤った使い方をすると命を落とす危険もあります。独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]は、1月から2月までの雪のピークを迎える前に、除雪機を安全に使うためのポイントをお知らせします
 

    進行方向の死角からこどもがソリで滑ってくる様子(イメージ)
 
図1 :年度ごとの事故発生件数 
 
 2013年度から2022年度までの10年間にNITEに通知された製品事故情報※1では、除雪機によりけがを負った事故は38件ありました。このうち21件が2020年度から2022年度までの間に発生したもので、ここ3年で事故発生件数が多くなっています。また、除雪機の事故38件のうち25件が死亡事故となっており、その多く(25件中21件)が、使用者の誤使用・不注意によるものです。
 
 誤使用・不注意の背景には、『ちょっとだけなら大丈夫』という使用者の除雪機に対する油断や過信が潜んでいます。『レバーを握り続けるのが大変だから・・・』『少しの間なら停止しなくても・・・』などと安全機能を無効化したり、エンジンを掛けたまま除雪機から離れたりして、事故に至るケースがあります。また、2022年には屋内でエンジンを掛けたままにしている際に一酸化炭素中毒で死亡する事故も発生しているため、除雪機の屋内での移動時や保管時にも注意が必要です。
 
 近年は温暖化の影響で、全体の降雪量が減る一方で、湿った重たい雪が一度で大量に積雪する(どか雪の)傾向があり、今冬も除雪機の稼働が増えることが予想されます。長時間の除雪作業は大変ですが、油断や過信は命取りです。除雪機は、注意事項をしっかり守って、正しく使いましょう。
 
(※) 本資料中のすべての写真は、実際の事故とは関係ありません。
(※1)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット情報(被害なし)を含みます。
 
 

除雪機の気を付けるポイント

○安全機能を無効化しない。
○エンジンを掛けたまま離れない。
○人が近くにいる時は使用しない。障害物に衝突しないよう注意する。
○雪詰まりを取り除く際はエンジンを切り、雪かき棒を使用する。
○屋内や換気の悪い場所ではエンジンを掛けたままにしない。
 
 

1.除雪機の構造と各部名称



デッドマンクラッチ機構:
 操作ハンドルから手を離すと、自動的に回転部及び走行が停止する安全機能。※2004 年4月から除雪機安全協議会加盟メーカーの除雪機(歩行型)においては、デッドマンクラッチ機構を標準装備としています。
 

 
 

2.除雪機の事故発生状況

 除雪機によりけがを負った事故38件について、発生状況を示します。
 

2-1.事故発生件数の内訳

 図2に「被害状況別の事故発生件数」を、図3に「原因区分別の事故発生件数」を示します。除雪機の事故は被害状況別では死亡事故が最も多く、事故原因別では約8割が誤使用・不注意と推定されるものです。(死亡事故25件中21件、重傷事故11件中10件、軽傷事故2件中1件が誤使用・不注意と推定されるもの)


 

2-2.事故事象別の事故発生件数

 表1に「事故事象別の事故発生件数」を示します。死亡事故は「除雪機の下敷きになった」、「除雪機に巻き込まれた」の2つの事象で多く発生し、重傷事故は「エンジンを掛けたままの除雪機内部に手を入れた」事象で多く発生しています。また、38件中26件が安全機能を無効化したり、使わなかったりして事故に至っています。
 

 
 

3.事故事例

除雪機の下敷きになった事故
 事故発生年月 2021年1月(広島県、80歳代・男性、死亡)
【事故の内容】
 使用中の除雪機の下敷きになり、死亡した。
【事故の原因】
 使用者が、デッドマンクラッチ機構を大きな洗濯バサミで固定して無効化したため、除雪機を後進中に転倒した際に、手を離しても除雪機の走行が停止せず、使用者に乗り上げて下敷きとなったものと考えられる。
SAFE-Lite検索キーワード】
 除雪機、下敷き、デッドマンクラッチ
 


除雪機に巻き込まれた事故
 事故発生年月 2021年1月(新潟県、9歳・男児、死亡)
【事故の内容】
 除雪機を使用中、こどもがオーガ(回転部)に巻き込まれ、死亡した。
【事故の原因】
 除雪作業の途中、使用者が除雪機のエンジンを切らずにオーガが回転したままその場を離れたため、周囲で遊んでいたこどもがオーガに接触したものと考えられる。 
SAFE-Lite検索キーワード】
 除雪機、エンジン、オーガ
 

エンジンを掛けたままの除雪機内部に手を入れて負傷した事故
 事故発生年月 2022年12月(秋田県、50歳代・女性、重傷)
【事故の内容】
 除雪機のブロワ(投雪口)に詰まった雪を取り除く際に、左手指を負傷した。
【事故の原因】
 使用者がエンジンを掛けたまま、付属の雪かき棒を使用せずに直接手で除去したため、回転部に触れ、事故に至ったものと考えられる。
SAFE-Lite検索キーワード】
 除雪機、雪かき棒

一酸化炭素中毒になった事故
 事故発生年月 2023年1月(北海道、80歳代・男性、死亡)
【事故の内容】
 物置で除雪機のエンジンを掛けたままにして、一酸化炭素中毒で1名が死亡した。
【事故の原因】
 使用者が十分に換気されていない屋内で除雪機のエンジンを掛けたままにしたため、排気ガスにより屋内の一酸化炭素濃度が上昇し、一酸化炭素中毒に至ったものと考えられる。
 

 

除雪機の気を付けるポイント

安全機能を無効化しない。

  デッドマンクラッチ機構のクラッチレバーを固定するなどの安全機能の無効化をすると、使用者が転倒などした際に除雪機が停止せず、除雪機にひかれたり、巻き込まれたりするおそれがあります。
 
 

 

エンジンを掛けたまま離れない。

  除雪機のエンジンを掛けたままその場を離れると、こどものいたずらなど、思わぬ事故につながるおそれがあります。一時的にその場を離れるときでも、必ずエンジンを切ってください。
 

人が近くにいる時は使用しない。障害物に衝突しないよう注意する。

  除雪作業をする際は、周囲に人がいないことを確認しましょう。特に背丈の低いこどもは死角に入りやすいので、十分気を付けてください。また、後進する際は、足下や後方の障害物を事前に確認し、転倒することがないよう気を付けてください。
 
 

雪詰まりを取り除く際はエンジンを切り、雪かき棒を使用する。

 エンジンを掛けたまま雪を取り除く作業を行うと、手を負傷するおそれがあります。雪が詰まった場合は、直接手で行わず、必ず備え付けの雪かき棒を使用して取り除いてください。
 

屋内や換気の悪い場所ではエンジンを掛けたままにしない。

  作動中の除雪機の排気には一酸化炭素が多く含まれています。一酸化炭素は無色・無臭で、発生に気が付きにくく、また非常に毒性の強い気体です。閉め切った屋内で除雪機のエンジンを掛けたままにすると、短時間で一酸化炭素の濃度が高くなり非常に危険です。除雪機は始動/停止も含め風通しの良い屋外で使用しましょう。エンジンを切った状態で、手で押して移動できない大型の除雪機等の場合は、窓などの開口部を開放して十分な換気が取れていることを確認してから、「屋内で始動し速やかに屋外に出る」、「屋内にしまったら速やかにエンジンを切る」などの対策をしてください。
 

 

今回の注意喚起動画はこちら

>>NITE公式 YouTube

除雪機「10.使用時は死角に注意」

 

除雪機「11.安全機能の無効化で止まらず走行2」

 
 

事故品・事故事例を確認

 過去にどのような事故が発生しているか確認する。

 NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツール「SAFE-Lite(セーフ・ライト)」のサービスを行っています。製品の利用者が慣れ親しんだ名称で製品名を入力すると、その名称(製品)に関連する事故の情報が表示されます。
 また、事故事例の【SAFE-Lite検索キーワード例】で例示されたキーワードで検索することで、類似した事故が表示されます。
 

 

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 製品安全センターの概要

 NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。

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